転移のパターンの理解
  子宮頚がんの進行の阻止
  肥満と大腸がん  
  喫煙と結腸がん  
  小児がんの既往を有する者の乳がん  
  進行非小細胞肺がんの新たな治療法  

11月15、22日更新のDOL NewsはAHA2004特集のため、Oncology ニュースはお休みさせていただきました。


 
浸潤性HER2陽性乳がんにおいて過剰発現している細胞マーカーを同定することにより転移のパターンが説明できる [2004-11-30] 
Identification of cell marker over-expressed in aggressive HER2-positive breast cancers explains pattern of metastasis
第二の細胞マーカーであるCXCR4が浸潤性HER2陽性乳がんにより過剰発現していることが発見されたことにより、これらの腫瘍が肺、肝臓、および骨に転移しやすい理由が説明できる、とCancer Cell 11月号に掲載された。米国の研究チームは最初に、HER2を過剰発現した腫瘍は同時にケモカイン受容体蛋白CXCR4も過剰発現していることを示し、そして肺、肝臓、および骨組織にそのケモカインに適合する受容体が大量に存在することを発見した。動物実験モデルにおいてこの受容体をブロックすることにより転移が防御されることが示された後、研究者らはヒトの腫瘍分子の特徴を解析した。その結果、HER2およびCXCR4を過剰発現している腫瘍を有する女性はこれらのマーカーの過剰発現が認められない女性と比較し全体の生存率が不良であることが示された。研究者らは、このCXCR4の転移誘発作用を阻害する薬剤を開発中である。
2種類のパピローマウイルスに対するワクチンは世界的に子宮頚がんの発症率および死亡率を低下させる可能性がある [2004-11-30] 
A vaccine against two types of human papillomavirus has the potential to significantly decrease incidence and mortality of cervical cancer worldwide
子宮頚がん症例の約70%を引き起こす2種類のパピローマウイルス(HPV-16、HPV-18)に対するワクチンは世界的に子宮頚がんの発症率および死亡率を低下させる可能性がある、とLancet 11月13日号に掲載された。Phase II臨床治験で1,113人の女性は3種類の用量のワクチンまたはプラセボを6ヵ月間投与された。27ヵ月後、プロトコールを完了した女性においては、ワクチンはHPV16/18の持続感染に対し100%有効であった。ワクチンを1または2回しか投与されなかった者や追加投与を完全に受けなかった者においても、有効性は軽度低下したのみであったことは、意味のあることであった。それらの者においては、HPVの持続感染に対する有効性は95%、ウイルスによる細胞学的異常に対する有効性は93%、ウイルスによる子宮頚部組織の変化に対する有効性は100%であった。
Body mass indexの高値は女性において大腸がんのより有意なリスクファクターである [2004-11-09] 
A high body mass index is a more significant risk factor for colorectal cancer in women than in men
Body mass index(BMI)の高値は男性よりも女性において大腸がんのより有意なリスクファクターである、とAmerican College of Gastroenterology学会で発表された。米国の研究者らが無症状の成人2,300人(男性1,250人、女性1,050人)に大腸内視鏡検査を施行した結果、喫煙、年齢、飲酒、および家族歴で補正した後、BMIが40(肥満の閾値)以上の女性はBMIが25以下の女性と比較し問題のある新生物(大きなあるいは多発性のポリープ、高度異型、またはがんと定義)と診断される確率が5.2倍高かった。男性においても同様の傾向は認められたが、統計学的に有意ではなかった。
喫煙者は前がん状態の結腸ポリープの有意なリスクを有しそのリスクは喫煙期間とともに増大する [2004-11-09] 
Smokers have a significant risk for precancerous colon polyps that increases with duration of smoking
喫煙者は非喫煙者と比較し結腸ポリープのリスクが有意に高くそのリスクは喫煙期間とともに増大する、とAmerican College of Gastroenterology学会で発表された。成人157人(平均年齢55歳)を対象としたある前向き研究において、喫煙者は非喫煙者よりもポリープを有する確率が高く、またポリープの数は多く大きかった。回帰分析の結果、喫煙期間が一年延びるごとにポリープのリスクは4%ずつ増加した。興味深いことに食事および他の栄養素のデータから、ビタミンCを日常的に一日1,000mg以上摂取していた16人においてはポリープを有する者はひとりもいないという統計学的に有意な関係が認められた。
小児がんの既往を有する女性に特異的な乳がんのリスク同定により、増加している若年女性の乳がんのリスク層別化が向上する [2004-11-02] 
Identification of risk factors for breast cancer specific to survivors of childhood cancers improves risk stratification of a growing population
小児がんの既往を有する女性の乳がんのリスクファクターを同定することで、増加している若年女性の乳がんのリスク層別化が向上する、とAnnals of Internal Medicine 10月19日号に掲載された。小児がんを有する米国女性6,000人以上を対象とした研究において、小児期または青年期に胸部放射線照射を受けた場合、原発の腫瘍が骨または軟部組織肉腫(胸部照射は受けていない)の場合、または乳がんの家族歴を有する場合に発がん率が上昇した。胸部照射を受けた後に甲状腺疾患を発症した者も乳がんのリスクが高かった。一方、骨盤照射を受けた者は平均よりも乳がんのリスクが低いように見受けられたが、これはおそらくエストロゲン産生が減少しているためと思われる。
進行非小細胞肺がんに対するネオアジュバント化学療法と術前放射線療法の併用は化学療法と術後照射の併用と同様に有効である [2004-11-02] 
Neoadjuvant chemotherapy plus preoperative radiation is as effective for advanced non-small-cell lung cancer as chemotherapy plus postoperative radiation
進行非小細胞肺がんに対するネオアジュバント化学療法と術前放射線療法の併用は化学療法と術後照射の併用と同様に有効である、とAmerican Society for Therapeutic Radiology and Oncology学会で発表された。あるヨーロッパのphase IIIの無作為試験で、stage IIIAおよびIIIBの患者558人は術前照射および3クールの化学療法後に手術を施行されるか、術後に放射線照射を施行された。その結果、3年間の生存率は2群間で同等であり(術前群26.2% 対 術後群24.6%)、腫瘍のコントロール状況も同等であった。しかし、両群ともに重要な副作用が認められた。術前照射群においてはgrade IIIの食道炎、そして術後照射群においてはgrade III/IVの肺炎であった。


 

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