非喫煙者と比較し、肺がんのリスクを増加させるレベルは中等度のタールを含むタバコと低濃度または超低濃度のタールを含むタバコとでは同等である、という報告がBritish
Medical Journal 1月10日号に掲載された。米国の研究者らは1982年に吸われていたタバコメーカーのタール濃度と30歳以上の男性364,239人および女性576,535人を6年間追跡調査し、得られた肺がんによる死亡との関係を解析した。他の変量で補正した結果、3つの濃度のタバコのリスクは同等であった。筆者らは、フィルターのない高濃度のタバコを吸う者が肺がんのリスクが最も高く、非喫煙者と過去に喫煙していて禁煙した者のリスクが最も低い(ベースライン)、と述べている。
BRCA変異を有する人々の大腸がんのリスクは一般の人々と同等である、という報告がNational
Cancer Institute 1月7日号に掲載された。イスラエルの疫学研究の結果によると、BRCA1 またはBRCA2の変異を有する者の割合は、大腸がん患者1,422人とそれに適合した健常者1,566人とで統計学的には同等であった。さらに、第一度親族(親、子、兄弟姉妹)に乳がんを有する者の大腸がんのリスクはそのような家族歴のない者と比較し同等であった。筆者らは、BRCA1またはBRCA2変異を有する人々の大腸がんのスクリーニングは一般の人々と同様のガイドラインに従うように提案している。
前立腺がんの肥満男性は体重過剰または正常体重の男性と比較し、術後再発性の進行性腫瘍および疾患を有しやすい、という報告がJournal
of Clinical Oncology オンライン版 12月22日号に掲載された。1つの研究では、body
mass indexが30 kg/m2以上の男性(3,162人中19%)はGleasonスコアが高く再発率が高かった。1,106人の患者を対象としたもう1つの研究では、body
mass indexが35 kg/m2以上の者においてはGleason スコアがより高く術後3年以内の再発リスクが高かった。これらの研究の両筆頭者は、体内の脂肪に蓄積されているレプチンなどのホルモンが腫瘍の成長を促進している可能性を示唆している。編集局は、減量や体重コントロールによって原発腫瘍の特徴、または前立腺完全摘除術後の予後あるいはこれらの両者が改善する可能性がある、と述べている。
新たな生物工学マウスはヒト膵管がんの発症に関連した2つの特異的な変異を有する、という報告がGenes
and Development 12月15日号に掲載された。KrasG12D対立遺伝子の過剰発現とInk4a/Arf遺伝子の不活性化または削除の組み合わせによりマウスにprecancerous
lesionsの早期発症を引き起こし、それはヒトにおける自然経過と同様のパターンを有する進行がんへと発育する。研究者らはこのマウスモデルは、血液や尿のスクリーニング検査で使用されるバイオマーカーの同定や疾患の病期分類に有用であると考えている。
Cryoablation(凍結融解壊死治療)は小サイズの乳がんに有望な治療法であるとRadiological
Society of North Americaの学会で発表された。大きなトライアルの一環として9人の女性が凍結療法を受けた。腫瘍はベースラインで生検を行われ、cryoablation後3日以内に乳腺切除術にて切除された。患者9人中7人において完全な壊死(腫瘍サイズ8〜17mm)および最も浸潤性の乳管がんを有していた。他の2名のうち1名も完全壊死と浸潤性がんを有していたが術前検査では乳管がんは発見されていなかった。他の1名の腫瘍は最も大きく(18mm)境界が不明瞭であり、乳腺切除術後に小さな領域の浸潤がんが発見された。今後この研究の完全な結果が出版され、更に大規模の研究が計画されている。