経口エリスロマイシンと種々の一般的な内服薬は心臓突然死のリスクを増加させる可能性がある [2004-09-28]

Combination of oral erythromycin and a variety of commonly used drugs may increase risk for sudden cardiac death

エリスロマイシンとある種のカルシウム拮抗薬、抗真菌薬、および抗うつ薬のようなCYP3A薬物代謝酵素阻害薬を併用した患者は併用しなかった患者と比較し、心臓突然死のリスクが5倍高かった、とNew England Journal of Medicine 9月9日号に掲載された。薬物相互作用に対する認識を高めることを目的とした国際プログラムの一環として、米国の研究者らは、ある州の医療記録から1988〜1993年の心臓突然死のうちコンピュータに記録された調剤記録と関連のある死亡を検索した。アモキシシリンを含む他の抗生剤ではリスクの増加は認められず、筆者らは、エリスロマイシンとCYP3A酵素阻害薬の同時内服は避けるべきであると結論付けている。

経食道心エコーを用いて大動脈を観察した研究の結果、C反応性蛋白上昇と初期プラーク形成に関連した炎症との関わりが示唆された [2004-09-28]

Transesophageal study of the aorta suggests link between increased C-reactive protein and inflammation associated with early plaque formation
ある地域住民ベースの経食道心エコーを用いた研究の結果、C反応性蛋白(CRP)の上昇は症状が出現するよりかなり早期の胸部大動脈の動脈硬化を示している可能性がある、とArchives of Internal Medicine 9月13日号に掲載された。ある一地域の住民386人(中間年齢66歳)のうち、69%に大動脈プラークが観察された。解析の結果、高感度CRPレベルはプラークの有無およびその程度と最も関連のある唯一の因子であった。筆者らは、無症状でもCRP値が上昇している患者にはアスピリンやスタチン系薬剤の投与や、必要によっては体重コントロールや高血圧の治療を行う必要があると主張している。

Ramiprilは左心機能不全を有さないハイリスク患者の心臓突然死のリスクを有意に軽減させる [2004-09-21]

Ramipril can significantly reduce risk for sudden cardiac death in high-risk patients who do not have left ventricular dysfunction

Ramiprilは左心機能不全を有さない心筋梗塞または脳卒中のハイリスク患者の心臓突然死または非致死的心停止のリスクを21%軽減する、とCirculation 9月7日号に掲載された。Heart Outcomes Prevention Evaluation studyでは9,297人の患者(平均年齢66歳)を登録し従来の内服薬(一般的に抗血小板薬、ベータ遮断薬、またはカルシウム拮抗薬)に加えramiprilまたはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。平均4.5年後、心臓突然死または心停止を起こし蘇生に成功した者はramipril群患者の3.3%であったのに対し、プラセボ群におけるその割合は4.2%であった。この研究では相関関係は有意であったが、他の小規模な研究では他のアンジオテンシン変換酵素阻害薬でも同様の結果を得ており、筆者らはこの薬剤ファミリーの広範囲な使用を医師らに勧めている。

女性の場合、身体的活動度は過剰体重よりも現段階の冠動脈疾患および将来の心血管事故の有用な予測因子である [2004-09-21]

A woman’s level of physical activity may be more useful as a predictor of current coronary artery disease and future adverse events than excess weight
女性の場合、身体的活動度は過剰体重よりも現段階の冠動脈疾患および将来の心血管事故の有用な予測因子である、とJournal of the American Medical Association 9月8日号に掲載された。この研究では胸痛を有する女性または冠動脈疾患が疑われる米国女性計906人に、スタディ開始当時の心疾患の完全な評価と長期の追跡調査を行った。Body mass indexは冠動脈疾患の有無には関連しなかったが、身体活動度の低下はその段階での疾患の有無および将来の不安定狭心症や、心筋梗塞およびうっ血性心不全などの重症心事故と相関が認められた。

急性冠症候群後早期に高用量のスタチン療法を開始することにより一部の患者は利益を得ることができるが、横紋筋融解症のリスクも高くなる [2004-09-14]

Early start of high-dose statin therapy after acute coronary syndrome may benefit some patients but may also increase risk of myopathy

急性冠症候群後早期にスタチン系薬剤を高用量で開始することにより将来の心血管事故を減少させる可能性はあるが、同時に横紋筋融解症のリスクも増加させる可能性がある、とJournal of the American Medical Association 8月30日号に掲載された。A to Zトライアルでは2,265人の患者を早期強力スタチン療法(シンバスタチン40mg/dayを30日間投与した後80mg/dayを投与)に、2,232人を非強力療法(プラセボを4ヵ月間投与した後シンバスタチン20mg/dayを投与)に無作為に割り付けた。最長2年間の追跡期間の後、一次エンドポイントである心血管疾患死、心筋梗塞、急性冠症候群の再発、または脳卒中は、低用量患者の343人(16.7%)に発症し、一方高用量患者では309人(14.4%)に発症した。筆者ならびに編集部の記者は、筋疾患および肝機能を監視しながら早期にスタチン療法を開始するのが適切である、と述べている。しかし、特に今回のようにシンバスタチンを一日80mg内服するのは、トライアルの段階で適切な最高用量であったかに関してはいまだ疑問が残る。

冠動脈インターベンションの必要性や心不全発症が軽減されることから長期作用型ニフェジピンの長期投与は安全であることが示唆される [2004-09-14]

Reduction in need for coronary interventions and in development of heart failure suggest long-acting nifedipine is safe for long-term use
冠動脈インターベンションの必要性や心不全発症が軽減されることから、狭心症治療としての長期作用型ニフェジピンの長期投与は安全であることが示唆される、とLancet オンライン版8月31日号に掲載された。今回のトライアルは、長期作用型製剤であるニフェジピン腸溶錠における有症状の安定狭心症患者に対する効果を評価した。5年後、ニフェジピン(患者3,825人)は二次エンドポイントに関してはプラセボ(3,840人)と比較し有益と考えられたが、死亡率は両群間で同等であった。論評者は、長期作用型のカルシウム拮抗薬は、ベータブロッカーや硝酸薬に反応しない有症状の安定狭心症に対する第二または第三選択薬として長期投与するのに適している、と述べている。

U型糖尿病患者にはたとえ血中コレステロールレベルが高くなくともスタチン製剤を投与することにより心血管疾患のリスクを軽減できる可能性がある [2004-09-07]

Statin therapy may lower cardiovascular risk for patients with type 2 diabetes even when they do not have elevated cholesterol levels

U型糖尿病患者にはたとえ血中コレステロールレベルが高くなくともスタチン製剤を投与することにより心血管疾患のリスクを軽減できる可能性がある、とLancet 8月21日号に掲載された。英国およびアイルランドの心血管疾患の既往がなくLDLコレステロールレベルが4mMol/L以下の患者約2,800人(40〜75歳)をプラセボ群(1,410人)またはアトルバスタチン群(1,428人)に無作為に割り付けた。約4年間の追跡調査の結果、一次エンドポイント(急性冠動脈疾患、血行再建術、または脳卒中)に達した率はアトルバスタチンを投与された群において約3分の1少なかった。アトルバスタチンはプラセボと比較し死亡率を27%減少させた。脳卒中は48%減少した。

胸痛を有さない心筋梗塞や急性冠症候群は一般的に病院で診断されなかったり無治療であったりする [2004-09-07]

Myocardial infarctions and other acute coronary syndromes that present without chest pain are commonly undiagnosed or undertreated at hospitals
胸痛を有さない心筋梗塞や急性冠症候群は一般的に病院で診断されなかったり無治療であったりする、とCHEST 8月号に掲載された。国際的データベース(14ヵ国の患者20,881人)から、胸痛を有さずに来院した患者の13%が死亡し、一方胸痛を有していた患者の死亡率は4.3%であったことが示された。さらに、胸痛を有さなかった患者は初期診断の時点で誤診される確率が有意に高かった(23.8% 対 2.4%)。胸痛を有さない患者は高齢女性に多く、糖尿病、心不全、または高血圧を有する傾向にあった。非典型的な症状を有する者はまた心不全、心原性ショック、不整脈、および腎不全などの予後不良な合併症を発症しやすかった。


 
 

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