核磁気共鳴画像(MRI)はBRCA1またはBRCA2変異を有する女性の乳がんの検出に最も優れている、との研究結果がJournal
of the American Medical Association 9月15日号に掲載された。変異を有すると確認されている25〜65歳のカナダ人女性計236人に対しMRI、マンモグラフィー、および超音波検査によるスクリーニングを1年に1〜3回施行した。画像検査当日およびその後6ヵ月間隔で乳房の触診も施行された。その結果、22件の乳がん(浸潤がん16例、非浸潤性乳管がん6例)が発見された。それらのうち、17例(77%)はMRIで発見されたのに対し、マンモグラフィーで発見されたのは8例(36%)、超音波検査で発見されたのは7例(33%)、触診で発見されたのは2例(9.1%)であった。4種類の検査をすべて組み合わせた場合の感度は95%であり、一方、マンモグラフィーと触診のみを行った場合のそれは45%であった。
妊娠直前に野菜、果物、および蛋白を多く摂っている女性の子供は小児白血病のリスクが低い可能性がある、とCancer
Causes and Control 8月号に掲載された。研究者らは、急性リンパ芽球性白血病の子供を持つ女性138人と小児がんを有さない(白血病患者と年齢、性別、人種、および出生地などの条件が同等の)子供を持つ女性138人を比較した。女性らが摂った特定の食物を解析した結果、肉類および豆類双方に含まれる抗酸化物質であるグルタチオンが、健常な子供を有する母親の摂取する食事の重要な栄養素であることが示唆された。筆者らは女性および医師らに、子供を白血病にする遺伝子変化が子宮内で起こっている可能性があり、この遺伝子変化は妊婦が摂っている食事により良くも悪くも影響を受ける可能性があることを主張している。
乳がんをマンモグラフィーのスクリーニングにて発見された患者は、スクリーニング以外で乳がんを発見された患者よりも遠隔期の再発のリスクが低い、とJournal
of the American Medical Association 9月号に掲載された。フィンランドの研究者らは、1991〜1992年に乳がんを有していた患者2,842人の医療記録を調査した(平均追跡期間9.5年)。腫瘍細胞陽性の腋窩リンパ節数、原発の腫瘍サイズ、診断時年齢、および組織学的進行度(histological
grade)で補正しても、乳がんをスクリーニング以外で発見された患者は、マンモグラフィーで発見された患者と比較し再発のリスクが90%高かった。編集局の記者は、さらに研究を行うことにより、再発のリスクや化学療法の必要性などの点から患者を階層化することが可能となるであろう、と述べている。
同胞(兄弟姉妹)から供給されたT細胞が転移性乳がんの一部の患者に部分的に反応したことから、免疫療法はこれらの患者に対して有望である可能性を持ち続ける、とJournal
of Clinical Oncology オンライン版8月16日号に掲載された。平均3ヵ所の転移を有する患者16人に、T細胞および成人幹細胞濃度を徐々に上昇させ注射したところ、6人においてある程度の部分的な反応が認められ、それは平均3ヵ月持続した。主な合併症は移植片対宿主病であり、これは移植前処置を行っているにもかかわらず多くの患者において発症した。現在進行中の研究は抗がん効果を改善し移植片対宿主病の発症率を最小限にすることを目的としている。
臨床的に局所的な前立腺がん患者には放射線療法に6ヵ月間のアンドロゲン抑制療法を併用することにより生存率が改善する、とJournal
of the American Medical Association 8月18日号に掲載された。研究者らは206人の患者を3DCRT(三次元原体照射法)または併用療法に無作為に割り付けた。中間追跡期間4.5年の後、推定5年生存率は併用療法群において88%であったのに対し放射線療法のみの群においては78%であった。放射線単独療法群においてはがん死6例、他の原因による死亡17例であったが併用療法群ではがん死はなく、他の死亡は12例であった。筆者らは、臨床的に利益を得るにはホルモン療法は6ヵ月までで十分であり、また副作用は最低限にとどめられると結論付けている。