糖尿病患者におけるスタチン系薬剤と心疾患
  異常心における冠動脈造影正常所見
  高血圧と腎機能
  心房細動と脳卒中
  シクロオキシゲナーゼ2遺伝子と心血管リスク
  II 型糖尿病における脂質

 

6月14日、21日更新のDOL Newsは、ASCO特集としてOncology Newsを
それぞれ6題掲載しています。
そのため、Cardiology Newsは6題となっております。



II型糖尿病患者にスタチン系薬剤を投与することにより初回の重篤な心血管系イベントのリスクを3分の1以上減少させる [2004-06-28]

Statins may reduce risk for first major cardiovascular event by more than one third in patients with type 2 diabetes
II型糖尿病患者(コレステロールレベルが正常範囲内のものも含む)にアトルバスタチンを投与することにより、初回の重篤な心血管系イベントのリスクを3分の1以上減少させるとAmerican Diabetes Association学会で発表された。心疾患および脳卒中の既往のないII型糖尿病患者をプラセボまたはアトルバスタチンを1日10mg内服する群に無作為割り付けしたヨーロッパの研究結果である。アトルバスタチンは重篤な心血管系イベントのリスクを37%軽減した(重篤な心疾患は36%、脳卒中は48%減少した)。このスタディは2005年までの予定であったが中間結果が解析された時点で中止となった。

冠動脈造影で正常であった者に核磁気共鳴分光学で解析したところ、心筋の代謝異常のために胸痛をきたしている女性を診断することが可能であった [2004-06-28]

Magnetic resonance spectroscopy after normal angiography can identify women with chest pain due to abnormal myocardial metabolism
核磁気共鳴分光学により心筋の代謝異常のために胸痛を来している女性を診断することができる、とCirculation オンライン速報6月15日号に掲載された。研究者らは3年間にわたり冠動脈造影所見が正常である女性(分光学上正常者60人、異常者14人)および冠動脈疾患を有する女性352人を追跡した。冠動脈造影所見および分光学所見がともに正常であった者の87%にはイベントが発生しなかったが、冠動脈造影所見が正常で分光学所見が異常な者におけるその割合は、たったの57%であった。分光学所見が異常である者におけるイベント率は冠動脈疾患を有すると診断されている患者のイベント率と同等であった。筆者らは、分光学分析は、胸痛を訴え冠動脈造影で有意な冠動脈狭窄を有さない女性の56%にとって実質的に有効であると考えている。

高血圧を有し腎機能障害を発症する患者は心疾患による死亡のリスクが高い [2004-06-08]

Patients with hypertension who develop kidney dysfunction are at increased risk for death from heart disease
腎機能の低下した高血圧患者は心疾患で死亡するリスクが高い、とJournal of the American Society of Nephrology 6月号に掲載された。高血圧を有し正常腎機能の患者281人に対しスペインで施行した研究において、追跡調査(平均13年)の後の再評価にて15%の患者に中等度の腎機能障害が認められた。追跡調査中に約17%の患者に心血管イベントが発生した。心血管イベントは腎機能障害の認められた患者の41%に起こったが、一方、正常腎機能の患者におけるその割合は13%であった。他の因子で補正したところ、腎機能障害を有する患者の心疾患または脳卒中のリスクは2.5倍高かった。糖尿病患者ではアンジオテンシン変換酵素阻害薬を内服することにより心血管イベントのリスクは軽減した。

新たなデバイスを使用することにより通常の検査では心房細動を発見できなかった脳卒中患者の5%において心房細動を検出できる [2004-06-08]

New device can identify atrial fibrillation in roughly 5 percent of stroke patients in whom standard tests fail to detect the arrhythmia
心臓の調律を7日間記録する新たなデバイスを使用することで、2種類の通常の検査では心房細動を発見できなかった脳卒中患者において18人に1人の割合で心房細動を検出することが可能である、とStroke誌オンライン速報版5月21日号に掲載された。脳卒中または一過性脳虚血発作で入院した患者連続149人のうち10人において初回入院後5日以内に通常の心電図で心房細動が発見された。さらに7人の患者がホルター心電図により心房細動を有すると診断された。心電図およびホルター心電図で心房細動の検出されなかった患者に入院後平均55日に7日間の記録を施行したところ、記録が完全にできた88人中5人(5.7%)において心房細動が検出された。筆者らは、持続心電図モニター、ホルター心電図、およびこの新たな長期の心電図モニター(イベントループ記録)により心房細動の検出率が最良となると述べている。

シクロオキシゲナーゼ2遺伝子のある特定の変異は心筋梗塞および脳虚血発作のリスクを低下させる [2004-06-01]

Specific variations of cyclooxygenase-2 gene are associated with lower risk for myocardial infarction and ischemic stroke
シクロオキシゲナーゼ2遺伝子のある特定の変異を有する人々は心筋梗塞および脳虚血発作のリスクが低い、とJournal of the American Medical Association 5月12日号に掲載された。イタリアの研究者らは初回の心筋梗塞またはアテローム血栓性梗塞患者864人とコントロールとしての入院患者864人の、ジェノタイプおよび顕性のプラーク破裂を調査した。年齢、性別、喫煙状況、body mass index、高脂血症、および糖尿病で補正した結果、765GCまたは765CCのジェノタイプを有する患者は心筋梗塞や脳虚血発作の相対リスクがそれぞれ52%および67%低かった。

インスリン抵抗改善薬ピオグリタゾンを含めた薬物の併用療法はII型糖尿病患者の脂質プロファイルを改善する [2004-06-01]

Combination therapy including insulin-sensitizer pioglitazone improves lipid profiles in people with type 2 diabetes
インスリン抵抗改善薬ピオグリタゾンとスルホニル尿素薬、メトフォルミン(ビグアナイド薬)またはインスリンの併用はベースラインと比較し有意に中性脂肪値を減少させHDLコレステロールを増加させる、とAmerican Association of Clinical Endocrinologists学会で発表された。3つの無作為多施設研究ではII型糖尿病患者におけるピオグリタゾンとスルホニル尿素薬、メトフォルミン(ビグアナイド薬)、またはインスリンの併用療法を評価した。計250人以上の患者がピオグリタゾン(30mgまたは45mg)とスルホニル尿素薬、メトフォルミン、またはインスリンとの併用療法に無作為に割り付けられた。12週間後および24週間後に認められた改善にはHDLコレステロールおよびLDLコレステロールサイズの増大が含まれ、これは心血管系のリスクを低下させるものである。
 
 

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ
Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.