テストステロンレベルの低下した男性はうつが発症しやすい、という報告がArchives
of General Psychiatry 2月号に掲載された。研究者らは45歳以上のうつでない男性278人を調査し、テストステロンとうつの関係を調べた。2年間のうちに、性ホルモンの低下した男性の21.7%においてうつが発症したのに対し、テストステロンレベルが正常であった者におけるその割合は7.1%であった。年齢、飲酒、前立腺がん、および他の健康状態で補正した結果、性ホルモンが低下した男性はうつと診断される確率が4.2倍高かった。筆者らは、この関係を確認するため前向き研究を行い、テストステロンが中年以上の男性におけるうつの予防または治療に役立つかどうかを調査する必要があると主張している。
老人ホームの入所者のある行動パターンが他の入所者からの暴力を受けやすくしている可能性がある、という報告がJournal
of the American Medical Association 2月4日号に掲載された。米国の研究者らはデータベースを使用し、1,132件の傷害記録を再調査した。傷害と関連のない入所者1,994人はコントロールとして無作為に選ばれた。最も多い傷害は打ち身または血腫と裂傷であった。傷害を受けた者は認知障害を有し、徘徊をしたり言葉遣いが荒い傾向にあり、社会的に不適切な行動をとりがちであった。男性は女性の2倍受傷する確率が高かった。広範囲に多くの補助を必要としている者は受傷しにくかった。筆者らはこれらの受傷の標的となるリスクの高い行動を防ぐよう対策をすることを提案している。
パニック障害患者の脳の重要な部位においてセロトニン受容体5-HT1Aの顕著な減少が認められ、このことから、この障害に対する遺伝的な罹患しやすさが説明できる可能性がある、という報告がJournal
of Neuroscience 1月21日号に掲載された。研究者らは16人の患者(うち7人は大うつ病も併発)およびコントロール15人に陽電子放射断層撮影を行い脳の受容体を視覚化した。また構造的磁気共鳴画像撮影も施行し、この画像に陽電子放射断層撮影の画像を上塗りすることにより、脳の構造と受容体マップを詳細に組み合わせた。パニック障害患者全員において前部帯状回、後部帯状回、および縫線の受容体数が平均3分の1近く減少していることが示された。この結果はまた、うつ病の研究と不安症の研究の関連を引き続き裏付けるものである。
メタンフェタミン禁断時に気分障害と類似の脳の異常が認められる、という報告がArchives
of General Psychiatry 1月号に掲載された。研究者らはメタンフェタミン濫用者17人の急性禁断期と18人の対照者に脳のポジトロンエミッション断層撮影を行った。撮影は彼らが注意力テスト施行中に行われた。検査日に濫用者らは対照群よりもうつや不安の症状を多く訴えた。画像の結果、濫用者においては脳のある部位の有意な糖代謝異常、つまり、うつに関連する部位の糖代謝低下や不安および薬物切望と関連する部位の代謝の増強が認められた。筆者らは、気分障害の治療が薬物禁断症状に有効かどうかを調べることが必要である、と述べている。