新薬により不眠症の高齢者の入眠時間が短縮され夜間覚醒回数も減少する [2004-05-25]

New drug reduces time to fall asleep and number of nightly waking episodes in elderly patients with insomnia
Eszopicloneと呼ばれる治験薬は不眠症の高齢者の入眠時間を短縮させ夜間覚醒回数も減少させることができる、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。65〜85歳の不眠症の患者計264人をeszopicloneまたはプラセボ群に無作為に割り付け、2週間にわたり観察した。データを解析した結果、eszopicloneを内服した患者は入眠時間、睡眠継続時間、および全体の睡眠時間が改善し、日中のうたた寝の頻度および時間が減少した。
 

治験により統合失調症患者の認知機能不全治療薬が評価されるであろう [2004-05-25]

Trial will evaluate new drug treatments for cognitive dysfunction in patients with schizophrenia
米国の国立衛生研究所(NIH)は統合失調症に伴う認知機能不全に対する新薬の有効性を評価する4年間の治験を開始した。この多施設試験は、注意力、記憶、および問題解決能力などの領域の認知機能不全が統合失調症に関連した障害の多くの原因となっているとの最近の研究結果を受けて施行されるものである。現在使用されている薬剤は、幻覚や妄想のような明らかな症状に対しては有効であるが、多くの患者を就業不能としている認知障害に対しては有効ではないようである。
 

長期作用型リスペリドンは症状の安定した青年を含む統合失調症患者に有効である [2004-05-18]

Long-acting risperidone benefits patients with symptomatically stable schizophrenia including young adults
他の薬剤で症状の安定した青年を含む、症状の安定した統合失調症患者が長期作用型リスペリドンに切り換えたところ、症状コントロールがさらに改善した、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。119人の成人患者を治療した6ヵ月の研究によると、Clinical Global Impression-Severity (CGI-S)指標で症状を評価した結果、「無症状」と思われるものはベースラインで2%であったのがスタディの終了時点で14%であった。同指標に基づく評価によると、ベースラインで症状が軽度以下の者が34%であったのがスタディ終了時には52%となっていた。青年(平均年齢23歳)を対象とした2つ目の50週間にわたるスタディの結果では、CGI-S 指標で「無症状」、「非常に軽度」および「軽度」と評価されたものはベースラインで39%であったのが終了時には60%と有意に増加した。
 

Ziprasidoneはオランザピンやリスペリドンと比較し体重や血中脂質に対する副作用が少ないようである [2004-05-18]

Ziprasidone appears to have far fewer adverse effects on weight and blood lipids than olanzapine or risperidone
内服薬をオランザピンやリスペリドンからziprasidoneに切り換えた統合失調症患者は、血中コレステロールや中性脂肪レベルを改善することに加え実質的な体重も減少させることができる、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。3つのトライアル計270人の患者において体重の減少度は患者が内服を中止してから経過した時間に関連した。解析の結果、オランザピンからziprasidoneに切り換えた患者は1年後に平均22ポンド減量し、リスペリドンから切り換えた者は15ポンド減量した。脂質プロファイルの変化はトライアル開始後早期に現れ、1年間の追跡期間中継続した。オランザピンから切り換えた患者のコレステロールは平均18mg/dL低下し、中性脂肪は55mg/dL低下した。リスペリドンから切り換えた患者においても低下の度合いは少なかったが同様のパターンが認められた。
 

早期発症双極性障害はオランザピンとfluoxetineを併用することでより症状が改善するようである [2004-05-18]

Patients with early-onset bipolar disorder are more likely to have improvement in symptoms with combination olanzapine and fluoxetine
オランザピン/ fluoxetine合剤は双極性障害患者の自殺念慮を迅速に軽減させ、早期発症の患者においては3倍反応しやすい、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。合剤(73人)、オランザピン(299人)またはプラセボ(316人)を8週間内服した患者を解析したところ、内服開始から1週間以内のMontgomery-Asberg Depression Rating Scale item 10 (MADRS-10)で評価した自殺念慮は、合剤を内服した患者においてオランザピンまたはプラセボを内服した患者と比較し有意に軽減していた。合剤(86人)、オランザピン(370人)またはプラセボ(377人)を内服する群に無作為に割り付け、急性期を解析したところ、早期発症(20歳未満)の双極性障害患者においては、合剤を内服したものにおいて反応(MADRSスコアの合計点数が50%以上低下することにより定義した)する割合が3倍であった。
 

Atomoxetineは注意欠陥/多動性障害を有する小児の症状を改善し睡眠に対する副作用は最小限である [2004-05-18]

Atomoxetine improves symptoms of attention-deficit/hyperactivity disorder in children with minimal negative effects on sleep
注意欠陥/多動性障害を有する小児はメチルフェニデートを1日3回内服するよりもatomoxetineを1日2回内服したほうが10倍早く入眠する、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。朝の起床困難および日中のイライラに対してもatomoxetineはメチルフェニデートと比較し有効であった。メチルフェニデートは夜間覚醒回数を軽減させる(0.2対2.9、p=0.006)がatomoxetineは睡眠時間を延長させた(10.8分対2.6分、p=0.017)。このデータは85人の小児をatomoxetineまたはメチルフェニデートで7週間治療し薬物のウォッシュアウト期間を設けた、二重盲検クロスオーバー試験の結果を示している。
 

感情刺激に対する扁桃細胞の反応にどのようにセクレチンが影響するかを理解することが、ある行動障害の治療につながる可能性がある [2004-05-11]

Understanding how secretin affects response of amygdala cells to emotional stimuli may lead to treatment for some behavioral disorders
セクレチンホルモンと感情刺激に対する扁桃の神経の反応との関係を新たに理解することにより、行動異常を特徴とするある種の精神障害の治療が導き出される可能性がある、とAmerican Academy of Neurology 学会で報告された。あるパイロットスタディで米国の研究者らは健常成人男性にセクレチンを投与し感情刺激に対する反応が変化するかどうかを観察した結果、機能MRIにおいて扁桃が変化することを実証した。扁桃の機能不全は統合失調症、うつ病、双極性障害、および自閉症などの一連の行動障害と関連のあることが知られている。
 

パーキンソン病に対して細胞移植を受けたと信じている患者においては強いプラセボ効果が認められる [2004-05-11]

Strong placebo effect seen in patients who believed they had received a cell transplant for Parkinson’s disease
パーキンソン病に対し細胞移植を受けたと信じているが実はシャム手術を受けた患者において術後1年間のQOLに対するプラセボ効果が認められることから、精神と身体の関連に関する新たなエビデンスが示される、という報告がArchives of General Psychiatry 4月号に掲載された。計40人の患者は胎児ドーパミン作動性神経移植術またはシャム手術群に無作為に割り付けられた。QOLの研究に参加した患者30人において、追跡期間中に行ったQOLの自己評価および神経機能の客観的な評価は、実際の手術内容よりも患者自身が受けたと思っている手術内容とより関連が見られた。二重盲検の内容が解き明かされると全体の動作の改善は、実際の治療内容により影響された。筆者らはこの強いプラセボ効果のため、さらに二重盲検の脳神経手術試験を継続する必要性を主張している。
 


 

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ
Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.