乳がんに対する確立されたガイドラインを遵守した治療は、生存期間を延長し再発率を低下させる、とJournal
of Clinical Oncology オンライン版8月2日号に掲載された。1988〜1994年にリンパ節転移のない浸潤がんと診断された患者をレトロスペクティブに調査したカナダの研究で、全身の治療をSt-Gallenガイドラインに従い治療された患者1,002人とガイドラインと異なった治療をされた患者380人を比較した。再発のリスクが中等度の患者ではガイドラインに基づく治療を受けた患者の7年生存率は88%であったが、異なる治療を受けた患者のそれは79%であった。さらに、7年間の再発率はガイドラインと異なる治療を受けた患者群において高かった。
T細胞の細胞増殖を調節している経路に重要な蛋白であるSmad3の欠損が小児急性T細胞白血病に特異的であるようだ、とNew
England Journal of Medicine 8月5日号に掲載された。小児のB細胞、T細胞、および非リンパ性白血病の検体を調べている研究者らは、Smad3の欠損が急性T細胞白血病に特徴的であることを発見し、後にSmad3はSezary症候群やウイルスによるT細胞白血病などの成人に発症する疾患では欠損していないことを見いだした。この発見により、異なる型の白血病の分子学的特徴に関する新たな知見が得られる。
急性リンパ性白血病に対し化学療法を受けた子供は健常人の200倍の遺伝子損傷を有しており、これにより成人期に他の新たながんや疾患のリスクが高くなる可能性がある、とCancer
Research 7月1日号に掲載された。研究者らは急性リンパ性白血病の小児患者45人(診断時平均年齢5.5歳)のT細胞マーカー遺伝子(HPRT)の変異の頻度を診断時、化学療法中、および治療終了後に評価した。診断時には患者と健常人の遺伝子変異の頻度は同等であったが、治療経過中に変異の頻度は徐々に上がり続け、治療後には200倍以上になった。これまでの臨床上のデータから、生存している患者は新たながんや他の疾患のリスクが5〜20倍高いことが示されている。