直腸S状結腸がん患者に対する腹腔鏡手術と開腹手術の5年生存率は同等である [2004-04-27] 
Five-year survival for patients with rectosigmoid cancer is equivalent for laparoscopic and laparotomy-based surgical procedures
直腸S状結腸がん患者に対する腹腔鏡手術と開腹手術の5年生存率は同等であり、腹腔鏡手術がより選択される手段となる可能性がある、という報告がLancet 4月10日号に掲載された。香港の研究者らは10年間にわたり約400人の患者をこれら二つの治療法のうちいずれかに無作為に割り付けた。腹腔鏡手術における5年生存率は76%、開腹手術のそれは73%であり、統計学的な差は認められなかった。腹腔鏡手術の方で施術時間が有意に長かったが、術後回復時間は実質減少した。
卵巣がんの手術を施行された患者において、対側の健常な卵巣組織の分子学的変化から初期卵巣がんのバイオマーカーが導かれる可能性がある [2004-04-27]
Molecular changes in tissues of normal ovary in women undergoing surgery for contralateral ovarian cancer may lead to biomarker for early disease
卵巣がんの手術を施行された患者において、対側の健常な卵巣組織に存在する分子学的変化から初期卵巣がんのバイオマーカーが導かれる可能性がある、という報告がGynecologic Oncology 4月号に掲載された。研究者らは、片側卵巣がん患者29人、片側良性疾患患者19人および両側正常卵巣の女性39人から組織検体を得た。全ての検体についてBcl-2、 Ki-67、およびp53の解析を行った。その結果、Bcl-2の過剰発現が、対側が卵巣がんの者の組織(39%)において両側が健常である者の組織(15%)よりも有意に多く認められた。対側が良性疾患であった者におけるその過剰発現の頻度はその中間(28%)であった。
喫煙をする前立腺がん患者において死亡率が高いのは前立腺がん以外の原因による死亡率が上昇することによると考えられる [2004-04-20] 
Higher mortality in smokers with prostate cancer appears to be due to an increase in other-cause deaths
喫煙者と非喫煙者における前立腺がんの治癒率は同等であるが、死亡率には差がありその原因は喫煙者における前立腺がん以外の原因による死亡の増加である、という報告がInternational Journal of Radiation Oncology Biology Physics 3月15日号に掲載された。研究者らは、放射線療法を受けた者および受けていない者で前立腺組織内照射を受けた582人を追跡した。そのうち178人は一度も喫煙したことが無く306人は過去に喫煙したことがあり98人は現役の喫煙者であった。エンドポイントは生物化学的無進行生存率であった(中間追跡期間は54ヵ月)。現役の喫煙者は比較的若年であり、非喫煙者および過去の喫煙者と比較し前立腺がん以外の原因で死亡する傾向にあった。喫煙者においては生化学的異常が認められる率が高く、筆者らは、さらに長い期間追跡をすればがんによる生存率の差も認められる可能性がある、と述べている。
ある種の白血病に対する砒素療法のメカニズムに対する新たな知見により砒素と自然毒を組み合わせた新たな治療法が導かれる可能性がある [2004-04-20]
Insight into mechanism underlying arsenic therapy for some leukemias suggests new therapy with combined arsenic and natural toxin
砒素が急性前骨髄性白血病に対し作用するメカニズムが解明されたことにより、砒素とある自然毒を組み合わせることにより低い毒性で高い有効性をもたらす可能性がある、という報告がProceedings of the National Academy of Sciences 3月16日号に掲載された。研究者らは、両薬剤ともにNADPH酸化酵素を活性化し有毒酸素を大量発生させることにより細胞毒性を有することを発見した。この併用療法によると、薬剤を別々に使用した臨床試験の10%の用量で培養細胞に対し効果が認められた。さらにin vitroおよび動物モデルの研究がなされることにより、この併用療法の臨床試験を行うメリットがあるか否かが評価されるであろう。
ある種の単発肝臓がんでは、動脈塞栓術と経皮的ラジオ波凝固療法を組み合わせることにより手術と同等の効果を得ることができる [2004-04-13]
Combination of embolization and radiofrequency ablation may be as effective as surgery for some solitary liver cancers
ある種の単発肝臓がんにおいては、動脈塞栓術と経皮的ラジオ波凝固療法を組み合わせることにより手術と同等の効果を得ることができる、と第29回Society of Interventional Radiology学会で発表された。この1施設の研究では1996年から2002年8月までに治療された7cm以下の単発肝細胞がん患者のデータを解析した。そのうち40人(Okuda stage II患者0%)は手術を受け、33人(Okuda stage II患者36%)は動脈塞栓術と経皮的ラジオ波凝固療法を施行された。中間追跡期間22ヵ月であり、1、2、4、および5年生存率は併用療法群でそれぞれ97%、83%、 77% および 56%、手術療法群で81%、70%、 70%および 57%であった。手術を受け、再発したがんに対し併用療法を受けた7人のうち4人が再発治療後12、16、19、および30ヵ月後に再発無く生存していた。さらに長期の追跡調査が継続されている。
Journal of Clinical Oncologyは1年以上経過した掲載記事をオンラインで無料閲覧可能とする [2004-04-13]
Journal of Clinical Oncology to make all articles older than 1 year available online for no fee
Journal of Clinical Oncology (JCO)はまもなく、同誌に掲載され1年以上経過した研究論文を無料でオンライン閲覧可能とする、と発表した。American Society of Clinical Oncology (ASCO)から出版されるこの雑誌はhttp://www.JCO.orgで閲覧可能である。この雑誌の一部の記事は日本語、フランス語、ドイツ語、中国語、イタリア語、そしてスペイン語に翻訳されている。これらの翻訳記事を無料で閲覧の可能なウエブサイトに掲載するかどうかは現在検討中である。
すい臓がん患者に対する術後化学療法は生存率を2倍以上上昇させる [2004-04-06]
Postoperative chemotherapy more than doubles the survival rate for patients with pancreatic cancer
すい臓がん患者に対する術後化学療法は生存率を2倍以上上昇させる、という報告がNew England Journal of Medicine 3月18日号に掲載された。280人以上のすい臓がん患者を対象とし、手術療法と手術と化学療法(5フルオロウラシル)の併用、または手術と化学放射線療法を組み合わせた治療法を比較したEuropean Study Group for Pancreatic Cancer 1 Trialの最終結果が発表されている:化学放射線療法によって生存率は改善しなかったが、化学療法の併用の有無による効果の違いは劇的であった。術後に化学療法を受けた患者の5年生存率は21%であったのに対し、手術のみで化学療法を併用しなかった患者のそれは8%であった。他の予後規定因子で補正してもこの効果は依然として認められた。
前立腺拡大全摘術後の再発性前立腺がん放射線照射療法に対する反応を予測できる因子が発見された [2004-04-06]
Factors identified that predict response to radiation therapy for prostate cancer that recurs after radical prostatectomy
前立腺拡大全摘術後の再発性前立腺がん放射線照射療法に対する反応を予測できるいくつかの因子が発見された、という報告がJournal of the American Medical Association 3月17日号に掲載された。前立腺摘除術後に前立腺特異抗原レベルが上昇したため放射線照射療法を受けた患者501人を平均45ヵ月間追跡した結果、250人において治療後の疾患の進行が認められ、49人でがん転移を発症し、20人が前立腺がんにより死亡し、そして21人が他の原因で死亡した。筆者らは、salvage放射線療法は、Gleasonスコアの高い、または摘出腫瘍の周囲にもがん細胞が認められるような予後不良因子を有するリスクの高い患者の転移をむしろ予防するのであろうと結論付けている。編集者はこの結果から、リスクの高い患者における再発予防のための初期治療やアジュバント術後放射線療法が支持される、と述べている。
 


 

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