大腸がんに対する腹腔鏡 
  前立腺がんの地理的な違い 
  遺伝子治療の導入法 
  ウィルムス腫瘍と後の生殖能 
  大腸がんのDNAスクリーニング 

 
5月18日のDOLNewsはAPA 特集のため
Oncology Newsは1題となっております。



熟練した術者による大腸がんの腹腔鏡手術は安全で有効である [2004-05-25] 
Laparoscopic surgery with experienced surgeons is safe and effective for adenocarcinoma confined to the colon
結腸に限局したがんの多くに対する腹腔鏡手術は、熟練した術者が行えば、開腹結腸除去術に代わりうる安全で有効な治療法である、という報告がNew England Journal of Medicine 5月13日号に掲載された。熟練した外科医グループは結腸の腺がん患者872人を腹腔鏡手術群または開腹結腸除去術群に無作為に割り付けた。その結果3年生存率(腹腔鏡手術群86%、開腹手術群85%)、再発率(腹腔鏡手術群16%、開腹手術群18%)および切開部位における再発率(両群とも10%未満)は2群間に差がなかった。手術合併症発症率についても同様であり、腹腔鏡は麻酔時間が短く入院期間も短かった。
東南アジアと北米の前立腺がんの違いから疾患の始まりと進行の違いが示唆される [2004-05-25] 
Differences in prostate cancer in Southeast Asia and North America suggest differences in disease initiation and progression
東南アジアの男性は北米の男性と比較し有意に前立腺がんの発症率が低くがんの大きさも小さいことから、これらの2地域で発症するがんの始まりと進行の違いにより死亡率が異なっている可能性がある、とAmerican Urological Association学会で発表された。研究者らは解剖検体128例(北米男性43人、東南アジア男性85人)を調べた。その結果、北米男性においては東南アジア男性と比較し明らかながん病変の数がほぼ4倍多く発見された(54個対15個)。さらに北米男性においては、前立腺がんを有する割合が高く、また一人当たりが有する前立腺がんの個数が多く、がんのサイズも大きかった。
CTスキャン画像を使用し転移性腎がんに対する遺伝子治療の注射を病変部位に正確に直接投与することが可能である [2004-05-18] 
CT-scan images can accurately guide gene-therapy injections directly into various sites of metastatic kidney cancer
CTスキャン画像を使用して方向付けし、安全に腫瘍に直接遺伝子治療の注射を行う、転移性腎がんに対する治療法が可能である、という報告がRadiology 5月号に掲載された。研究者らは29人の患者に対するインターロイキン2をエンコードした遺伝子の注射計284回をCTガイド下で施行した。患者はそれぞれ浅部から深部に存在するさまざまな腫瘍に対し1週間に最高3サイクルの注射を6回施行された。軽度の副作用が全体の注射回数の14.8%に発生したが、副作用の発生頻度は注射回数には関係しなかった。最も多く見られた副作用は気胸であったがドレナージを必要とするほどの患者は一人のみであった。患者には毎回注射部位に局所麻酔を施したため、毎週の治療に対する忍容性は良好であった。現在進行中の追跡調査により治療自体の結果が報告されるであろう。
小児期にウィルムス腫瘍の治療として放射線療法を受けた女性は照射範囲が骨盤全体でなければ生殖能は保たれるようである [2004-05-11] 
Women treated with radiation during childhood for Wilms tumor appear to have preserved fertility if entire pelvis was not in radiation field
小児期にウィルムス腫瘍の治療として放射線療法を受けた女性は照射範囲が骨盤全体でなければ生殖能は保たれるようである、という報告がInternational Journal of Radiation Oncology Biology Physics 4月号に掲載された。研究者らはウィルムス腫瘍に対して放射線照射治療を受け、その照射領域の記録のある15歳以上の女性126人の記録を解析した。骨盤全体に照射を受けなかった患者12人中5人の女性においてのべ10回妊娠し9回出産した。一方骨盤全体の照射を受けた114人においては2例の妊娠しか認められず出産したのは1件のみ(照射量計10.5Gy)であった。もう一人の女性は計21Gyの照射を受けており、3回妊娠したが一度も出産をしていなかった。
便中のDNA変化を解析することにより新たな非侵襲的な大腸がんのスクリーニングテストができる可能性がある [2004-05-11]
Analysis of DNA changes in stool may lead to a new and noninvasive screening test for colorectal cancer
便中のDNAの検査により新たな正確なそして侵襲の少ない大腸がん患者のスクリーニングが可能となる、という報告がLancet 4月17日号に掲載された。大腸がんのスクリーニングのマーカーとなりうる候補となった多くの遺伝子を調査した結果、オーストリアの研究者らは、大腸がん患者においては健常人と比較し(計49人)SFRP2遺伝子がメチル化されやすいことを発見した。この初回の発見に基づくと、このスクリーニング法による大腸がん発見の感受性は77〜90%、特異度は77%であった。さらなる研究により、このDNA変化が疾患の初期の段階で生じているかどうかが明らかとなるであろう。
 


 

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