対人関係療法を受けたうつ病の青少年は、学校ベースの他の療法を受けた同等者よりも改善が良好である、とArchives
of General Psychiatry 6月号に掲載された。New York Cityの学校ベースの5つの神経精神科クリニックで治療を受けた生徒(平均年齢15.1歳、女性84%)63人中、34人が12〜16週にわたり12セッションの対人関係精神療法を受け、29人は個人的なカウンセリングなどの従来の療法を受けた。対人関係療法を受けたグループは症状(本人の訴えおよび医療側の報告から得られた)がより軽減し、機能全体および臨床上の所見の改善もより大きく認められた。
自殺で死亡する10代青少年の脳内では情緒障害に関連する酵素の活性およびある精神安定剤の効力が減少しているようである、とArchives
of General Psychiatry 7月号に掲載された。研究者らは自殺で死亡した17人および精神疾患を有さず自殺を犯さなかった17人の10代青少年の脳を調査した。自殺した者のうち10人が男性で7人が女性であった。9人が精神障害の既往を有し、他の8人のうち2人はアルコールおよび薬物乱用の既往はあったが精神障害の既往は有さなかった。対照群は16人が男性で女性は1人であった。自殺で死亡した者のある脳の領域のプロテインキナーゼC活性は対照群の者と比較し統計学的に有意に低下していた。
60歳以上の閉経後女性に対しイソフラボンを含む大豆蛋白サプリメント投与を1年間試みた結果、認知機能に関して何も有効性が認められなかった、とJournal
of the American Medical Association 7月7日号に掲載された。健常なオランダ人女性計202人を大豆蛋白25.6g/day(イソフラボン99mg)摂取またはプラセボ(パウダーミルク蛋白)摂取群に無作為に割り付けた。ベースラインおよび1年後に認知機能、骨密度、および血漿脂質濃度を評価した。その結果、対照群と比較し大豆蛋白群で優れている指標は一つもなく、筆者らは、大豆蛋白サプリメントは閉経近くの女性には効果があるが閉経後に投与しても効果がないのではないかと考えている。
大うつ病の既往歴を有する人々は感情を調節している視床領域のニューロン数が平均より31%多く、またその領域の大きさも物理的に平均より大きい、とAmerican
Journal of Psychiatry 7月号に掲載された。大うつ病、統合失調症、双極性障害、および精神疾患を有さないコントロールの死後の脳をコンピュータ画像で解析した。その結果、大うつ病と他の3群の違いは抗うつ剤でコントロールした後も残存していたため、筆者らは、この解剖学的な違いがうつ病をもたらす構造上の異常を反映しているとの仮説を立てている。
高齢患者は本人が薬を内服している場面を思い浮かべることにより長期の薬剤コンプライアンスが良好となる可能性がある、とPsychology
and Aging誌6月号に掲載された。研究者らは糖尿病を有さないボランティア(60〜81歳)31人に自宅での血糖測定をするよう指導した。モニターにより検査を行った日にちと時間は印字された。スタディを開始する前に本人が測定をする場面を思い浮かべるトレーニングを行った者は決められた時間に採血を行った割合が76%であったが、説明書を記憶するかまたは検査の重要性の説明を書き出した者のその割合は46%
であった。筆者らは、この「思い浮かべた」群において実質的に成績が良好だったのは、自動記憶、つまり年齢とともに少しずつ衰える認知機能の力によるものであり、従って高齢患者に有用な方法である可能性があると考えている。
閉経後高齢女性に対するエストロゲン療法は痴呆のリスクは軽減せずむしろ増大させる可能性がある、とJournal
of the American Medical Association 6月23日号に掲載された。Women’s
Health の記憶担当グループは、65〜79歳の女性に対する結合型馬エストロゲンまたはエストロゲン/プロゲステロン投与とプラセボ投与を比較する、エストロゲン/プロゲステロントライアル(4,532人)およびエストロゲン単独療法(2,947人)を行った。データを収集したところ、痴呆の可能性が高い状態になるリスクはエストロゲン療法群において全体で76%高かった。ベースラインでのスコアがカットポイント以下(初期の認知機能低下を示唆する)であった者を除外したところ、エストロゲン療法により痴呆のリスクは2.19倍になると考えられた。
多くの一般的な疾患は高齢者の自殺の有意な独立危険因子である、とArchives
of Internal Medicine 6月14日号に掲載された。カナダの研究者らは、オンタリオ州の66歳以上で自殺した住民および彼ら一人当たり4人の条件の一致したコントロールの処方記録を調査した。死亡者1,329人(男性1,012人、女性317人)中、自殺のリスクを上昇させる最大の因子はうつ病、双極性障害および様々な原因による重度の疼痛であった。心疾患などの慢性疾患もリスクを上昇させ、多くの慢性疾患に対する治療によりリスクはさらに上昇した。