著明な恐怖性不安障害を有する女性は不安障害の少ない、または有さない女性と比較し致死的心疾患のリスクが高い [2005-02-22]

Women with significant phobic anxieties are at higher risk for fatal heart disease than women with fewer or no such anxieties
人込みや高所恐怖症などの恐怖症を有する女性はそのような不安症を有さない女性と比較し致死的心疾患のリスクが高い、とCirculation 2月1日号に掲載された。研究者らは長期にわたるNurses’ Health Studyの対象女性72,359人のデータを使用し、不安症と心臓のリスクについて評価した。恐怖性不安障害の重症度は1〜16までの段階で評価した(スコアが高いほど重症)。12年間の追跡調査期間中に心臓突然死97例、冠動脈疾患死267例、非致死的心筋梗塞930例が認められた。既知のリスクファクターで補正した結果、不安症スコアが高い(4以上)女性は非致死的心筋梗塞のリスクは高くなかったが、心臓突然死のリスクが高かった。筆者らは著明な不安症の女性に対しては、さらに強力な治療が必要かどうかを評価し全体的な心臓のリスクを軽減させるべきであると主張している。

選択的シクロオキシゲナーゼ2阻害薬は非選択的シクロオキシゲナーゼ阻害薬またはプラセボと比較し血圧を上昇させる可能性がある [2005-02-22]

Selective cyclooxygenase-2 inhibitors may raise blood pressure more than either nonselective cyclooxygenase inhibitors or placebo
シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害薬は非選択的シクロオキシゲナーゼ阻害薬よりも血圧を上昇させる可能性がある、とArchives of Internal Medicine オンライン版2月14日号に掲載された。オーストラリアの研究者らは19の無作為トライアルのデータを解析した。45,451人分の血圧のデータが収集できた。高血圧または臨床的に重要な血圧上昇を発症させる相対リスクを比較するメタ解析が考案された。COX-2阻害薬は古い世代の非選択的シクロオキシゲナーゼ阻害薬と比較し有意に血圧を上昇させ、この効果はcelecoxibよりもrofecoxibにおいて著明であった。この結果から、この類の薬剤が心血管疾患リスクを上昇させることに関連する新たなエビデンスが加えられた。Rofecoxib (Vioxx)は既に業者が自発的に市場から引き上げた。

American Heart Association (AHA)は、女性の冠動脈疾患患者にも男性と同様に冠動脈形成術を施行するように呼びかけている [2005-02-15]

American Heart Association calls for treating women with coronary heart disease with interventional procedures commonly used with men
医師らは女性の冠動脈疾患患者にも男性と同様に早期診断し冠動脈形成術を行う必要がある、とAmerican Heart Association (AHA)のステートメントに述べられ、Circulation 2月1日号に掲載された。女性患者の予後の改善に必要な3領域が選出された。すなわち、第一に、早期診断と治療が必要である。第二に糖尿病や微小冠動脈病変(両者とも女性に多い)を有する患者の治療を最大限とするような研究が必要である。第三にST上昇心筋梗塞の女性患者のためにより洗練された治療方針や治療戦略を開発する必要がある。男性よりもより多数の女性が心血管疾患を有しており、また、糖尿病などの合併症を有する頻度も高いため、今後のトライアルでは女性対象者を増加させ治療戦略をデータに基づいたものとする必要がある。

心筋梗塞再発のリスクを軽減するにはスタチン療法によりコレステロールおよびC反応性蛋白の両者を低下させる必要がある [2005-02-15]

Statin therapy needs to decrease both cholesterol and C-reactive protein to reduce risk for a recurrent myocardial infarction
スタチン療法は血中のコレステロールおよびC反応性蛋白(CRP)の両者を低下させることにより心筋梗塞再発のリスクを軽減するため、治療効果を確立するために医師らは両者をモニターする必要がある、とNew England Journal of Medicine 1月6日号に記載された。Pravastatin or Atorvastatin Evaluation and Infection Therapy - Thrombolysis in Myocardial Infarction (PROVE IT - TIMI 22)国際研究対象患者3,745人の事前比較解析の結果、LDLコレステロールを70mg/dL未満に低下させることで心筋梗塞再発および死亡が予防できるが、臨床上最大の効果を得るにはCRPを2mg/L未満にする必要があることが示された。この研究チームの医師らは、CRPを危険因子のみならず治療の重要な標的として考える時期に来ていると結論付けている。

低分子ヘパリン化合物であるレビパリンは心筋梗塞患者の死亡のリスクおよび再梗塞を減少させる [2005-02-08]

The low-molecular-weight heparin compound reviparin reduces risk for death and recurrent infarction in patients with acute myocardial infarction
レビパリンは急性心筋梗塞の症状出現後12時間以内に投与を開始されると死亡のリスクを軽減する、とJournal of the American Medical Association 1月26日号に掲載された。このCREATEトライアルではインドおよび中国の患者15,570人を対象とし、7,780人をレビパリン(皮下注射一日2回を7日間)、7,790人をプラセボ投与群に無作為に割り付けた。7日後、死亡、心筋梗塞および脳卒中全体の生じるリスクはプラセボ群11.0%に対しレビパリン群では9.6%であり、13%の差が認められた。30日後にも同様にレビパリン群のリスクが13%低かった。発症後7日間の予後に関しては、レビパリンを症状発症からごく早期に開始することにより有意に良好な結果が得られた。つまり、発症後2時間未満で開始されるとリスクは30%軽減し、一方、発症後4〜8時間で投与されるとリスク軽減率は15%であった。

Clopidogrel投与後の血小板凝集検査の個人差は正常であり薬剤耐性を意味するものではない可能性がある [2005-02-08]

Variations in platelet aggregation tests after clopidogrel treatment may be normal and not a sign of drug resistance
Clopidogrelに対する反応には個人差があり、この現象は正常であり薬効の差を意味するものではない可能性がある、とJournal of the American College of Cardiology 1月18日号に掲載された。対象はコントロール94人、冠動脈内にステントを留置された患者405人、心不全患者25人、および脳卒中患者20人である。計544人中、4.2%はclopidogrelに対し通常よりはるかに高い反応を示したが、4.8%においては反応が低かった。研究者らは、これら2群の少人数の人々は、clopidogrelに対する過剰反応者および過少反応者であると仮説を立てている。彼らは、clopidogrelに対する反応のレベルと臨床上の予後を評価するトライアルが必要であると述べている。また、以前に、clopidogrelはプラセボと比較し明らかな有効性を認めたことを報告している。この論文の評論者も、clopidogrelのみならず他の抗血小板薬に関するさらなるトライアルが必要であると主張している。

胸痛を訴え冠動脈造影で有意狭窄を認める患者の多くにおいては薬物療法単独よりも血行再建術を行うほうがQOLを向上させる [2005-02-01]

Revascularization after positive angiography results in better quality of life for many patients with chest pain than medical treatment alone
胸痛を訴え冠動脈有意狭窄を認める患者においては、適応であれば、通常の冠動脈造影および血行再建術を行うことにより保存的薬物療法よりもQOLが向上する、とJournal of the American College of Cardiology 1月18日号に掲載された。第3回目の不安定狭心症に対する無作為血行再建術トライアル(Randomized Intervention Trial of unstable Angina, RITA)では、心筋梗塞のリスクが中等度の英国人患者1,800人あまりを組み入れた。患者は早期血行再建術群(895人、最大限の薬物療法に加え冠動脈造影と可能であれば心筋血行再建術を組み合わせたもの)または保存的療法(915人、緊急冠動脈造影と血行再建術を必要とする症状がなければ最大限の薬物療法のみとするもの)に無作為に割り付けられた。4ヵ月後に2群間のQOLは有意に差があったが、1年後にその差は狭まった。1年後までに保存的療法群においては28%が血行再建術を施行され、その一方、早期血行再建術群におけるその割合は57%であった。

2025年までに世界の20歳以上の成人約3分の1が高血圧を有することになる [2005-02-01]

Roughly one in three adults over age 20 years worldwide will have hypertension by the year 2025
2025年までに20歳以上の成人約3分の1(世界の15憶6千万人)が、心筋梗塞を予防するのに最も重要なリスクファクターである高血圧を有することになる、とLancet 1月15日号に掲載された。米国の研究者らは、20歳以上の成人計50万人以上を評価した30の国際研究のデータを解析した。筆者らは、適正体重の維持、飲酒量や塩分摂取量を適切にすること、食事や運動習慣を改善することなどの調整可能なリスクファクターを改善するよう、強く呼びかけている。新規発症の高血圧の多くは発展途上国において発症すると思われる。新たに発症した高血圧患者はみな、心筋梗塞、脳卒中、腎疾患のリスクが高い。
 
 
 
 

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