アンジオテンシンII受容体拮抗薬カンデサルタンは慢性心不全患者の入院および死亡率を低下させる [2004-10-26]

Angiotensin-receptor blocker candesartan significantly reduces hospitalizations and mortality in patients with chronic heart failure
アンジオテンシンII受容体拮抗薬カンデサルタンは慢性心不全患者の入院および死亡率を有意に低下させる、との国際的大規模研究の結果がCirculation 10月19日号に掲載された。心不全患者の有病率および死亡率減少に対するカンデサルタンの効果を評価したCandesartan in Heart Failure Assessment of Reduction in Morbidity and Mortality (CHARM)研究では、左室駆出率が40%以下(平均29%)の患者4,576人をカンデサルタンまたはプラセボ群に無作為に割り付けた。追跡期間(中間値 40ヵ月)中、心血管死亡または心疾患による入院がプラセボ群の41.3%、カンデサルタン群の35.7%に認められた。このカンデサルタンの効果は早期から認められトライアル期間中維持された。心血管死亡率はカンデサルタン群で22.8%であり、プラセボ群では26.2%であった。通常の治療は全ての患者に対し継続されていた。

アルコールは男性においては心房細動または心房粗動のリスクを軽度高める可能性があるが、女性においては影響は認められない [2004-10-26]

Alcohol may increase risk slightly for atrial fibrillation or atrial flutter in men but not in women
アルコール摂取は男性においては心房細動または心房粗動のリスクを軽度高める可能性があるが、女性においては影響は認められない、とArchives of Internal Medicine 10月11日号に掲載された。デンマークの研究者らはある長期の健康に関する研究の対象となった成人約48,000人のデータを評価したところ、追跡期間(平均5.7年)中に556人(男性374人[1.7% ]、女性182人[0.7% ])に心房細動の発症を認めた。男性においてはアルコール消費量の増加に伴う心房細動発症率の軽度の上昇が認められたが、女性においてはそのような相関は認められなかった。この結果は心房細動または心房粗動を繰り返す男性の評価に有用であろう。

兄弟姉妹の若年期の心疾患発症は、両親の心疾患歴および臨床的なリスクファクターよりも、冠動脈疾患の強力な予測因子である [2004-10-19]

Early heart disease in a sibling is a stronger predictor of risk for coronary heart disease than parental history or clinical risk factors
兄弟姉妹の若年期の心疾患発症は、両親の心疾患歴および臨床的なリスクファクターよりも、冠動脈疾患の強力な予測因子である、とCirculation 10月4日号オンライン版に掲載された。過去に心疾患の兆候のない成人米国人ほぼ8,500例(半数が52歳以上、半数が52歳未満)の断面調査の結果、兄弟や姉妹がすでに心疾患の診断をされている者は、電子ビームCTで冠動脈硬化が認められる確率が2.5〜3.0倍高かった。この研究における家族歴陽性とは55歳までに致死的または非致死的心筋梗塞が発症したか、または冠動脈血行再建術を施行されたことを意味する。この相関関係は他のリスクファクターで補正してもなお認められた。筆者らは、兄弟に関する家族歴を検索し、該当する患者に対し調整可能なリスクファクターについては強力にコントロールするよう、主張している。

初回の臨床試験の初期結果によるとバイオリムスA9薬物溶出ステントは安全で有効なようである [2004-10-19]

Biolimus A9-eluting stent appears to be safe and effective based on initial findings from first clinical trial
初回の臨床試験の初期結果によると新たなバイオリムスA9薬物溶出ステントは安全で有効なようである、と第16回Transcatheter Cardiovascular Therapeutics学会で発表された。患者計120人を2対1での割合で薬物溶出ステントまたはbare stentで治療する群に無作為に割り付けた。両群ともステント内血栓または心筋梗塞、または30日以内に標的部位の再血行再建術を必要とした割合は1.4%以下であった。6ヵ月後のデータとブラインドを外した結果が一致すればさらに大規模なトライアルが開始され、薬物溶出ステントが実際に再狭窄率を減少させるかどうかを検証することができるであろう。この臨床試験は、バイオリムスが冠動脈形成術後の再狭窄を抑制する可能性を示した過去の研究に続くものである。

シクロオキシゲナーゼ2阻害薬Vioxxは心筋梗塞および脳卒中のリスクを増加させることが明らかとなったため全ての市場から回収された [2004-10-12]

Cyclooxygenase-2 inhibitor Vioxx is withdrawn across all markets due to realization of increased risk for myocardial infarction and stroke
主に関節炎に対し使用されていたシクロオキシゲナーゼ2阻害薬Vioxx (rofecoxib) は、心筋梗塞および脳卒中のリスクを増加させることが明らかとなったため、製造業者により全ての国際市場から回収された。この薬剤の大腸がん化学予防効果を検討した新たなトライアルのデータから、Vioxxまたはプラセボを開始約18ヵ月後から、Vioxx 投与による心筋梗塞または脳卒中の相対リスクが2倍となることが示された。この新たな情報は医師らにとって、Vioxxによる慢性的な治療を受けている患者に心血管事故が発症した際のリスク層別化をするのに役立つであろう。

冠動脈形成術後の心筋梗塞のリスクを軽減するためにはスタチン療法を施術の7日前に開始する必要がある [2004-10-12]

Statin therapy should start seven days prior to elective angioplasty to decrease risk for procedure-associated myocardial infarction
冠動脈形成術後の心筋梗塞のリスクを軽減するためにはスタチン療法を施術の7日前に開始する必要があると、第16回Annual Transcatheter Cardiovascular Therapeutics Scientific Symposiumで発表された。153人の患者を対象としたAtorvastatin for Reduction of Myocardial Damage during Angioplastyトライアルでは、術前7日から、76人をアトルバスタチン40mg開始、77人をプラセボ開始の群に割り付けた。術後には全ての患者がアトルバスタチンを投与された。血管形成術中の心筋梗塞の発症率はスタチン群で5%、プラセボ群で18%であった。さらに、心筋壊死のマーカーはアトルバスタチン群においてずっと低かった。スタチン群ではCRPも低い傾向にあり、炎症活性が低いことが示唆された。

トレッドミル検査で運動能力が不良な患者は、リスクファクターがあり心疾患のない男性における将来の冠動脈疾患のリスクが高い [2004-10-05]

Poor exercise treadmill performance is linked with a significantly higher risk for future coronary disease event in men with risk factors but no heart disease
心疾患のリスクは高いが無症状でトレッドミル検査で運動能力の低い男性は、心筋梗塞や他の冠動脈疾患のリスクが倍以上である、とCirculation 9月28日号に掲載された。Framingham Heart Studyに登録された男性計1,431人(平均年齢45歳)を評価した。18年間の追跡期間中に、224人(15.7%)に狭心症、心筋梗塞、および心臓死などの冠動脈疾患が認められた。Framingham risk scoresの高い(>20点)男性においては、運動試験中にST低下を認めた者や目標心拍数に達しなかった者はそうでなかった者と比較し、10年間の冠動脈イベントのリスクが倍以上であった。運動耐容能の高い者はのちの心事故のリスクが低かった。

ハーブ系コレステロール低下薬は抗AIDS薬や抗がん剤などの様々な薬剤の代謝を促進する [2004-10-05]

Herbal cholesterol-lowering drug accelerates breakdown of numerous drugs including anti-AIDS and cancer chemotherapeutic agents
ハーブ系コレステロール低下薬であるググルステロン(ハーブ系薬剤ググリピドの有効成分)は、スタチン系薬剤や抗AIDS薬、抗がん剤を含む様々な処方薬の代謝を促進する、とJournal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 8月号に掲載された。ググルステロンはPXR細胞受容体を刺激することにより肝臓酵素であるCYP3Aファミリーの活性を増加させる。この酵素は、今日商品化されている薬剤のうち約60%の代謝を担っている酵素である。また、CYP3A活性が上昇することにより、ある種の非発がん性物質を発がん性物質に変化させる可能性もある。
 
 

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