多形性膠芽腫に関連した3つの抗原から生み出された免疫療法は、実験や第I相臨床試験から有望であるとの結果が得られた、と
Cancer Research 7月15日号に掲載された。その3つの抗原、つまり、HER2、 gp100、およびMAGE-1は近年脳腫瘍細胞から発現されていることが確認された。第I相試験では再発性腫瘍を有する患者7人それぞれの腫瘍標本から樹状細胞ワクチンが用意された。ワクチンをうった患者の生存期間の中央値は133週間であったのに対し、同様の治療を受けワクチンをうたなかった7人の患者のそれは30週間であった。第II相試験がほぼ終了し、第III相試験が計画されている。
入院がん患者の重大な合併症である重症敗血症は、米国において毎年がん死の原因の10分の1を占めている、とCritical
Care 7月号に掲載された。研究者らが米国の6つの州の入院データを調査したところ、1年に入院したがん患者の5%に重症敗血症が認められた。重症敗血症を合併したがん患者の死亡率は、敗血症を有さない入院がん患者のそれの約5倍であった(それぞれ37.8%と7.2%)。筆者らは医師らに対し、がんまたは治療による免疫抑制が感染のリスクファクターとなることに留意し感染コントロールに力を入れること、またがん患者の感染症は迅速に治療することを力説している。
初期の前立腺がんに対して早期に治療をしなかった男性は時間とともに進行性の致死的な前立腺がんに進行するリスクを抱えている、とJournal
of the American Medical Association 6月9日号に掲載された。スウェーデンの研究者らは前述のような患者223人を平均21年間追跡した結果、最初の15年間の前立腺がん死亡率が1,000人当たり15人であったものがさらに15年たつと1,000人当たり44人に増加することを発見した。筆者らは、長期生存が見込める患者に対し診断時により強力な治療を行うことを考慮するよう主張している。編集局は、臨床試験における患者の長期追跡調査の重要性、および注意深く辛抱強く観察し生存率の違いを見極めることの重要性を主張している。
寛解期に入っても骨髄細胞の異常染色体を有する急性骨髄性白血病患者は、寛解期に染色体が正常の患者と比較し再発のリスクが2倍である、とJournal
of Clinical Oncology 6月15日号に掲載された。米国の研究者らは118人の患者の予後をレトロスペクティブに調査した。118人中103人は診断時に異常染色体が認められたが寛解期には染色体は正常であり、15人は診断時および寛解期に異常染色体が認められた。この研究結果によると寛解期に異常染色体が認められると再発のリスクが高く生存期間が短いことから、筆者らは、細胞遺伝学的検査をルーチンで行うよう呼びかけるとともに、完全寛解のクライテリアに染色体が正常であることを含める必要があると主張している。