進行した痴呆の予後予測 
 
文化を超えた暴力行為 
 
脳の成熟に関する理解 
 
薬物依存と暴力犯罪 
 
アルツハイマー病の診断 
 
ドーパミンと報酬の認知 

 

6月14日、21日更新のDOL Newsは、ASCO特集としてOncology Newsを
それぞれ6題掲載しています。
そのため、Psychiatry Newsは6題となっております。




いくつかの因子を組み合わせることにより進行した痴呆患者の予後を推定することができる [2004-06-28]

Combination of factors helps to estimate prognosis for patients with advanced dementia

ある新たなモデルは進行した痴呆患者が半年以内に死亡するリスクを評価するのに役立つ、とJournal of the American Medical Association 6月9日号に掲載された。リスクスコアがある患者集団(6,799人)から計算され、もうひとつの集団(4,631人)においてその正当性が評価された。このモデルに含まれた予後を規定すると考えられる因子は(1)日常生活活動性スコア28点、(2)男性、(3)がん、(4)酸素投与の必要性、(5)うっ血性心不全、(6)息切れ、(7)ほとんどの食事で食事量が全体の25%に満たない、(8)状態が不安定である、(9)失禁、(10)寝たきり、(11)84歳以上、そして(12)日中ほとんど覚醒していない、であった。このスコアが高いものは半年以内に死亡するリスクが高かった。

 

青年期の暴力行為は様々な国において同様であるようである [2004-06-28]

Frequency of violent behaviors among adolescents appears to be similar in different countries
暴力行為は世界的な公衆衛生上の問題であり、様々な国において暴力行為の発生率は同等である、とArchives of Pediatrics & Adolescent Medicine 6月号に掲載された。米国、イスラエル、ヨーロッパの3つの国(合計男子10,610人、女子11,530人)から得られたWorld Health Organization (世界保健機構)のデータを解析したところ、喧嘩(40%)、および喧嘩による外傷(15%)の頻度はすべての国において同程度であったが、いじめの頻度は国により異なっていた。暴力関連行為はしばしば同時に発生した。つまり、喧嘩をするものの多くがいじめを行い、その逆もまた同様であった。より広範囲の文化からのデータを解析することにより、一国のデータおよび対策が他の国にも応用できるか否かについての知見が得られるであろう。

小児および青年の脳の核磁気共鳴画像を経時的に撮影した10年に及ぶ研究により正常な脳の発達の見識が得られる [2004-06-08]

Decade-long project that obtained serial magnetic resonance images in children and adolescents brings insight into normal brain development

脳の発達や退化を研究しているグループが、4〜21歳の脳を核磁気共鳴画像(MRI)で経時的に撮影した研究を終了したことで、正常な脳の発達を理解する上での新たな基準が得られた、とProceedings of the National Academy of Sciences オンライン版5月17日号に掲載された。彼らは13人の健常な小児または10歳代の青少年の脳を2年おきに10年間にわたりMRIで撮影した。この連続の画像は補正され大脳皮質の時間経過により変化する動画が作成された。最も目立ったのは、灰白質が後頭部から前頭部に動きながら減少して行く点である。この脳の変化の図や動画はNational Institutes of Healthのwebsite http://www.nimh.nih.gov/press/prbrainmaturing.mpeg.で閲覧可能である。

 

スウェーデンの研究によると暴力犯罪のほぼ4分の1は重度の薬物依存を有する者が犯している [2004-06-08]

Swedish study suggests that almost one quarter of violent crimes are committed by people with serious substance abuse problems
国家規模で行われたスウェーデン国民の研究によると暴力犯罪のほぼ4分の1は重度の薬物依存を有する者が犯している、とBritish Medical Journal 5月22日号に掲載された。3年間に発生した暴力犯罪全体の16%はアルコール濫用のため入院し退院した者によるものであった。国内の暴力犯罪全体のうち薬物濫用患者によるものは23%であった。筆者らは、精神医療および薬物濫用に対する指導のサービスを裁判所にまで拡大し、精神的な評価および治療が必要な人々を探し出しこれらのサービスを提供することを提案している。

臨床的アセスメントに新たな核医学技術を組み合わせることにより、高い正確性でアルツハイマー病を診断することが可能となる [2004-06-01]

Clinical assessment plus use of new nuclear medicine technique has high accuracy in diagnosing Alzheimer’s disease
臨床的アセスメントとシングルフォトン断層撮影(SPECT)を組み合わせることによりアルツハイマー病の診断がほぼ100%にまで押し上げられる、とJournal of Nuclear Medicine 5月号に掲載された。この新たな技術は後帯状回の血流低下を検索するものであるが、これによりアルツハイマー病と前頭側頭型痴呆を区別することができる。今回の研究では54〜92歳の60人に対し検査を行った。20人はアルツハイマー病の可能性があり、他の20人は前頭側頭型痴呆の可能性があり、他の20人はボランティアの健常人であった。アルツハイマー病の可能性の疑われる20人中16人において後帯状回の血流低下が認められた。前頭側頭型痴呆の疑われる20人中後帯状回の血流低下が認められたのはたったの1人でありその患者は再評価をした結果アルツハイマー病と診断された。
 

金銭報酬に関連したドーパミン放出のパターン [2004-06-01]

Patterns of dopamine release associated with monetary reward identified within the striatum
研究者らは、(ギャンブルのような)課題に対して金銭などの報酬を得たり失望したりする際の線条体におけるドーパミンの役割を理解するのに一歩前進した、とJournal of Neuroscience 4月号オンライン版に掲載された。9人に対して、ある金額の報酬を伴う(報酬を得られる可能性もあるが得られない可能性もある)カードゲームを行わせ、ポジトロン断層撮影を使用しドーパミン放出の増減を観察した。その結果、報酬の有無が不確定である時にドーパミン放出がベースラインから最も変化した。ドーパミンの伝達は左内側尾状核で増加しその近位部で低下した。さらなる研究により、ギャンブル中毒のような障害の科学的な根拠が解明されるであろう。
 


 

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