うつ病に罹患しやすい者は抑うつ状態でない時でも感情を調節している脳の回路が過剰に活性化している、とArchives
of General Psychiatry 8月号に掲載された。無投薬の寛解期の患者計27人および健常者19人を無作為クロスオーバー試験に組み込み、トリプトファンを含まない必須アミノ酸または外観の同じプラセボを内服させた。陽電子断層撮影法を行った結果、患者群においては、トリプトファン涸渇による症状再発の有無にかかわらず、眼窩前頭皮質、視床、前帯状回、および腹側線条体が過剰に活性化していた。しかし、プラセボを内服した患者にもトリプトファンの涸渇した健常者にも変化はみられなかった。代謝活性の異常と気分には関連はないため、筆者らは、トリプトファンの涸渇はうつ病に関連した先天的な特徴を暴露するのであろうと結論づけている。
12〜17歳の青年の大うつ病に対する治療には薬物療法と心理療法の併用が最も有効である、とJournal
of the American Medical Association 8月18日号に掲載された。米国のある大規模研究で青年患者439人をそれぞれ12週間の認知行動療法、フルオキセチン、併用療法、およびプラセボに割り付けた。併用療法を受けた者のうち71%が治療に反応したが、フルオキセチンのみで治療された者のその割合は60.6%であった(認知行動療法群は43.2%、プラセボ群は34.8%)。後者2群間の反応率には統計学的な有意差はなかった。良好な反応には臨床的に有意な自殺思考の減少も含まれた。
食物性ナイアシンは加齢による認知力低下やアルツハイマー病の発症を予防する可能性がある、とJournal
of Neurology Neurosurgery and Psychiatry 8月号に掲載された。研究者らは65歳以上の健常者3,718人を3年および6年間調査した。3年後には、無作為に選ばれた815人の臨床上の変化もチェックした。食事の情報は全ての時点で集計された。全体で、ナイアシンを最も多く摂っていた群の認知機能の低下は最も摂取量が少なかった群の44%であった。3年後にチェックを受けた815人中131人が後にアルツハイマー病と診断された。年齢、性別、人種、教育、およびApoE遺伝子で補正した結果、ナイアシン摂取量の最も低い(平均12.6
mg/day)群の人々は最も多い(22.4mg/day)群の人々よりもアルツハイマー病と診断される確率が80%高かった。
米国の大規模疫学研究によると薬物濫用と気分障害や不安障害は実質的に併存する、とArchives
of General Psychiatry 8月号に掲載された。現時点で薬物濫用をしている者の約20%が気分障害または不安障害を有していた。同様に、現在気分障害または不安障害を有する者の20%は現在も薬物を濫用していた。筆者らは、医師、精神科専門家、およびアルコールや薬物濫用の専門家に、薬物濫用が治療された場合には(例えば)併存する気分障害が改善すると考えずに様々な精神障害についても評価するよう促している。現在進行中の研究は併存疾患における因果関係を調査している。
外傷後ストレス障害の女性はうつ病のみを有する女性よりも合併症が多く健康面全体が不良である、とArchives
of Internal Medicine6月28日号に掲載された。研究者らは外傷後ストレス障害の女性(4,348人、平均年齢45.7歳)とうつ病のみの女性(7,580人、平均年齢50.2歳)、およびどちらも有さない女性(18,937人、平均年齢53.2歳)の身体症状や全体的な健康状態を比較した。どの年代においても外傷後ストレス障害の頻度は少なかったが、障害を有する女性の健康面全体は常に不良であった。筆者らは、うつ病を有し多くの合併症を有する患者に関しては外傷後ストレス障害の評価をすることを提案している。
抗うつ薬内服開始後1ヵ月以内の自殺行為のリスクは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と三環系抗うつ薬で同様なようである、とThe
Journal of the American Medical Association 7月21日号に掲載された。研究者らは英国のデータを使用し、フルオキセチン、パロキセチン、またはアミトリプチリンの内服を開始する患者とドスレピンを内服する患者の非致死性自殺行為のリスクを解析した。自殺行為のリスクは4剤いずれも同様であり、内服開始後9日間のリスクが最も高かった。データは10歳から19歳までの患者のものであり、得られる情報は限られているが、この研究からは4種の薬剤の効果に、ある重要な差は認められなかった。薬剤を中止することによりリスクが増大するであろう離脱現象は観察されなかった。
神経性無食欲症の治療を受けた女性は体重が復活し退院した後2年間はまだ再発のリスクが有意に高い、とPsychological
Medicine 5月号に掲載された。患者51人中35%が退院後2年以内(平均18ヵ月)に無食欲症(body
mass index 17.5% 未満の連続3ヵ月以上持続で定義)を再発した。退院直後の過剰な運動が最も強力な再発予測因子であったが、過去の自殺企図、強迫性障害、および体重や体形に対する過剰な関心もまた重要な予測因子であった。