慢性的に軽度のうつ病を有する高齢者においては自宅での治療プログラムが有効である [2004-04-27]

Home-based program effective in treating minor depression in chronically ill older adults
慢性的に軽度のうつ病を有する高齢者においては自宅での治療プログラムが有効である、という報告がJournal of the American Medical Association 4月7日号に掲載された。米国の研究者らは軽度のうつ病または気分変調を有する高齢者138人を、ある特別な治療または通常の治療に割り付けた。この特別治療プログラムにはセラピストの訪問、身体活動や社会性の向上を強調した短時間の精神療法、および必要であれば向精神薬の投与などが含まれた。12ヵ月後、抑うつ症状が50%以上軽減した確率は、特別治療を受けた患者において通常の治療を受けた患者と比較して約5倍高く(43%対15%)、うつ病が完全寛解した確率は5倍近く多く(12%対36%)、そして健康関連のQOLの点ではより大きな改善が認められた。
 

ある種の統合失調症の基礎となる遺伝子多形が認められたことから他の原因遺伝子の知見が得られる [2004-04-27]

Identification of polymorphism underlying one form of schizophrenia may allow researchers to gain insight into other responsible genetic defects
統合失調症におけるある特殊なX染色体にリンクした遺伝子多形が認められたことから、本疾患がより広範囲の遺伝子にかかわっていることに関する理解が深まる可能性がある、という研究者らによる報告がAmerican Journal of Medical Geneticsオンライン版 2月11日号に掲載された。この多形遺伝子HOPA12pbは米国白人のおおよそ2%にみられるが、統合失調症患者はそれよりもはるかに少ない。HOPAを有している者の統合失調症では幻覚症状のある場合があるが、compromised thinking、注意力低下、および感情消失などの他の統合失調症症状は認められない。研究者らは、X染色体上のさらに大きな遺伝子複合体を研究することにより、統合失調症などを発症しやすくする遺伝子と環境因子の相互作用に対する知見がもたらされることを期待している。
 

新たにアルツハイマー病と診断された患者の長期生存率を予測する因子が発見された [2004-04-20]

Factors identified that predict long-term survival of patients newly diagnosed with Alzheimer’s disease
いくつかの臨床上の因子がアルツハイマー病患者の生存率を予測する、という報告がAnnals of Internal Medicine 4月6日号に掲載された。米国の研究者らは最近アルツハイマー病と診断された60歳以上の地域住民の男女521人を追跡調査した(平均追跡期間は約5年間)。全体で、患者の生存期間はアルツハイマー病ではない同年代の対象者の50%であり、患者の中では女性のほうが男性よりも長期間生存した(それぞれ診断後約6年および4年)。これらの男女差は高齢になるほど狭まった。また診断時の年齢自体も予測因子であった。70歳台で診断された患者は85歳以上で診断された患者よりも生存期間が長かった。診断時に精神神経学的動作が乏しいものは生存期間が短く、また糖尿病や虚血性心疾患などの合併症を有する場合も有意に生存期間は短かった。
 

外傷後ストレス障害は心臓手術後に集中治療室に長期滞在した学童期の子供において顕著である [2004-04-20]

Post-traumatic stress disorder prominent in school-age children with long stays in intensive care units after cardiac surgery
外傷後ストレス障害は心臓手術後に集中治療室に長期滞在した学童期の子供において多く認められることから、医師らは長期のまたは複雑な入院経過を送った若年患者の精神的脆弱性を再認識する必要がある、という報告がJournal of Pediatrics 4月号に掲載された。研究者らは先天性心疾患の手術を受けた5〜12歳の小児患者43人を評価した。手術前にはどの子供も精神障害は有していなかった。退院後、12%の子供は外傷後ストレス障害の診断基準に合致し、他の12%は特徴的な症状を有していた。集中治療室に48時間以上滞在すると障害のリスクが上昇した。障害を有する子供は小児精神科医を受診し評価と治療を受けた。
 

統合失調症患者において薬物治療に対するコンプライアンスが悪いことにより医療費が増大している [2004-04-13]

High medication noncompliance rate among patients with schizophrenia is linked with increased costs for medical care
統合失調症患者の約40%が通常内服を守れず、このコンプライアンスの悪さにより外来および入院患者の医療費が有意に増大している、という報告がAmerican Journal of Psychiatry 4月号に掲載された。米国の成人患者1,619人を対象としたある研究によると、24%が内服のスケジュールを全く守れず、17%は一部しか守れず、19%は処方された内容よりも多く内服した。コンプライアンスは若年の患者や独居患者においてより不良であった。スケジュールを全く守れない患者は守れる患者よりも入院率が2.5倍高く、一方、一部しか守れない患者や過剰に内服してしまう患者では入院率が80%高かった。過剰内服する患者は複数の向精神薬を内服しているものに多かった。 
 

糖尿病で入院した若年患者は自殺などの様々な理由で退院後に死亡するリスクが高い [2004-04-13]

Young people hospitalized for diabetes have increased risk for death after discharge from various causes including suicide
糖尿病で入院した若年患者は退院後3年以内に、自然経過ばかりでなく自殺によっても死亡するリスクが高い、という報告がBritish Medical Journal 3月27日号に掲載された。イギリスにおける1968〜1996年(追跡調査は1999年まで行った)の30年間に入院した患者のデータを解析したところ、糖尿病で入院した30歳未満の患者が4,992人検索された。追跡期間内に死亡した58人中糖尿病で死亡したのは29人であり、14人は他の疾患、9人は自殺、そして6人は事故により死亡した。全体で見ると、この若年層の死亡率は一般集団の9倍であった。医師らはこれらの患者群が自殺の誘引を含む様々な因子に対し脆弱であることを意識する必要がある。
 

高齢者における喫煙は喫煙をしたことのない者と比較すると認知能力の低下を5倍増加させる [2004-04-06]  

Smoking increases the rate of cognitive decline in elderly people up to five-fold compared with peers who never smoked
高齢者においては喫煙により認知能力の衰えが加速する、という大規模多施設研究がNeurology 3月23日号に掲載された。ヨーロッパの研究者らは65歳以上の痴呆のない者9,209人を平均2.3年間追跡調査し、Mini-Mental State Examinationで評価した。その結果、現役の喫煙者においては喫煙を全くしたことのない者と比較し、1年ごとの平均の認知能力低下速度は5倍早かった。つまり、一度も喫煙をしたことのない者(41%)では一年間に0.03ポイント低下したのに対し、現役の喫煙者(22%)においては0.16ポイント、過去の喫煙歴のあるもの(37%)においては0.06ポイントであった。認知能力の低下は喫煙量の多いものにおいてより著しく、この関連性は過去に喫煙していた者において有意であった。
 

うつに対するセントジョーンズワートの使用によりイマチニブの抗白血病作用が有意に低下する可能性がある [2004-04-06]  

Use of Saint John’s wort for depression may significantly decrease efficacy of anti-leukemia drug imatinib
軽度のうつに対して安全な自然療法と一般的に考えられているハーブのセントジョーンズワートは、イマチニブの白血病再発予防能力を有意に低下させる可能性がある、とAmerican Society for Clinical Pharmacology and Therapeutics学会で発表された。12人の健常人を対象とした研究の結果、この2つを同時に内服すると、イマチニブが有意に速く代謝され、その結果血中レベルが30%近くにまで低下することが示された。筆者らは、自然のサプリメントと医薬品の相互作用に関する研究をさらに行う必要がある、と主張している。また、医師らが患者に問診をする際には、サプリメントの使用に関し質問するよう呼びかけている。
 


 

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