エリスロマイシンとある種のカルシウム拮抗薬、抗真菌薬、および抗うつ薬のようなCYP3A薬物代謝酵素阻害薬を併用した患者は併用しなかった患者と比較し、心臓突然死のリスクが5倍高かった、とNew
England Journal of Medicine 9月9日号に掲載された。薬物相互作用に対する認識を高めることを目的とした国際プログラムの一環として、米国の研究者らは、ある州の医療記録から1988〜1993年の心臓突然死のうちコンピュータに記録された調剤記録と関連のある死亡を検索した。アモキシシリンを含む他の抗生剤ではリスクの増加は認められず、筆者らは、エリスロマイシンとCYP3A酵素阻害薬の同時内服は避けるべきであると結論付けている。
ある地域住民ベースの経食道心エコーを用いた研究の結果、C反応性蛋白(CRP)の上昇は症状が出現するよりかなり早期の胸部大動脈の動脈硬化を示している可能性がある、とArchives
of Internal Medicine 9月13日号に掲載された。ある一地域の住民386人(中間年齢66歳)のうち、69%に大動脈プラークが観察された。解析の結果、高感度CRPレベルはプラークの有無およびその程度と最も関連のある唯一の因子であった。筆者らは、無症状でもCRP値が上昇している患者にはアスピリンやスタチン系薬剤の投与や、必要によっては体重コントロールや高血圧の治療を行う必要があると主張している。
女性の場合、身体的活動度は過剰体重よりも現段階の冠動脈疾患および将来の心血管事故の有用な予測因子である、とJournal
of the American Medical Association 9月8日号に掲載された。この研究では胸痛を有する女性または冠動脈疾患が疑われる米国女性計906人に、スタディ開始当時の心疾患の完全な評価と長期の追跡調査を行った。Body
mass indexは冠動脈疾患の有無には関連しなかったが、身体活動度の低下はその段階での疾患の有無および将来の不安定狭心症や、心筋梗塞およびうっ血性心不全などの重症心事故と相関が認められた。
急性冠症候群後早期にスタチン系薬剤を高用量で開始することにより将来の心血管事故を減少させる可能性はあるが、同時に横紋筋融解症のリスクも増加させる可能性がある、とJournal
of the American Medical Association 8月30日号に掲載された。A to
Zトライアルでは2,265人の患者を早期強力スタチン療法(シンバスタチン40mg/dayを30日間投与した後80mg/dayを投与)に、2,232人を非強力療法(プラセボを4ヵ月間投与した後シンバスタチン20mg/dayを投与)に無作為に割り付けた。最長2年間の追跡期間の後、一次エンドポイントである心血管疾患死、心筋梗塞、急性冠症候群の再発、または脳卒中は、低用量患者の343人(16.7%)に発症し、一方高用量患者では309人(14.4%)に発症した。筆者ならびに編集部の記者は、筋疾患および肝機能を監視しながら早期にスタチン療法を開始するのが適切である、と述べている。しかし、特に今回のようにシンバスタチンを一日80mg内服するのは、トライアルの段階で適切な最高用量であったかに関してはいまだ疑問が残る。