痴呆の予防 
 
うつ病の遺伝子 
 
双極性障害の確定診断のための検査 
 
注意欠陥/多動性障害の解剖 
 
賭け事と精神疾患 
 
統合失調症の脳波 
 
薬物依存に対する有望な治療法 
 
精神疾患の遺伝子 

12月21日更新のDOL NewsはRSNA2004特集を掲載しました。
これらをまとめた特集ページも是非ご覧ください。




血管の健康に最も有効な医療が混合型痴呆およびアルツハイマー病の予防または遅延には最良の治療である [2004-12-28]

Medical care that optimizes vascular health may be best intervention to prevent or slow mixed dementia and Alzheimer’s disease

混合型痴呆(アルツハイマー病と脳血管性痴呆の合併)およびアルツハイマー病の予防または遅延には血管の健康を最大限に保つことが最良の治療法であり、この要因は痴呆全体の20%にも認められ、特に老人において関連があるとJournal of the American Medical Association 12月15日号に掲載された。このレビュー記事は、認知機能促進薬、降圧薬、高脂血症治療薬を用いた研究の論文を含んでいた。研究者らは、心血管リスクファクターを最小にすることで痴呆の予防および遅延に多大な効果が認められることを発見した。ある研究では、高血圧患者においてカルシウム拮抗薬を4年間内服したところ、痴呆の発症を50%軽減したと報告した。

 

ACTH放出ホルモンの遺伝子の種類が抗うつ薬に対する反応の仕方と有意に関連している [2004-12-28]

Variation in gene for corticotrophin-releasing hormone tied to significantly better response to antidepressant therapy

ACTH放出ホルモン(CRH)の遺伝子のある種の同形接合は抗うつ薬にかなり反応が良好であり、これは、ストレスに対する身体反応の基盤となる遺伝子とうつ病の軽減の関連を初めて直接実証した研究である、とMolecular Psychiatry 12月号に掲載された。研究者らはメキシコ系米国人80人の遺伝子型を調べ、fluoxetineとdesipramineの効果を比較する8週間の無作為二重盲検試験を行った。CRH1遺伝子(対立遺伝子)の同形接合を有し重度の不安を有するうつ病患者はどちらの抗うつ薬に対しても、この遺伝子型を有さないものと比較し、不安の軽減が70%、うつ病の軽減が30%大であった。

双極性障害の代謝マーカーの同定を基本とした核磁気共鳴分光学検査は、疾患の確定診断を下すための検査となりうる [2004-12-21]

Magnetic resonance spectroscopy may prove to be a definitive diagnostic test for bipolar disorder

双極性障害の代謝マーカーの同定を基本とした核磁気共鳴分光学検査は疾患の確定診断を下すための検査となりうる、とRadiological Society of North America(RSNA)学会で発表された。米国の研究者らはこの最新技術を用い、内服をしていない患者21人(18〜54歳)および年齢、性別、利き腕を一致させたコントロール21人を評価した。一回に約60〜70脳領域を評価することにより、彼らは14の異なる領域の5つの代謝産物について統計学的解析を行うことができた。仮結果では、行動、動き、見たり読んだりすること、および知覚情報をコントロールする4つの領域のある代謝産物のレベルが2群間で有意に異なることが示された。

 

注意欠陥/多動性障害を有する子供は解剖学的な脳の異常を有しており、この異常は刺激薬により改善する可能性がある [2004-12-21]

Children with attention deficit hyperactivity disorder show anatomical brain abnormalities that may improve with stimulant medication

注意欠陥/多動性障害を有する子供は解剖学的な脳の異常を有しており、この異常は薬物により一部改善する可能性がある、とRadiological Society of North America(RSNA)学会で発表された。同じグループで施行された2つの研究のうち最初の研究では、拡散テンソル画像法を用いて、障害を有する子供18人とコントロールの子供15人の白質線維を比較した。その結果、前頭皮質、大脳基底核、脳幹、および小脳の線維経路に異常があることを発見した。次の研究では、薬物内服歴のない患者10人と薬物を内服している患者10人(平均2.5年)を比較したところ、内服した子供の線維経路はいくつかの脳領域において正常化していた。筆者らはさらに患者数を増やして今回の基本的な結果を確認し、臨床上の治療指針を作成する必要があると主張している。

青年期および若年成人期の賭け事は物質使用障害および他の精神疾患と関連がある [2004-12-14]

Gambling among adolescents and young adults is associated with substance use disorders and other psychiatric conditions

賭け事をする青年および若年成人は賭け事をしない者と比較し、物質使用障害やうつ病のような精神医学的な問題を有する確率が高い、とArchives of General Psychiatry 11月号に掲載された。米国の研究者らは、18歳以前(早期発症)または18歳以降(成人期発症)に賭け事を開始した青年(16〜17歳)および若年成人(18〜29歳)の、賭け事に関連した心理社会的因子を調査した。成人ギャンブラー235人、早期発症ギャンブラー151人、成人期発症ギャンブラー204人、および賭け事をしない者486人(青年299人、成人187人)のデータが収集された。

 

統合失調症患者の脳波には特徴的な脳波の異常が認められ、これにより患者の幻覚や思考障害が説明される可能性がある [2004-12-14]

A specific electroencephalographic fault is identified in brains of patients with schizophrenia that may explain hallucinations and thought disturbances

統合失調症患者におけるある脳波の異常により幻覚や思考障害が説明できる可能性がある、とProceedings of the National Academy of Sciences 11月8日号に掲載された。統合失調症患者20人および健常人20人がビデオゲームの図を含む2つの画像のいずれかを見ている最中の脳波が観察された。一つの画像では4つの図形が視覚的に四角形を表すように中央に配置されていた。両群とも1秒以内に反応したが、統合失調症患者群では間違いやすくまた200msec以上長くかかった。さらに意義深いことに、患者においてはγ波の活性が認められず、このことから脳における反応を導く視覚の過程は正常であることが示される。興味深いことに最も反応が異常の者は統合失調症の症状が最も重症であった。

抗癲癇薬は長期のコカインやメタンフェタミンの依存症の治療薬として有望である [2004-12-07]

Antiepileptic drug shows promise as treatment for long-term addiction to cocaine or methamphetamine

抗癲癇薬vigabatrinは長期のコカインまたはメタンフェタミンおよび両者の依存症の治療薬として有望である、とSynapse 11月18日号に掲載された。このvigabatrinの2つ目の研究では、メキシコのボランティアの依存症患者30人がこの研究期間である9週間の内服の対象となった。30人中18人が全期間において内服した。18人中16人が連続4週間以上においてメタンフェタミンおよび/またはコカインを使用しなかった。一方2人は使用を続けていたが使用量は減少した。16人中12人は研究期間中薬物無使用のままであった。癲癇の患者でvigabatrinを積算1,500g以上内服した者において報告された視野欠損や視力低下などの副作用が認められた者はいなかった。筆者らは、この有効性および安全性に対する所見は、さらに大規模な無作為化プラセボ対照試験を行うのに十分な結果であると思っている。

 

過敏性腸症候群、アルコール依存症、および他の精神病性障害に共通する遺伝的なつながりが発見された [2004-12-07]

Common genetic link found among irritable bowel syndrome, alcoholism, and other psychiatric disorders

消化器病学研究の結果、過敏性腸症候群、アルコール依存症、および他の精神疾患に共通の遺伝的なつながりがあることが示された、と第69回American College of Gastroenterology学会にて発表された。計2,457人が質問表に回答した。回答者のうち13%が過敏性腸症候群を有していた。疾患を有する者の平均年齢は62歳であり、70%は女性であった。コントロール群の平均年齢は61歳であり、64%は女性であった。腸症候群を有し飲酒をしない人々は症候群を有さず飲酒をしない対照者と比較し、親類にアルコール依存症または他の精神疾患を有する確率が高かった。筆者らは、ある共通の遺伝子が非飲酒者に過敏性腸症候群を引き起こし、飲酒者にはアルコール依存症かつまたは他の精神疾患を引き起こす可能性がある、との仮説を立てている。




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