砒素が急性前骨髄性白血病に対し作用するメカニズムが解明されたことにより、砒素とある自然毒を組み合わせることにより低い毒性で高い有効性をもたらす可能性がある、という報告がProceedings
of the National Academy of Sciences 3月16日号に掲載された。研究者らは、両薬剤ともにNADPH酸化酵素を活性化し有毒酸素を大量発生させることにより細胞毒性を有することを発見した。この併用療法によると、薬剤を別々に使用した臨床試験の10%の用量で培養細胞に対し効果が認められた。さらにin
vitroおよび動物モデルの研究がなされることにより、この併用療法の臨床試験を行うメリットがあるか否かが評価されるであろう。
Journal of Clinical Oncology
(JCO)はまもなく、同誌に掲載され1年以上経過した研究論文を無料でオンライン閲覧可能とする、と発表した。American
Society of Clinical Oncology (ASCO)から出版されるこの雑誌はhttp://www.JCO.orgで閲覧可能である。この雑誌の一部の記事は日本語、フランス語、ドイツ語、中国語、イタリア語、そしてスペイン語に翻訳されている。これらの翻訳記事を無料で閲覧の可能なウエブサイトに掲載するかどうかは現在検討中である。
すい臓がん患者に対する術後化学療法は生存率を2倍以上上昇させる、という報告がNew
England Journal of Medicine 3月18日号に掲載された。280人以上のすい臓がん患者を対象とし、手術療法と手術と化学療法(5フルオロウラシル)の併用、または手術と化学放射線療法を組み合わせた治療法を比較したEuropean
Study Group for Pancreatic Cancer 1 Trialの最終結果が発表されている:化学放射線療法によって生存率は改善しなかったが、化学療法の併用の有無による効果の違いは劇的であった。術後に化学療法を受けた患者の5年生存率は21%であったのに対し、手術のみで化学療法を併用しなかった患者のそれは8%であった。他の予後規定因子で補正してもこの効果は依然として認められた。
前立腺拡大全摘術後の再発性前立腺がん放射線照射療法に対する反応を予測できるいくつかの因子が発見された、という報告がJournal
of the American Medical Association 3月17日号に掲載された。前立腺摘除術後に前立腺特異抗原レベルが上昇したため放射線照射療法を受けた患者501人を平均45ヵ月間追跡した結果、250人において治療後の疾患の進行が認められ、49人でがん転移を発症し、20人が前立腺がんにより死亡し、そして21人が他の原因で死亡した。筆者らは、salvage放射線療法は、Gleasonスコアの高い、または摘出腫瘍の周囲にもがん細胞が認められるような予後不良因子を有するリスクの高い患者の転移をむしろ予防するのであろうと結論付けている。編集者はこの結果から、リスクの高い患者における再発予防のための初期治療やアジュバント術後放射線療法が支持される、と述べている。