2004年の健康に関する話題上位10位以内に循環器の話題が2つ含まれていた、とHarvard
Health Letterで公表された:心血管疾患のリスクの高い患者のコレステロールレベルを低下させることの重要性がより強調されたことと、Cox2阻害薬を使用することによる心血管リスクの話題である。心血管疾患のリスクが最も高い患者に対する強力なコレステロール低下療法を行うことの重要性は米国のガイドラインの見直しにより強調された。このガイドラインでは、新たに非常にリスクの高い患者群を定義し、これらの患者に対してはLDLコレステロールレベルを70mg/dL以下と新たな治療目標を設定した。一部の患者に対して高用量のスタチン療法を推奨しているガイドラインと対照的に、Cox2阻害薬の長期投与は心血管リスクを上昇させることが本年実証された。Vioxxは市場から引き上げられ、Celebrexに関する警告が12月17日に発表された。
仕事の締め切りの重圧により24時間以内の心筋梗塞のリスクは6倍に上昇する、とJournal
of Epidemiology and Community Health 1月号に掲載された。スウェーデンの研究者らは心疾患の既往のない45〜70歳の3,500人以上を、1990年代前半から追跡調査した。過去12ヵ月のストレスとの関連は認められなかったが、心筋梗塞患者の約8%が発症前日に仕事の重要なイベントを抱えていた。このリスクは仕事以外の重大なストレスに直面している者と比較しはるかに大であった。今回の結果から、医師らはこれらのハイリスクの患者に対しより良い忠告ができ、生活様式への介入も向上することができるであろう。
大腸がんのリスク評価のためのコンピュータ断層大腸検査の際に大動脈石灰化を計測することにより心筋梗塞のリスクのある患者を発見することが可能である、とRadiological
Society of North America(RSNA)学会で発表された。研究者らは、1995〜1998年にある研究施設で3次元バーチャル大腸内視鏡検査を受けた患者480人の記録を調査した。その結果、大腸検査後に心筋梗塞を発症した9人の患者においては高度な大動脈石灰化が認められた。筆者らは、新しいスクリーニング技術から可能な限り多くの診断のための利益を引き出すことが必要であると述べている。
頚動脈に対するステントを用いた冠動脈形成術は脳卒中予防のために有効で安全である、とRadiological
Society of North America(RSNA)学会で発表された。イタリアの研究者らは冠動脈形成術(末梢血栓塞栓保護装置つき)後に再狭窄予防のためステント留置し3年が経過した患者180人の結果を発表した。外科手術と比較し、この侵襲の少ない方法による脳神経学的合併症(3%)および術後再狭窄率(4%)は同様であった。他の低侵襲の方法と同様に、外科手術よりも回復期間は全体的に短くストレスが少なかった。
小児期に体重増加が開始すると若年成人期までに心拡大を生じやすい、とCirculation
11月23日号に掲載された。米国のある長期研究で4〜17歳の小児467人を平均21.5年間追跡した。その結果、小児期に標準体重以上であることは、若年成人期(平均年齢32歳)において心臓の肥大をきたす一貫した予測因子であった。Body
mass indexを4段階で評価し成人期の左室心筋重量と比較した結果、小児期のbody mass indexが最も高い段階にあった者は若年成人期の心臓サイズが最も大きい群にあった。収縮期高血圧が左室肥大の他の独立した予測因子であった。
透析患者は死亡のリスクが高いにもかかわらず心筋梗塞に対して通常の半分の治療しか受けていない、とAmerican
Society of Nephrology学会で発表された。研究者らは急性心筋梗塞で入院した患者150,000人以上を調査し、透析患者が透析を受けていない患者と比較しより非積極的な治療を受けているかどうかを調べた。透析患者は冠動脈造影および血管形成術を受ける確率が約半分であった。筆者らは医師らに単に透析患者の腎機能低下を理由に消極的な治療をすべきでないと訴えている。透析患者は心血管疾患で死亡するリスクが高いためである。
アトルバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンに伴う横紋筋融解症のリスクはほとんどの患者群において比較的低い、とJournal
of the American Medical Association12月1日号に掲載された。米国のデータ解析の結果、通常量のスタチン療法を受けた患者のうち横紋筋融解症で入院した患者は252,460人中24人であった。スタチン単独療法と比較し、フィブラート系薬剤を併用することにより、リスクは5.5倍上昇した。スタチン系薬剤とフィブラート系薬剤の併用はフィブラート系薬剤単独と比較しさらにその2倍リスクが上昇した。セリバスタチンによる横紋筋融解症のリスクは他のスタチン系薬剤と比較し10倍高く、フィブラート系薬剤と併用することによりそのリスクは1,400倍以上となった。筆者らは、リスクの高い患者群は糖尿病の高齢患者でスタチン−フィブラート系薬剤の併用療法を受けている患者である、と結論付けている。