重症心不全患者に心室補助装置を使用することによりQOLと生存率の両者が改善する [2004-08-31]

Both quality of life and survival are improved in seriously ill patients with congestive heart failure who receive a ventricular assist device

重症心不全患者に心室補助装置を使用することにより生活の質と生存率の両者が改善する、とCirculation 8月17日号に掲載された。うっ血性心不全に対する補助装置と薬物療法を比較した大規模試験(REMATCH)のサブ解析で研究者らは、最も重症な患者129人(平均年齢68歳でそのうち91人は強心薬の持続注入を必要とする)を調査した。68人が補助装置を使用し、61人は最大限の薬物療法を受けた。1年後、補助装置を使用した患者の49%が生存していたが、薬物療法を受けた患者のその割合は24%であった。2年後、補助装置を使用した患者の28%が生存していたが、薬物療法患者群では11%であった。さらなる研究により、補助装置が有効なくらい重症であるがしかし身体的に安定している程度に良好な患者を見極めることが可能となるであろう。

高血圧のガイドラインでは非常に重症の高血圧患者にのみ治療を行うことを勧めているが、急性脳卒中患者の3分の2は降圧薬を内服している [2004-08-31]

Almost two thirds of acute stroke patients receive antihypertensive drugs despite guidelines recommending treatment for only highly severe hypertension
高血圧のガイドラインでは脳卒中発作後の急性期に非常に重症の高血圧患者にのみ治療を行うことを勧めているが、急性脳卒中患者の3分の2は降圧薬を内服している、とNeurology 7月27日号に掲載された。急性脳虚血発作で教育病院に入院した患者154人の記録を再評価した結果、ガイドラインに基づき治療が必要と考えられる高血圧患者の割合は、治療を継続された者が17%、治療を強化された者が36%であった。降圧療法を開始された入院患者のうち治療のクライテリアに当てはまる患者はたったの26%であった。降圧療法を受けた患者の多くが治療開始後に相対的低血圧を呈し、治療中の患者20人に1人の割合で明らかな低血圧を認めた。高血圧治療により虚血または梗塞部位を拡大するなどの悪影響がある可能性に関するさらなるデータが必要である。

米国の高コレステロール血症の新たなガイドラインは、心血管疾患のリスクの高い人々にはより強力なコレステロール低下療法が有効であることを示した [2004-08-23]

New US guidelines for hypercholesterolemia suggest that people at high cardiovascular risk will benefit from more intensive cholesterol-lowering therapies

最新の米国のコレステロールガイドラインは、心筋梗塞や脳卒中のリスクが非常に高い人々にはより強力なコレステロール低下療法が有効であることを示した、とCirculation 7月13日号に掲載された。心血管疾患と糖尿病を合併している患者、喫煙継続者、コントロール不良な高血圧または代謝疾患、または心筋梗塞発症後日の浅い患者を高リスク患者と見なした、スタチンを用いた近年のトライアル5つを再評価した。リスクが非常に高い者のLDLコレステロール値の最終目標はいまや70mg/dL未満である。中等度のリスク(冠動脈リスクファクターを2つ以上有し今後10年間の心筋梗塞発症のリスクが10〜20%である)の患者はLDLコレステロールを100mg/dL未満に低下させることによりさらに利益が得られる。

近年米国で認可された短期間の心室補助デバイスは心臓カテーテル室で挿入できる [2004-08-23]

Short-term ventricular assist device recently approved in US can be inserted in the cardiac catheterization laboratory
近年米国で認可された短期間の心室補助デバイスは心臓カテーテル室で挿入でき、一部の患者の開胸手術によるリスクをなくすことができる。TandemHeart PTVARデバイスは左房内に留置された後、数時間から1週間以上の間、左室ポンプ機能の85%を担うことが可能である。内部装置は細い管で軽量の外部ポンプに接続されている。携帯用の台車に設置された電源供給装置はプライマリおよびバックアップマイクロプロセッサにて統合および監視されている。このデバイスは、長期使用される外科的に挿入する心室補助デバイスに置き換えることを意図したものではなく、回復あるいは心移植までの期間のブリッジとして使用される。

末梢動脈疾患の存在および重症度により歩行耐久力の機能低下のリスクが高い患者を見極めることが可能である [2004-08-10]

Presence and severity of peripheral arterial disease identifies patients at highest risk for functional declines in endurance

末梢動脈疾患の存在および重症度により歩行耐久力の機能低下のリスクが高い患者を見極めることが可能である、とJournal of the American Medical Association 7月28日号に掲載された。研究者らは55歳以上の成人676人(ankle brachial index [ABI] 0.90未満の末梢血管疾患患者417人および末梢血管疾患を有さない者259人)の前向き研究を行った。交絡因子で補正した結果、ベースラインの時点でABIが0.5未満であると2年後に6分間連続歩行が不可能であるリスクはABIが正常である者の13倍であった。さらに、無症状であっても末梢血管疾患を有する者は疾患を有さない者よりも有意な歩行機能の低下を認めた。筆者らは、末梢血管疾患患者の同定のためにはABIを使用すること、および典型的な間欠性跛行を有さない患者の治療に関する研究の必要性を主張している。

アンジオテンシン変換酵素阻害薬を内服していない心不全患者は死亡するリスクが高い [2004-08-10]

Heart failure patients who do not use an angiotensin-converting enzyme inhibitor have increased risk for death
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)内服の適応であり内服していない心不全患者は死亡するリスクが高い、とCirculationオンライン速報版8月3日号に掲載された。研究者らは心不全および左室収縮機能障害を有する高齢者17,456人(平均年齢78歳)の医療記録を再評価した。ACE阻害薬の適応外である患者はいなかった。患者および施設の特徴で補正した結果、ACE阻害薬を内服することにより退院後1年間の死亡率のリスクが14%低下することが示された。筆者らは、適応のある患者(超高齢者や腎疾患患者も含める)にはACE 阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬を内服させるべきであると主張している。

ピオグリタゾンの新たなトライアルにより心血管疾患を有するII型糖尿病患者の死亡率および有病率が評価されるであろう [2004-08-02]

New pioglitazone trial will evaluate cardiovascular morbidity and mortality in patients with known cardiovascular disease and type 2 diabetes

心血管疾患を有するII型糖尿病患者の死亡率および有病率を評価するヨーロッパにおけるピオグリタゾンの新たなトライアルが5,238人の患者を集めた、とDiabetes Care誌7月号に掲載された。患者はベースラインの時点で、心筋梗塞、バイパス術後、または脳卒中の既往のいずれか一つ以上の既往歴を有していた。一次エンドポイントは、無作為化後、死亡や主な大血管事故を含む複合エンドポイントの初回発症までの期間とした。ピオグリタゾンかプラセボを既存の糖尿病治療(食餌療法、運動、および他の糖尿病治療薬を含む)に加えて投与する。

テレビを日常的に一日2時間以上見ている子供は成人早期までに様々な心血管疾患を発症するリスクが高い [2004-08-02]

Children who regularly watch television for two or more hours daily are more likely to develop several cardiovascular risk factors by early adulthood
テレビを日常的に一日2時間以上見ている子供や青少年は成人早期までに様々な心血管疾患を発症するリスクが高い、とLancet 7月17日号に掲載された。テレビと健康に関する初めての長期研究で、ニュージーランドの研究者らは1972〜1973年に生まれた子供約1,000人を26歳まで追跡調査した。その結果、(データに影響を与える可能性のある因子で補正してもなお)テレビに暴露される時間が長いほど肥満、喫煙、および高コレステロール血症のリスクが高かった。血圧との関連は認められなかった。この結果は将来的に公衆衛生の基準に影響する可能性があるが、特に心血管疾患の家族歴を有する親や子供を診療する医師らには速やかに利益をもたらすものである。


 
 

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