痩せている太っているにかかわらず、男性において、高脂肪食を摂取した後であっても、90分の歩行により中性脂肪が低下し内皮機能が改善し、その効果は翌日まで持続する、とJournal
of the American College of Cardiology 12月21日号に掲載された。この小規模研究(痩せ型10人、肥満10人)では、対象者に中等度の強度の運動(トレッドミル歩行)を行わせた結果、この効果は体重にかかわらず認められることが示された。今後の研究では、さらに短時間の運動または一日の総運動量の食事性脂肪処理および血管機能に対する影響を評価することになるだろう。
血行再建療法と弁置換の同時手術の死亡率は5人に1人と高いこともありうるが、弁置換前に血管形成術を行った場合の死亡率は26人中1人と低い、とJournal
of the American College of Cardiology 1月4日号に掲載された。血管形成術数日後に弁置換を施行された合併症の多い患者26人は弁置換の際に出血が多かった(これはステントに対してclopidogrelを投与されていたためと考えられる)が、長期生存率は従来通りのバイパス術と弁置換の同時施行と同等であった。この研究の最大の限界は患者数が少ないことである。しかし、この記事の評論者は、段階を踏んだ混合療法は、さまざまなリスクの程度のさらに多くの患者群に施行が可能となるに違いない、と述べている。
重要な心筋蛋白であるトロポニンの退歩を調節する蛋白の発見により、一部の患者における心肥大や拡張障害を予防する治療法が開発される可能性がある、とProceedings
of the National Academy of Science (USA) 12月28日号に掲載された。この新たに発見された蛋白、
muscle-specific RING finger 1はトロポニンを退歩させる経路を開始させる。従って、この蛋白は肥大の程度を調整する役割(心筋細胞の抗肥大活性)を有する。この心筋肥大の経路に関する新たな分子学的理解により薬剤開発の新たな標的が生まれる可能性がある。
降圧療法としてのカルシウム拮抗薬と利尿薬の併用はベータ遮断薬と利尿薬の併用と比較し心血管疾患による死亡のリスクを倍増させる、と
Journal of the American Medical Association 12月15日号に掲載された。Women’s
Health Initiative Observational Study(50〜79歳の女性93,676人、平均追跡期間5.9年)のデータ解析の結果であるが、スタディ開始時には30,219人の女性が高血圧を有していたが心血管疾患の既往はなかった。19,889人が内服しており、11,294人(57%)がアンジオテンシン変換酵素阻害薬、ベータ遮断薬、カルシウム拮抗薬、または利尿薬いずれかの単剤投与を受けており、4,493人(23%)は2種類の薬剤を併用していた。カルシウム拮抗薬単剤療法は利尿薬単独療法と比較し、心血管疾患による死亡のリスクを55%上昇させた。