心房細動の患者は他の心疾患患者よりも閉塞性睡眠時無呼吸を合併しやすい [2004-07-26]

Patients with atrial fibrillation are more likely to have obstructive sleep apnea than other cardiology patients

心房細動の患者は他の心疾患患者よりも閉塞性睡眠時無呼吸を合併しやすい、とCirculationオンライン速報版 7月13日号に掲載された。米国の研究者らは心房細動患者151人と他の心疾患患者312人に、いびき、日中の眠気、body mass index、および高血圧に関する問診表を配り、睡眠時無呼吸のリスクを評価した。心房細動患者の約半分(49%)は睡眠時無呼吸のリスクが高かったが、他の心疾患患者におけるその割合は3分の1(32%)であった。つまり、心房細動患者は他の心疾患患者と比較し睡眠時無呼吸を合併する割合が倍であった(odds比2.19)。筆者らは、特に肥満または高血圧を有する心房細動患者に関しては睡眠時無呼吸の可能性を考慮したほうがよいと述べている。

喘息発作に対しベータ作動薬を使用することにより心筋梗塞を含む心事故のリスクがプラセボの倍になる [2004-07-26]

Beta-agonist use for asthma increases cardiac risks for events including myocardial infarction more than two-fold compared with placebo
喘息や慢性閉塞性肺疾患を有しベータ作動薬を日常的に使用している患者は、心筋梗塞を含む心事故のリスクが、プラセボを使用する者の倍以上であるとのメタ解析(33トライアル)の結果がCHEST 6月号に掲載された。筆者らは、慢性閉塞性肺疾患患者にベータ作動薬を開始することにより(プラセボと比較し)心拍数が増加しカリウム濃度が低下すると記した。このメカニズムとベータ作動刺激により、心筋虚血、心不全、不整脈、および心臓突然死が引き起こされたものと彼らは推測している。研究者らは、プラセボ群患者に必要時にはベータ作動薬を使用することを許可し、使用してもプラセボ群として継続しているトライアルは除いた、と書いている。

肺高血圧の新たなガイドラインでは不安定な患者に対してカルシウム拮抗薬を使用する際に慎重投与する必要があることを強調している [2004-07-20]

New guidelines for pulmonary arterial hypertension emphasize caution in use of calcium channel blockers for unstable patients

血管拡張薬が無効な肺高血圧患者にカルシウム拮抗薬を投与すると致命的な問題が生じる可能性があることから、医師らは肺高血圧患者に対してカルシウム拮抗薬を慎重に使用する必要があると、新たなエビデンスに基づくガイドラインがAmerican College of Chest Physiciansから発行されCHEST 7月号に掲載された。さらにガイドラインでは診断の確定および疾患の重症度判定のため右心系カテーテルを使用することを支持し、家族歴を有したり症状から高リスクと考えられる者、特にリスクの高い20〜40歳代の女性のスクリーニングを行うよう勧めている。原因不明の新規発症の肺高血圧患者に対しては結合組織疾患やHIV感染のスクリーニングを行うべきである。

ST非上昇型急性冠動脈症候群患者に対しEnoxaparinは未分画ヘパリンの代替薬となる有効な薬剤である [2004-07-20]

Enoxaparin is an effective alternative to unfractionated heparin for patients with non-ST-elevation acute coronary syndromes
ST非上昇型急性冠動脈症候群患者に対しEnoxaparinは未分画ヘパリンの代替薬となる有効な薬剤である、とJournal of the American Medical Association 7月7日号に掲載された。Superior Yield of the New Strategy of Enoxaparin, Revascularization and Glycoprotein IIb/IIIa inhibitors (SYNERGY) 国際トライアルでは、早期侵襲的治療施行予定のハイリスク患者10,027人をEnoxaparin皮下注群または未分画ヘパリン静注群に無作為に割り付けた。一次エンドポイントである30日以内の死亡または非致死的心筋梗塞はEnoxaparin群で14.0%、ヘパリン群で14.5%であった。Enoxaparin群では非致死的心筋梗塞の発生率が低くやや出血のリスクが高い傾向(有意ではない)がみられた。

Framingham Heart Studyのデータから、親に心房細動を有する者がいると心房細動発症のリスクが高いことが示された [2004-07-12]

Framingham Heart Study data show that people who have a parent with atrial fibrillation are at increased risk for it

Framingham Heart Studyのデータから、心房細動を発症するリスクは、親のどちらかが心房細動を有すると倍になる、とJournal of the American Medical Association 6月16日号に掲載された。この研究は、両親が元の研究の参加者であった女性1,165人および男性1,078人を対象とした。約30%が少なくとも両親のどちらかに心房細動を有する者がいた。今回の研究の対象者のうち70人(男性47人、女性23人、平均年齢62歳)に心房細動が発症した。両親が75歳未満で本人が明らかな心疾患を有さない者だけに限ると、心房細動を有する親を持つ者が心房細動を発症するリスクは3倍となった。さらなる研究によりこの不整脈を発症する遺伝因子が発見されることであろう。

ステントの通過血流の研究から、再狭窄のリスクを減らすため今後のデザインは結合部(linkage)がさらに細く少ないものとなるであろう、と示唆された [2004-07-12]

Study of blood flow through stents suggests that future designs have thinner and fewer linkages to decrease risk for restenosis
コンピュータでモデル化したステントの通過血流の研究から、将来的には結合部(linkage)がさらに細く少ないデザインのものにより、ステント留置後の再狭窄のリスクを軽減することが可能になるであろう、とJournal of Applied Physiology 7月号に掲載された。カテーテルを使用した冠動脈形成術の一環としてステントを留置した血管の3D血流モデルにより、施術前の冠動脈病変およびステントの構造が ステント留置部位の遠位部血管内皮への血圧分布の様式に作用し、再狭窄のリスクに影響していることが示された。

青年期にストレスに対する反応で血圧が急上昇しやすい者は中年までに高血圧を発症するリスクが高い [2004-07-05]

Greater reactivity of blood pressure in response to stress while a young adult predicts increased risk for hypertension by middle age
青年期に精神的ストレスで血圧が急上昇する者は高血圧を発症するリスクが高い、とCirculationオンライン速報6月22日版に掲載された。1985〜1986年に18〜30歳の男女5,115人を対象とした米国で現在進行中の研究の結果である。寒冷暴露やパターントレーシング試験などの3つのストレス因子に反応して血圧が上昇する者は、追跡期間中に高血圧を発症する確率が高かった。特に血圧が急上昇した者は、高血圧をしかも早期に発症するリスクが高かった。研究をさらに続けていく過程で研究者らは、運動のような対策により、ストレステストなどで検出された将来のリスクを軽減できるかどうかを明らかにするであろう。
ここ20年間の英国における脳卒中発症率は危険因子のコントロールが改善したことで著明に減少した [2004-07-05]
Incidence of stroke in Great Britain appears to have decreased markedly over the past 20 years with better management of risk factors
降圧剤やコレステロール低下薬などの使用が著明に増加したここ20年間の英国における脳卒中発症率は、約30〜40%減少した、とLancet 6月12日号に掲載された。研究者らは2つの地域研究(1981〜1984年および2002〜2004年に施行されたもの)から、脳卒中および一過性脳虚血発作の発症率の推移を評価した。この2つの期間で75歳以上の高齢者の割合は3分の1増加したにもかかわらず、年齢で補正した2002〜2004年の初回脳卒中発生率は、初期の研究から割り出した予測発症率よりも30%低かった。重度の障害を残すあるいは致死的な脳卒中の発症率は40%低下した。
 
 
 

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