アンジオテンシンII受容体拮抗薬カンデサルタンは慢性心不全患者の入院および死亡率を有意に低下させる、との国際的大規模研究の結果がCirculation
10月19日号に掲載された。心不全患者の有病率および死亡率減少に対するカンデサルタンの効果を評価したCandesartan
in Heart Failure Assessment of Reduction in Morbidity
and Mortality (CHARM)研究では、左室駆出率が40%以下(平均29%)の患者4,576人をカンデサルタンまたはプラセボ群に無作為に割り付けた。追跡期間(中間値
40ヵ月)中、心血管死亡または心疾患による入院がプラセボ群の41.3%、カンデサルタン群の35.7%に認められた。このカンデサルタンの効果は早期から認められトライアル期間中維持された。心血管死亡率はカンデサルタン群で22.8%であり、プラセボ群では26.2%であった。通常の治療は全ての患者に対し継続されていた。
アルコール摂取は男性においては心房細動または心房粗動のリスクを軽度高める可能性があるが、女性においては影響は認められない、とArchives
of Internal Medicine 10月11日号に掲載された。デンマークの研究者らはある長期の健康に関する研究の対象となった成人約48,000人のデータを評価したところ、追跡期間(平均5.7年)中に556人(男性374人[1.7%
]、女性182人[0.7% ])に心房細動の発症を認めた。男性においてはアルコール消費量の増加に伴う心房細動発症率の軽度の上昇が認められたが、女性においてはそのような相関は認められなかった。この結果は心房細動または心房粗動を繰り返す男性の評価に有用であろう。
冠動脈形成術後の心筋梗塞のリスクを軽減するためにはスタチン療法を施術の7日前に開始する必要があると、第16回Annual
Transcatheter Cardiovascular Therapeutics Scientific Symposiumで発表された。153人の患者を対象としたAtorvastatin
for Reduction of Myocardial Damage during Angioplastyトライアルでは、術前7日から、76人をアトルバスタチン40mg開始、77人をプラセボ開始の群に割り付けた。術後には全ての患者がアトルバスタチンを投与された。血管形成術中の心筋梗塞の発症率はスタチン群で5%、プラセボ群で18%であった。さらに、心筋壊死のマーカーはアトルバスタチン群においてずっと低かった。スタチン群ではCRPも低い傾向にあり、炎症活性が低いことが示唆された。
ハーブ系コレステロール低下薬であるググルステロン(ハーブ系薬剤ググリピドの有効成分)は、スタチン系薬剤や抗AIDS薬、抗がん剤を含む様々な処方薬の代謝を促進する、とJournal
of Pharmacology and Experimental Therapeutics 8月号に掲載された。ググルステロンはPXR細胞受容体を刺激することにより肝臓酵素であるCYP3Aファミリーの活性を増加させる。この酵素は、今日商品化されている薬剤のうち約60%の代謝を担っている酵素である。また、CYP3A活性が上昇することにより、ある種の非発がん性物質を発がん性物質に変化させる可能性もある。