放射線療法を受けている頭頚部がん患者で軽度から中等度の貧血を有する者に対するエリスロポエチンの投与は生存率を改善しない [2004-10-26] 
Erythropoietin does not improve survival for patients with head and neck cancer and mild-to-moderate anemia receiving radiation therapy
放射線療法を受けている頭頚部扁平上皮がん患者で軽度から中等度の貧血を有する者に対するエリスロポエチン投与は生存率を改善しない、とAmerican Society for Therapeutic Radiology and Oncology学会で発表された。この研究の対象となった患者148人のヘモグロビンレベルは有意に改善したにもかかわらず、この放射線療法に対するホルモン療法の併用は腫瘍のコントロールや生存率を改善しなかった。しかし、エリスロポエチンを投与した患者において、昨年同様の研究で報告されたような統計学的に有意な原疾患の増悪はなんら認めなかった。
新たな技術を組み合わせることにより神経芽腫の臨床予後予測が可能となる [2004-10-26] 
Combination of new technologies allows physicians to successfully predict clinical outcome for patients with neuroblastoma
人工神経回路とDNA マイクロアッセイ法を組み合わせることにより神経芽腫の臨床予後予測が可能となる、とCancer Research 10月1日号に掲載された。49人の患者の遺伝子発現と臨床予後のデータから、患者の予後が良好(無病期間が3年以上)か不良(原疾患による死亡)かを88%の正確性で予測する基準回路算出法(baseline network algorithm)が確立された。重要な19の遺伝子を同定した結果、ネットワークの正確度は95%となり、現在の診断能力を超える進歩である。これにより医師らが予後不良のリスクのレベルに基づいた患者個人個人の治療計画をオーダーメイドできる可能性がある。
低線量放射線照射は細胞 DNA repair machinery活性化を回避するため、高線量放射線よりも多くのがん細胞を死滅させることができる [2004-10-19] 
Low-dose radiation may be able to kill more cancer cells than high-dose radiation because it avoids activation of cellular DNA repair machinery
低線量放射線ではDNA損傷を検出する蛋白が活性されていないため高線量放射線よりも多くのがん細胞を死滅させる、とAmerican Society for Therapeutic Radiology and Oncology学会で発表された。前立腺および大腸がんの細胞株の研究で、低線量放射線照射では高線量の2倍多くのがん細胞を死滅させた。研究者らは、がん細胞死滅効果が高い理由として、低線量放射線が蛋白を基盤とした損傷修復システムを活性化させないためであることを証明した。彼らは、低線量放射線とウイルスを介した腫瘍細胞内損傷修復蛋白活性化阻害薬の投与を組み合わせた方法を動物実験にて行う予定である。
尿中に排泄された細胞のDNAの変化を通して再発性膀胱がんを検出する検査の有用性を確認する3年間の研究が現在進行中である [2004-10-19] 
Three-year study is underway to validate test that detects recurrent bladder cancer through changes in DNA in cells shed in urine
尿中に排泄された細胞を解析することにより再発性膀胱がんを検出する検査であるUS National Cancer Institute’s Early Detection Research Networkの有用性を確認する3年間のphase IIIの研究が、現在進行中である。この検査は、Microsatellite解析を用いて、がんを示す短いタンデム反復変異を検索する。この研究では、尿中に排泄された上皮細胞内の膀胱がんに関連した15のバイオマーカーのDNAを同患者の正常とわかっている細胞(血液細胞など)と比較する。コントロールには、膀胱に異常のない者およびがんと誤診される可能性のある腎結石や尿路感染症などの良性の膀胱疾患を有する患者が選ばれる。
乳房切除術直後の乳房再建術は創部の合併症率は増加させるが化学療法の開始は遅らせることはない [2004-10-12] 
Immediate reconstruction after mastectomy for breast cancer increases wound complications but does not delay chemotherapy
乳房切除術と同時に乳房再建術を行うことにより術後化学療法の開始を遅らせることはないと、この問題を解決する研究結果がArchives of Surgery 9月号に掲載された。研究者らは、米国のある大学病院で1995〜2002年に乳房切除術を施行された女性128人のカルテを調査した。創部の合併症は直後再建術施行例に多かったが、一般的には軽度の皮膚感染や小さなかさぶた程度などで軽症であり、化学療法開始を遅らせる程ではなかった。創部合併症のために化学療法開始が6週以上延期になったのは128人中4人のみであり、しかもそのうち2人は同時乳房再建術は受けず乳房切除術のみを受けた患者であった。
尿検体の臭気解析を教えることにより犬が人間の膀胱がんを発見することができる [2004-10-12] 
Dogs can be taught to detect human bladder cancer through smell analysis of urine samples
尿検体の臭気解析を教えることにより犬が人間の膀胱がんを発見することができる、との原理検証型研究の結果がBritish Medical Journal 9月25日号に掲載された。研究者らは6匹の犬に、膀胱がん患者の尿とコントロール(健常者と良性泌尿器疾患患者)の尿を識別するよう教育した。7ヵ月の教育の後、犬は一回に7検体(うち膀胱がん1検体および性別を匹敵させたコントロール6検体)を9回にわけて、計63検体を嗅ぎ分けた。一部のコントロールは年齢も合わせた。全体で、犬は膀胱がんを54回中22回正常に見分けることができた。つまり、無作為に選んだ場合14%のところ41%の正解率であった。膀胱がんを発見する能力は血液の混入などの他の化学因子には影響されなかった。
動物実験における、膀胱からインターフェロンαを分泌させる遺伝子治療は非常に有望である [2004-10-05] 
Gene therapy that causes the urinary bladder to secrete interferon-alpha shows great promise in animal trials
動物実験における、膀胱から高濃度のインターフェロンαを分泌させる遺伝子治療は非常に有望である、とMolecular Therapy 9月号に掲載された。研究者らは組み換えアデノウイルスを使用し二つの遺伝子(インターフェロンαおよび遺伝子発現を増加させるSyn3)を導入し、健常マウスの膀胱細胞およびヒト膀胱がん細胞への誘導の過程を記録した。カテーテルを用いたこれら二種類の遺伝子導入により、腫瘍サイズの縮小または完全な反応が認められた。この治療法は、通常はインターフェロンαに抵抗性のヒトの浸潤性表層がん細胞株にも有効であったため、研究者らは初回の臨床治験を行うよう熱心に勧められている。
高用量イマチニブは消化管間質腫瘍患者の無増悪生存期間を軽度改善する [2004-10-05] 
Imatinib in high doses can slightly improve progression-free survival for patients with gastrointestinal stromal tumors
イマチニブの400mg一日一回投与により消化管間質腫瘍の治療に対する反応が誘導され、倍量を投与することにより無増悪生存期間が軽度改善する、とLancet 9月25日号に掲載された。ある国際研究で転移性腫瘍を有する患者946人に対する一日一回および二回投与の効果を評価した。約2年後に、二回投与された患者のうち原病の進行が認められたのは50%であったのに対し、一回投与された患者におけるその割合は56%であった。ほぼ全ての患者(両群とも99%)において副作用が認められた。今後のトライアルによって、一回投与により治療に対する反応を誘導しその後二回投与により腫瘍の進行を抑制することにより、今回のスタディの用量と同様に有効で忍容性があるかどうかが明らかにされるであろう。
 


 

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