放射線療法を受けている頭頚部扁平上皮がん患者で軽度から中等度の貧血を有する者に対するエリスロポエチン投与は生存率を改善しない、とAmerican
Society for Therapeutic Radiology and Oncology学会で発表された。この研究の対象となった患者148人のヘモグロビンレベルは有意に改善したにもかかわらず、この放射線療法に対するホルモン療法の併用は腫瘍のコントロールや生存率を改善しなかった。しかし、エリスロポエチンを投与した患者において、昨年同様の研究で報告されたような統計学的に有意な原疾患の増悪はなんら認めなかった。
低線量放射線ではDNA損傷を検出する蛋白が活性されていないため高線量放射線よりも多くのがん細胞を死滅させる、とAmerican
Society for Therapeutic Radiology and Oncology学会で発表された。前立腺および大腸がんの細胞株の研究で、低線量放射線照射では高線量の2倍多くのがん細胞を死滅させた。研究者らは、がん細胞死滅効果が高い理由として、低線量放射線が蛋白を基盤とした損傷修復システムを活性化させないためであることを証明した。彼らは、低線量放射線とウイルスを介した腫瘍細胞内損傷修復蛋白活性化阻害薬の投与を組み合わせた方法を動物実験にて行う予定である。
尿中に排泄された細胞を解析することにより再発性膀胱がんを検出する検査であるUS
National Cancer Institute’s Early Detection Research Networkの有用性を確認する3年間のphase
IIIの研究が、現在進行中である。この検査は、Microsatellite解析を用いて、がんを示す短いタンデム反復変異を検索する。この研究では、尿中に排泄された上皮細胞内の膀胱がんに関連した15のバイオマーカーのDNAを同患者の正常とわかっている細胞(血液細胞など)と比較する。コントロールには、膀胱に異常のない者およびがんと誤診される可能性のある腎結石や尿路感染症などの良性の膀胱疾患を有する患者が選ばれる。
乳房切除術と同時に乳房再建術を行うことにより術後化学療法の開始を遅らせることはないと、この問題を解決する研究結果がArchives
of Surgery 9月号に掲載された。研究者らは、米国のある大学病院で1995〜2002年に乳房切除術を施行された女性128人のカルテを調査した。創部の合併症は直後再建術施行例に多かったが、一般的には軽度の皮膚感染や小さなかさぶた程度などで軽症であり、化学療法開始を遅らせる程ではなかった。創部合併症のために化学療法開始が6週以上延期になったのは128人中4人のみであり、しかもそのうち2人は同時乳房再建術は受けず乳房切除術のみを受けた患者であった。
尿検体の臭気解析を教えることにより犬が人間の膀胱がんを発見することができる、との原理検証型研究の結果がBritish
Medical Journal 9月25日号に掲載された。研究者らは6匹の犬に、膀胱がん患者の尿とコントロール(健常者と良性泌尿器疾患患者)の尿を識別するよう教育した。7ヵ月の教育の後、犬は一回に7検体(うち膀胱がん1検体および性別を匹敵させたコントロール6検体)を9回にわけて、計63検体を嗅ぎ分けた。一部のコントロールは年齢も合わせた。全体で、犬は膀胱がんを54回中22回正常に見分けることができた。つまり、無作為に選んだ場合14%のところ41%の正解率であった。膀胱がんを発見する能力は血液の混入などの他の化学因子には影響されなかった。