合意ガイドラインに沿った治療を受けた乳がん患者は異なった治療を受けた患者よりも再発率が低く生存期間が長い [2004-08-31] 
Breast cancer patients with treatment per consensus guidelines have reduced recurrence and longer survival than patients with treatments that differ
乳がんに対する確立されたガイドラインを遵守した治療は、生存期間を延長し再発率を低下させる、とJournal of Clinical Oncology オンライン版8月2日号に掲載された。1988〜1994年にリンパ節転移のない浸潤がんと診断された患者をレトロスペクティブに調査したカナダの研究で、全身の治療をSt-Gallenガイドラインに従い治療された患者1,002人とガイドラインと異なった治療をされた患者380人を比較した。再発のリスクが中等度の患者ではガイドラインに基づく治療を受けた患者の7年生存率は88%であったが、異なる治療を受けた患者のそれは79%であった。さらに、7年間の再発率はガイドラインと異なる治療を受けた患者群において高かった。
マウスにおいて悪性黒色腫周囲の健常な皮膚の熱ショック応答を誘発することによりがん腫瘍を根絶させることが可能である [2004-08-31] 
Induction of heat shock response in healthy skin cells near malignant melanomas can eradicate the cancerous tumors in mice
健常な皮膚細胞を破壊し、腫瘍細胞を死滅させる熱ショック応答を誘発するがんワクチン法によりマウスの悪性黒色腫を根絶させた、とNature Biotechnology 8月号に掲載された。この国際研究チームは、あるheat shock proteinに結合したメラノサイト抗原に対するワクチンを開発した。健常なメラノサイトが一定数死滅するとheat shock proteinが放出され、それが腫瘍細胞を全て死滅させた。抑制T細胞を含むマウスの免疫系の応答により自己免疫反応は抑制された。さらなる研究により、異なる型の腫瘍に対するこのワクチンの働きが評価され、臨床研究へと進むであろう。
フランスの研究結果からエピルビシンは乳がんに有効で心毒性は低いことが示された [2004-08-23] 
Results from French studies indicate that epirubicin is effective against breast cancer while low in cardiotoxicity
エピルビシンは乳がんに有効で、化学療法終了後約10年経過した時点での心毒性が低い、とJournal of Clinical Oncology 8月号に掲載された。早期の解析で、全体のcancer-free生存率および全体の生存率は、エピルビシン100mg/m2とフルオウラシルおよびシクロフォスファミドを併用した群においてエピルビシン 50mg/m2と前述の2剤を併用した群よりも良好であった。再発のない患者150人の心機能を評価したところ(中間追跡期間102ヵ月)、高用量で治療された患者のうち2人(85人中2人、2.4%)に治療によると思われるコントロール良好な心不全が認められた。無症状の左心機能不全患者18人中8人(85人中8人、9.4%)は化学療法が原因の心機能低下であると考えられた。無症状の患者で循環器疾患の症状を示す者はいなかった。低用量で治療された患者の1人に無症状の軽度左心機能不全が認められたが、因果関係は明らかではない。
T細胞の調節経路に極めて重要な蛋白の欠損が小児急性T細胞白血病に特徴的なようである [2004-08-23] 
Loss of protein vital to regulatory pathway for T-cells appears to be unique to childhood acute T-cell leukemia
T細胞の細胞増殖を調節している経路に重要な蛋白であるSmad3の欠損が小児急性T細胞白血病に特異的であるようだ、とNew England Journal of Medicine 8月5日号に掲載された。小児のB細胞、T細胞、および非リンパ性白血病の検体を調べている研究者らは、Smad3の欠損が急性T細胞白血病に特徴的であることを発見し、後にSmad3はSezary症候群やウイルスによるT細胞白血病などの成人に発症する疾患では欠損していないことを見いだした。この発見により、異なる型の白血病の分子学的特徴に関する新たな知見が得られる。
Laminin-8の過剰発現は悪性神経膠腫の進行性を示すマーカーである [2004-08-10] 
Over-expression of laminin-8 is a marker for more aggressive behavior in malignant glioma
悪性神経膠腫基底膜のlaminin-8発現の程度により腫瘍の再発のリスクおよび患者の生存期間が予測できる、とCancer 8月号に掲載された。ある国際研究チームが健常脳および低〜高悪性度の神経膠腫の組織検体を解析した結果、低悪性度の腫瘍では実質上laminin-8の発現がみられないものが悪性度4の腫瘍(多型性神経膠芽腫)においてはlaminin-8の過剰発現がみられるという、悪性度に伴うlaminin-8発現の度合いの変化が認められた。多型性神経膠芽腫のうち、laminin-8過剰発現の度合いの高いものほど再発までの期間が短く生存期間も短かった。現在進行中の研究により、laminin-8を最も進行の速い脳腫瘍の新たな治療の標的として使用できるかどうかが示されるであろう。
急性リンパ性白血病に対し化学療法を受けた子供は健常人の200倍の遺伝子損傷を有している [2004-08-10] 
Children who receive chemotherapy and survive acute lymphocytic leukemia have a 200-fold increase in genetic damage as adults
急性リンパ性白血病に対し化学療法を受けた子供は健常人の200倍の遺伝子損傷を有しており、これにより成人期に他の新たながんや疾患のリスクが高くなる可能性がある、とCancer Research 7月1日号に掲載された。研究者らは急性リンパ性白血病の小児患者45人(診断時平均年齢5.5歳)のT細胞マーカー遺伝子(HPRT)の変異の頻度を診断時、化学療法中、および治療終了後に評価した。診断時には患者と健常人の遺伝子変異の頻度は同等であったが、治療経過中に変異の頻度は徐々に上がり続け、治療後には200倍以上になった。これまでの臨床上のデータから、生存している患者は新たながんや他の疾患のリスクが5〜20倍高いことが示されている。
乳がん間質細胞の遺伝子活性が乳管がんの悪性細胞の成長を刺激する可能性がある [2004-08-02] 
Gene activity in benign breast stromal cells may stimulate growth of malignant cells in ductal carcinoma
乳がん間質細胞の遺伝子活性は乳管がんの悪性細胞の成長の刺激に重要である可能性があり、がん細胞と異常間質細胞を標的とした治療が既存の治療法よりも有効である可能性が示唆される、とCancer Cell 7月20日号に掲載された。正常乳房組織、in situの乳管がん、浸潤がんの検体の6つの細胞型の遺伝子活性を評価した結果、研究者らは、発がん性およびがんの進行に関連した遺伝子発現のパターンを発見した。特に、がんの進行に関係のあるケモカインを暗号化するCXCL12 および CXCL14遺伝子が、新たな治療法または新たに診断された腫瘍の進行性を予測する検査法の標的となる可能性がある。
前立腺がんに対しより強力な放射線療法を行う傾向により治癒率が上昇する [2004-08-02] 
Trends toward greater aggressiveness with radiation therapy linked with higher cure rates for prostate cancer
前立腺がんに対しより強力な放射線療法を行う傾向にあることにより治癒率が上昇する、とInternational Journal of Radiation Oncology*Biology*Physics 7月15日号に掲載された。米国患者550人以上の1999年のカルテ調査(1989および1994 年の結果と比較した)から、初期段階およびさらに進行したがんに対しより高線量の体外照射が用いられていることが示された。1999年には患者の45%が高線量で治療されていたが、1989年および1994年におけるその割合は3%であった。さらに臨床トライアルの結果、抗アンドロゲン療法と高線量放射線照射療法の併用やCT画像に基づいた局所照射や集光照射法を行う方向にある。
 


 

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