1,500万人の米国人が罹患している、大うつ病の一種である小うつ病は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬により治療可能である、とAmerican
Journal of Psychiatry 10月号に掲載された。小うつ病は治療すべきであるとの近年の意見に基づき、米国の研究者らは162人の患者をフルオキセチンまたはプラセボを12週間投与する群に無作為に割り付けた。その結果、うつ病症候群尺度、ハミルトンうつ病評価尺度、ベックうつ病評価尺度、臨床における全般的印象評価尺度、および全般的機能評価により評価した気分および心理社会的機能は、フルオキセチンにより有意に改善した。小うつ病の治療と大うつ病のリスクに関する長期研究はまだ行われていない。
言語障害を有する自閉症の少年と言語発達が正常な自閉症の少年の脳では核磁気共鳴画像上違いがある、とAnnals
of Neurology 10月11日号オンライン版に掲載された。研究者らは彼らが予測したように、言語発達が正常な自閉症少年においては正常に左右非対称なブローカ野の肥大が認められたが、言語障害を有する少年においては左右が逆であることを見いだした。この言語障害を有する自閉症児の画像所見が他集団の小児のものと類似していることは、自閉症は一つの異常ではなくいくつかの障害が重なったものであることを示すさらなる根拠となる。この結果は、将来の自閉症関連研究のデータ解析における手引きとなる可能性がある。
人格障害患者の長期研究の結果、その症状はこれまでに考えられていたよりも遥かに御しやすく時間とともに軽減しやすい可能性がある、とArchives
of General Psychiatry 10月号に掲載された。米国の研究者らは人格障害患者250人を4年間に3回にわたり、国際人格障害検査(International
Personality Disorders Examination)で評価した。時間経過による人格障害の安定化や変化は個人成長モデルを用いて評価された。平均して彼らは人格障害を示すスコアが年に1.4ずつ低下した。治療により時間経過による症状の改善率は上昇したが、症状変化の経過そのものは変化しなかった。
慢性入眠障害に対し認知行動療法はゾルピデムよりも有効である、とArchives
of Internal Medicine 9月27日号に掲載された。不眠症の若年および中年63人を行動リラックス療法、ゾルピデム、またはこれらの併用療法をプラセボと比較した。8週間の試験週間の中間時点で(ゾルピデム群は依然として入眠に必要な用量の全体量を内服)、認知行動療法および併用療法患者において入眠時間の改善が最も高率に認められ(44%)、ゾルピデム内服群におけるその割合は29%、プラセボ群では10%であった。試験の終了時点で(ゾルピデム群は中間時点から内服を漸減終了)、認知療法群および併用療法群の入眠障害は52%減少し、その効果はその後長期にわたり継続した。一方、入眠剤内服およびプラセボ群においてはベースラインのレベルに戻っていた。
高齢男性(71〜93歳)のうち一日の歩行量が最も少ない群では、より多く歩く同条件の者と比較し痴呆のリスクが有意に高かった、とJournal
of the American Medical Association 9月22日号に掲載された。1991〜1993年にかけて、身体的に運動が可能な男性2,257人の運動習慣を評価し、1997〜1999年まで追跡調査した。年齢で補正した結果、一日の歩行が0.25マイル未満の者は一日2マイル以上歩行する者と比較し、痴呆のリスクが1.8倍高かった。一日に0.25〜1マイル歩行する者は最も多く歩行する者(一日2マイル以上)と比較し、リスクは71%高かった。この相関関係は他のいくつかの因子で補正した後も依然として認められた。同号の他の記事では、日常的に身体活動を行っている高齢女性は活動性の低い女性と比較し、認知機能検査の結果が良好であり、年齢に伴う認知機能の低下が緩徐であると報告されている。
常に前向き思考の高齢者はそうでない者と比較し身体的虚弱の発症が遅い、とPsychology
and Aging 9月号に掲載された。身体虚弱を来していない高齢者計1,558人を7年間追跡し、体重減少、歩行速度、および握力などを計測した。精神状態および生活に対する姿勢は毎週質問形式で評価された。全体の身体虚弱の発生は追跡期間中に8%増加したが、前向き思考度の高い者においては有意に虚弱となりにくかった。関連危険因子で補正した結果、ベースラインの前向き思考度が一単位上昇するごとに身体虚弱のリスクは3%ずつ低下した。