Memantineはドネペジルを内服している中等度から重症のアルツハイマー病患者の認知機能および日常生活の活動性の低下を軽減する、という報告がJournal
of the American Medical Association 1月21日号に掲載された。ある地域住民のうちこの研究に適している患者計404人をmemantine群(203人)またはプラセボ群(201人)に無作為に割り付け、そのうち322人(80%)が24週間の治験を終了した。認知、機能、ならびに全般的評価がベースライン、4、8、12、18、および24週後に行われた。Memantineおよびドネペジルの両者を内服している患者はプラセボとドネペジルを内服している患者と比較し、SIB(Severe
Impairment Battery)のような評価テストを用いたスコアに基づく予後が有意に良好であった。
外傷性脳損傷後最初の1年間は大うつ病が多く認められしばしば有意な不安症や他の精神障害を合併するとArchives
of General Psychiatry 1月号に掲載された。外傷性脳損傷患者91人と脳以外の多発外傷患者27人を12ヵ月調査した研究において、うつ病は脳損傷を負った患者において有意に起こりやすいことが示された。さらに、脳損傷を負いうつ病を有する患者はうつ病や不安症の既往歴を有する確率が高かった。臨床的には、脳損傷およびうつ病を有する患者は追跡期間中の実行能力、また6および12ヵ月後の時点の社会的機能が明らかに著しく低下していた。
頻回な朝の頭痛はうつ病や不安性障害のリスク上昇と関連がある、という報告がArchives
of Internal Medicine 1月12日号に掲載された。15歳以上のヨーロッパ人18,980人に対し電話での調査が行われ、頻回な朝の頭痛の特徴が評価された。その結果、朝の頭痛は約8%の人々において認められ、男性よりも女性に多く(8.4
%対 6.7 %)また45〜64歳の年代に多かった(約9%)。規制薬物の使用、臨床所見、睡眠、および精神障害に関する質問に基づくと、頻回の頭痛に最も多く合併しているのはうつ病と不安症であった。
双極性障害に伴ううつ病エピソードの治療に携わる米国の医師らは、オランザピンとfluoxetineの併用療法Symbyaxという新たな治療法を開始する。この薬物療法は米国において双極性うつ病に対する使用を初めて承認されたものである。Archives
of General Psychiatry 11月号において出版された論文で、米国の研究者らは数多くの8週間の研究データを解析し、実薬による治療を受けた患者はプラセボを投与された患者と比較し、1、3、4、6、および8週間後に有意にうつ症状の多大な改善を認めたことを報告している。抗うつ薬単独で治療された患者における主な副作用である躁病の発現は、実薬とプラセボ間で差はなかった。
80歳以降に発病するアルツハイマー病に遺伝子因子は関与しているが、その原因の少なくとも半分は他の因子による、という研究がAnnals
of Neurology 12月15日号オンライン版に掲載された。スウェーデンの研究者らは52歳から98歳の双子662組を平均5年間追跡した。追跡期間中、彼らのうち5.8%が他の研究と同様の基準でアルツハイマー病と診断された。一卵性双生児の中で、片方がアルツハイマー病を発症し、他方も発症したのは32.2%であった。二卵性双生児におけるその割合は8.7%にすぎなかった。統計学的モデルを使用した結果、研究者らは、遅発性のアルツハイマー病の発症には少なくとも半分は環境因子が関連していると結論付けた。
筋弛緩薬バクロフェンとカウンセリングを組み合わせることによりプラセボとカウンセリングの組み合わせよりも有意にコカイン濫用を軽減することができる、という報告がJournal
of Clinical Psychiatry 12月15日号に掲載された。このパイロットスタディで、米国の研究者らはコカイン濫用者35人をバクロフェンとカウンセリング併用群、他の35人をプラセボとカウンセリング併用群に無作為に割り付けた。16週間の観察期間にバクロフェン群の患者はプラセボ群と比較し尿検体から最近のコカイン使用が示される割合が有意に低かった。この差は特に慢性的な使用者でベースラインでのコカイン使用頻度の高い者において顕著であった。さらに大規模な多施設における同様な試験が計画されている。
行方不明となったアルツハイマー病や他の痴呆患者のほとんどは彼らの住居から1マイル程度の範囲内をさまよっているとの認識は、彼らのより有効な捜査方法の進歩に役立つとAmerican
Journal of Alzheimer’s Disease and Other Dementias 11/12月号に掲載された。米国の研究者らは患者が行方不明になったあと死体で発見された事件93件を解析した。小児や精神的能力のある成人とは異なり、痴呆患者は彼らの住居環境近接に引きこもる傾向にありまた捜索者が彼らの名前を呼んでも反応しない。これらの患者の捜索専門者をトレーニングすることにより行方不明となった痴呆患者の死亡数は減少するであろう。