小うつ病とそれに関連する障害は選択的セロトニン再取り込み阻害薬により治療可能である [2004-10-26]

Minor depression and associated impairment can be effectively treated with a selective serotonin reuptake inhibitor

1,500万人の米国人が罹患している、大うつ病の一種である小うつ病は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬により治療可能である、とAmerican Journal of Psychiatry 10月号に掲載された。小うつ病は治療すべきであるとの近年の意見に基づき、米国の研究者らは162人の患者をフルオキセチンまたはプラセボを12週間投与する群に無作為に割り付けた。その結果、うつ病症候群尺度、ハミルトンうつ病評価尺度、ベックうつ病評価尺度、臨床における全般的印象評価尺度、および全般的機能評価により評価した気分および心理社会的機能は、フルオキセチンにより有意に改善した。小うつ病の治療と大うつ病のリスクに関する長期研究はまだ行われていない。

 

自閉症の少年の脳は言語障害の有無により核磁気共鳴画像上明らかな違いがある [2004-10-26]

Magnetic resonance imaging shows clear brain differences among autistic boys associated with the presence or absence of language impairment

言語障害を有する自閉症の少年と言語発達が正常な自閉症の少年の脳では核磁気共鳴画像上違いがある、とAnnals of Neurology 10月11日号オンライン版に掲載された。研究者らは彼らが予測したように、言語発達が正常な自閉症少年においては正常に左右非対称なブローカ野の肥大が認められたが、言語障害を有する少年においては左右が逆であることを見いだした。この言語障害を有する自閉症児の画像所見が他集団の小児のものと類似していることは、自閉症は一つの異常ではなくいくつかの障害が重なったものであることを示すさらなる根拠となる。この結果は、将来の自閉症関連研究のデータ解析における手引きとなる可能性がある。

人格障害の症状はこれまでに考えられていたよりも遥かに御しやすく、時間とともに軽減しやすい可能性がある [2004-10-19]

Symptoms of personality disorders may be far more flexible and liable to decrease over time than previously thought

人格障害患者の長期研究の結果、その症状はこれまでに考えられていたよりも遥かに御しやすく時間とともに軽減しやすい可能性がある、とArchives of General Psychiatry 10月号に掲載された。米国の研究者らは人格障害患者250人を4年間に3回にわたり、国際人格障害検査(International Personality Disorders Examination)で評価した。時間経過による人格障害の安定化や変化は個人成長モデルを用いて評価された。平均して彼らは人格障害を示すスコアが年に1.4ずつ低下した。治療により時間経過による症状の改善率は上昇したが、症状変化の経過そのものは変化しなかった。

 

あるアンジオテンシン変換酵素阻害薬はアルツハイマー病に伴う認知機能低下の発症を遅延させる可能性がある [2004-10-19]

Certain angiotensin-converting enzyme inhibitors may slow the rate of cognitive decline associated with Alzheimer’s disease
血液脳関門を通過するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬はアルツハイマー病に伴う認知機能低下の発症を遅延させる可能性がある、とNeurology 10月12日号に掲載された。ある非盲検試験で、軽度から中等度の疾患を有する日本の成人162人がベースラインおよび1年後に認知検査を受けた。患者を降圧薬の種類(血液脳関門を通過するACE阻害薬[ペリンドプリルまたはカプトプリル]、血液脳関門を通過しないACE阻害薬、またはカルシウム拮抗薬)で群別したところ、血液脳関門を通過するACE阻害薬を内服した群では一年間の認知機能低下が最も少なかった(それぞれ0.6対4.6対4.9点)。アルツハイマー病患者においては一般的にアンジオテンシン変換酵素レベルが高いことが知られており、また血圧コントロールは3群において違いがなかったことから筆者らは、脳内通過薬剤により脳内のレニン−アンジオテンシン系を直接変化させた可能性があると仮説を立てている。

慢性不眠症に対し認知行動療法はゾルピデムよりも有効である [2004-10-12]

Cognitive-behavioral therapy appears to be more effective than zolpidem in treating chronic sleep-onset insomnia

慢性入眠障害に対し認知行動療法はゾルピデムよりも有効である、とArchives of Internal Medicine 9月27日号に掲載された。不眠症の若年および中年63人を行動リラックス療法、ゾルピデム、またはこれらの併用療法をプラセボと比較した。8週間の試験週間の中間時点で(ゾルピデム群は依然として入眠に必要な用量の全体量を内服)、認知行動療法および併用療法患者において入眠時間の改善が最も高率に認められ(44%)、ゾルピデム内服群におけるその割合は29%、プラセボ群では10%であった。試験の終了時点で(ゾルピデム群は中間時点から内服を漸減終了)、認知療法群および併用療法群の入眠障害は52%減少し、その効果はその後長期にわたり継続した。一方、入眠剤内服およびプラセボ群においてはベースラインのレベルに戻っていた。

 

前向き試験の結果、低出生時体重および出生時の母親の年齢が10代であることは後の自殺リスクの上昇を予測する独立した因子であることが示唆された [2004-10-12]

Prospective study indicates that low birthweight and birth to a teenage mother are independent predictors for later increased risk for suicide
低出生児体重および出生時の母親が10代であることはその子供の後の自殺リスクを上昇させる、とLancet 9月25日号に掲載された。スウェーデンの研究者らは、70万人以上の人々を前向きに追跡調査し、10〜26歳における自殺企図および自殺を評価した。その結果、低出生時体重(2kg以下)および出生時の母親の年齢が10代であると、対照集団(出生時体重3〜5kgおよび母親の年齢が20〜29歳)と比較し、自殺を試みる確率が2倍以上であった。リスクは、出生時低身長(ハザード比 1.29)、第4子以降(1.79)、および低学歴の母親(1.36)などでも上昇すると報告された。母親の年齢が高齢(29歳以上)であることは自殺に対しては防御的に働いた。この結果は、妊娠前であっても出産可能年齢の女性の精神衛生を健康に保つことの重要性を強調している。

ウォーキングは男性の痴呆のリスクを有意に低下させる可能性がある [2004-10-05]

Walking may significantly decrease risk for dementia in older men

高齢男性(71〜93歳)のうち一日の歩行量が最も少ない群では、より多く歩く同条件の者と比較し痴呆のリスクが有意に高かった、とJournal of the American Medical Association 9月22日号に掲載された。1991〜1993年にかけて、身体的に運動が可能な男性2,257人の運動習慣を評価し、1997〜1999年まで追跡調査した。年齢で補正した結果、一日の歩行が0.25マイル未満の者は一日2マイル以上歩行する者と比較し、痴呆のリスクが1.8倍高かった。一日に0.25〜1マイル歩行する者は最も多く歩行する者(一日2マイル以上)と比較し、リスクは71%高かった。この相関関係は他のいくつかの因子で補正した後も依然として認められた。同号の他の記事では、日常的に身体活動を行っている高齢女性は活動性の低い女性と比較し、認知機能検査の結果が良好であり、年齢に伴う認知機能の低下が緩徐であると報告されている。

 

常に前向き思考の高齢者はそうでない者と比較し身体的虚弱の発症が遅い [2004-10-05]

Older people with consistent positive affect have a delay in onset of physical frailty compared with less positive peers
常に前向き思考の高齢者はそうでない者と比較し身体的虚弱の発症が遅い、とPsychology and Aging 9月号に掲載された。身体虚弱を来していない高齢者計1,558人を7年間追跡し、体重減少、歩行速度、および握力などを計測した。精神状態および生活に対する姿勢は毎週質問形式で評価された。全体の身体虚弱の発生は追跡期間中に8%増加したが、前向き思考度の高い者においては有意に虚弱となりにくかった。関連危険因子で補正した結果、ベースラインの前向き思考度が一単位上昇するごとに身体虚弱のリスクは3%ずつ低下した。


 

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