人込みや高所恐怖症などの恐怖症を有する女性はそのような不安症を有さない女性と比較し致死的心疾患のリスクが高い、とCirculation
2月1日号に掲載された。研究者らは長期にわたるNurses’ Health Studyの対象女性72,359人のデータを使用し、不安症と心臓のリスクについて評価した。恐怖性不安障害の重症度は1〜16までの段階で評価した(スコアが高いほど重症)。12年間の追跡調査期間中に心臓突然死97例、冠動脈疾患死267例、非致死的心筋梗塞930例が認められた。既知のリスクファクターで補正した結果、不安症スコアが高い(4以上)女性は非致死的心筋梗塞のリスクは高くなかったが、心臓突然死のリスクが高かった。筆者らは著明な不安症の女性に対しては、さらに強力な治療が必要かどうかを評価し全体的な心臓のリスクを軽減させるべきであると主張している。
シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害薬は非選択的シクロオキシゲナーゼ阻害薬よりも血圧を上昇させる可能性がある、とArchives
of Internal Medicine オンライン版2月14日号に掲載された。オーストラリアの研究者らは19の無作為トライアルのデータを解析した。45,451人分の血圧のデータが収集できた。高血圧または臨床的に重要な血圧上昇を発症させる相対リスクを比較するメタ解析が考案された。COX-2阻害薬は古い世代の非選択的シクロオキシゲナーゼ阻害薬と比較し有意に血圧を上昇させ、この効果はcelecoxibよりもrofecoxibにおいて著明であった。この結果から、この類の薬剤が心血管疾患リスクを上昇させることに関連する新たなエビデンスが加えられた。Rofecoxib
(Vioxx)は既に業者が自発的に市場から引き上げた。
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American
Heart Association (AHA)は、女性の冠動脈疾患患者にも男性と同様に冠動脈形成術を施行するように呼びかけている [2005-02-15]
医師らは女性の冠動脈疾患患者にも男性と同様に早期診断し冠動脈形成術を行う必要がある、とAmerican
Heart Association (AHA)のステートメントに述べられ、Circulation 2月1日号に掲載された。女性患者の予後の改善に必要な3領域が選出された。すなわち、第一に、早期診断と治療が必要である。第二に糖尿病や微小冠動脈病変(両者とも女性に多い)を有する患者の治療を最大限とするような研究が必要である。第三にST上昇心筋梗塞の女性患者のためにより洗練された治療方針や治療戦略を開発する必要がある。男性よりもより多数の女性が心血管疾患を有しており、また、糖尿病などの合併症を有する頻度も高いため、今後のトライアルでは女性対象者を増加させ治療戦略をデータに基づいたものとする必要がある。
スタチン療法は血中のコレステロールおよびC反応性蛋白(CRP)の両者を低下させることにより心筋梗塞再発のリスクを軽減するため、治療効果を確立するために医師らは両者をモニターする必要がある、とNew
England Journal of Medicine 1月6日号に記載された。Pravastatin or
Atorvastatin Evaluation and Infection Therapy - Thrombolysis
in Myocardial Infarction (PROVE IT - TIMI 22)国際研究対象患者3,745人の事前比較解析の結果、LDLコレステロールを70mg/dL未満に低下させることで心筋梗塞再発および死亡が予防できるが、臨床上最大の効果を得るにはCRPを2mg/L未満にする必要があることが示された。この研究チームの医師らは、CRPを危険因子のみならず治療の重要な標的として考える時期に来ていると結論付けている。
レビパリンは急性心筋梗塞の症状出現後12時間以内に投与を開始されると死亡のリスクを軽減する、とJournal
of the American Medical Association 1月26日号に掲載された。このCREATEトライアルではインドおよび中国の患者15,570人を対象とし、7,780人をレビパリン(皮下注射一日2回を7日間)、7,790人をプラセボ投与群に無作為に割り付けた。7日後、死亡、心筋梗塞および脳卒中全体の生じるリスクはプラセボ群11.0%に対しレビパリン群では9.6%であり、13%の差が認められた。30日後にも同様にレビパリン群のリスクが13%低かった。発症後7日間の予後に関しては、レビパリンを症状発症からごく早期に開始することにより有意に良好な結果が得られた。つまり、発症後2時間未満で開始されるとリスクは30%軽減し、一方、発症後4〜8時間で投与されるとリスク軽減率は15%であった。
Clopidogrelに対する反応には個人差があり、この現象は正常であり薬効の差を意味するものではない可能性がある、とJournal
of the American College of Cardiology 1月18日号に掲載された。対象はコントロール94人、冠動脈内にステントを留置された患者405人、心不全患者25人、および脳卒中患者20人である。計544人中、4.2%はclopidogrelに対し通常よりはるかに高い反応を示したが、4.8%においては反応が低かった。研究者らは、これら2群の少人数の人々は、clopidogrelに対する過剰反応者および過少反応者であると仮説を立てている。彼らは、clopidogrelに対する反応のレベルと臨床上の予後を評価するトライアルが必要であると述べている。また、以前に、clopidogrelはプラセボと比較し明らかな有効性を認めたことを報告している。この論文の評論者も、clopidogrelのみならず他の抗血小板薬に関するさらなるトライアルが必要であると主張している。
胸痛を訴え冠動脈有意狭窄を認める患者においては、適応であれば、通常の冠動脈造影および血行再建術を行うことにより保存的薬物療法よりもQOLが向上する、とJournal
of the American College of Cardiology 1月18日号に掲載された。第3回目の不安定狭心症に対する無作為血行再建術トライアル(Randomized
Intervention Trial of unstable Angina, RITA)では、心筋梗塞のリスクが中等度の英国人患者1,800人あまりを組み入れた。患者は早期血行再建術群(895人、最大限の薬物療法に加え冠動脈造影と可能であれば心筋血行再建術を組み合わせたもの)または保存的療法(915人、緊急冠動脈造影と血行再建術を必要とする症状がなければ最大限の薬物療法のみとするもの)に無作為に割り付けられた。4ヵ月後に2群間のQOLは有意に差があったが、1年後にその差は狭まった。1年後までに保存的療法群においては28%が血行再建術を施行され、その一方、早期血行再建術群におけるその割合は57%であった。