ノルトリプチリンと経皮的ニコチンパッチの併用は第一選択薬で不成功であった者の禁煙を援助するのに有効である、とArchives
of Internal Medicine 11月8日号に掲載された。18〜65歳の成人計158人を禁煙開始14日前にノルトリプチリンまたはプラセボ群に割り付け、ノルトリプチリンの用量は耐えられれば一日75mgまで増加させた。経皮的パッチは禁煙開始日に開始しその後8週間貼り続けた。6ヵ月後、禁煙率はノルトリプチリン群で23%、プラセボ群で10%であった。ノルトリプチリン群においては口渇感や眠気などの副作用が高率に認められ、10人は副作用のため内服を中止した。他の抗うつ薬でも禁煙効果が報告されているため筆者らは、ノルトリプチリンの抗うつ効果が副作用とともに喫煙欲を低下させているのであろうと述べている。
重症うつ病または双極性障害による入院の頻度は痴呆のリスク上昇と関連のある可能性がある、とJournal
of Neurology Neurosurgery and Psychiatry 12月号に掲載された。デンマークの症例登録研究において、1970〜1999年に入院した約19,000人のうつ病患者および約4,000人の双極性障害患者のうち、その後の入院で痴呆と診断された者はうつ病の2%未満(337人)および双極性障害の2%強(97人)に過ぎなかった。平均して、入院するごとに重症うつ病では13%、双極性障害では6%痴呆のリスクが上昇した。この結果は年齢や性別などの因子で補正してもなお認められた。
トランスサイレチンと呼ばれる蛋白はベータアミロイド蛋白を阻害することにより、ヒトにおけるアルツハイマー病による神経の損傷を保護する、とSociety
for Neuroscience 学会で発表された。ヒトのアルツハイマー早期発症遺伝子を有するマウスは神経変性性脳疾患を発症せず、その脳組織のトランスサイレチンレベルは高値であった。また、抗トランスサイレチン抗体を投与すると特徴的な神経変性が認められた。In
vitroの実験でヒトの脳神経にトランスサイレチンを投与したところ、ベータアミロイドに暴露されても神経変性の程度はごく軽度であった。アルツハイマー病の有望な治療法や、トランスサイレチン存在下で蛋白のバランスをトランスサイレチンからベータアミロイドへ移動させる原因物質の研究が早急に進められるであろう。
双極性障害または統合失調症の小児に対する非定型抗精神病薬の投与によりインスリン抵抗性が増し、II型糖尿病および心疾患のリスクが上昇する可能性がある、とAmerican
Academy of Child and Adolescent Psychiatry学会で発表された。米国の小児(過剰体重または肥満の小児11人。オランザピン、クエチアピン、またはリスペリドンの内服開始後体重が約10%の増加)を対象とした小規模な研究で、インスリン抵抗性は高用量内服した小児6人全員を含む9人に認められ、高血圧、脂質異常、および蛋白尿も認められた。インスリン抵抗性のレベルは体重増加の程度から予測される以上に上昇したため筆者らは、これらの小児における代謝異常の発症には体重とは関係のないメカニズムが関与していると考えている。さらに大規模な研究を行うことにより、このメカニズムやこれらの患者に対する代謝疾患の監視の適否が明らかになるであろう。
強迫性障害の小児および青年に対して認知行動療法とsertralineの併用はどちらか一方のみよりも有効である、との研究結果がJournal
of the American Medical Association 10月27日号に掲載された。7〜17歳の患者計112人を、認知行動療法、sertraline、併用療法、またはプラセボ内服いずれかの群に無作為に割り付けた。97人(87%)の患者が研究に最後まで参加した。その結果、併用療法が最も有効であり、次いで認知行動療法、sertralineの順であった。いずれの治療法もプラセボよりは統計学的に有意で効果が大であった。また、これらの治療法は忍容性に優れ、治療により患者本人または他人を傷害するということはなかった。筆者らは、日常臨床の治療法としてこれらの併用療法または認知行動療法を施行するべきであると主張している。