卵円孔が開存し脳卒中を発症した者においては脳卒中再発のリスクは高くない可能性がある [2004-04-27]

People with patent foramen ovale who have had a stroke may not be at increased risk for a second stroke
卵円孔が開存し、原因不明の脳卒中を発症した者においては脳卒中再発のリスクは高くない可能性がある、とNeurology 4月13日号に掲載された。研究者らは、卵円孔が開存している患者において脳卒中が再発するリスクが高いとの十分な証拠は得られなかったが、卵円孔が開存し心房中隔瘤を有する55歳未満の人々においては脳卒中の再発のリスクが高いことを示した。心房中隔瘤を有する者の70%においては卵円孔開存が認められる。論文の批評者は、この解剖的心奇形と脳卒中のリスクに関する疑問を解決するため、そしてこれらの患者に対する適切な治療法を開発するために前向き研究を行うことを勧めている。

マウスモデルにおける虚血心筋を保護する新たな遺伝子治療により、心筋梗塞後の心筋損失を減少させることができる可能性がある [2004-04-27]

Novel gene therapy that protects ischemic myocardium in mouse model may limit myocardial loss following acute infarction
虚血心筋細胞に特異的に反応する新たな遺伝子療法により、結果的に心筋梗塞後に引き続き起こる心筋細胞の損失を防ぐことができる可能性がある、という報告がHypertension 4月号に掲載された。マウスにおいて心筋梗塞を引き起こした1時間後に、研究者らは虚血および血流回復に反応し保護作用のあるheme oxygenase-1遺伝子の発現をonおよびoffできる分子センサーを注入した。対照群には生理食塩水を注入した。心筋梗塞後10日経過した時点で、分子センサーを注入されたマウスにおいては対照群と比較し瘢痕化した心筋が少なく左室機能の回復が早かった。この研究で研究者らは、分子技術を用いて保護作用のある遺伝子を発現させることにより、さらなる心筋細胞梗塞を予防し損傷部位を減少させることができることを示した。

腹部大動脈瘤のリスクの高い者および腹部大動脈瘤を有する者はこれまで考えられていたよりも多い [2004-04-20]

Prevalence of people at risk for abdominal aortic aneurysms and people with aneurysms may be higher than previously thought
米国の大規模な腹部大動脈瘤スクリーニングプログラムの結果、対象者の25%はリスクを有し5%は実際に大動脈瘤を有していた、とSociety of Interventional Radiology学会で発表された。この4年間にわたるほぼ46,000人を評価した研究で、大動脈瘤の5.3%は破裂のリスクが高く(径が5cmより大きい)、これら以外の人々で径が3.5cm以上あり経過観察が必要な者は22.5%に認められた。追跡調査の結果、11%の人々がこれらのスクリーニングの結果に基づき、受診したか処置を受けたと報告した。

Class IIまたはIIIの心不全患者における勃起障害またはうつ病に対するシルデナフィルの投与は安全で有効である [2004-04-20]

Sildenafil is safe and effective therapy for erectile dysfunction and depression in men with Class II and III heart failure
Class IIまたはIIIの心不全患者における勃起障害またはうつ病に対するシルデナフィルの投与は安全であるとの結論が、前向きプラセボコントロール二重盲検クロスオーバー試験の結果得られた、とArchives of Internal Medicine 3月8日号に掲載された。運動負荷試験または核医学検査の結果、虚血性心疾患が無いことを確認された患者計35人が12週間のトライアルに登録された。シルデナフィルを内服することにより無症状の血圧低下が認められ、また国際勃起機能指標(International Index for Erectile Function survey)心不全の評価指標(Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire )、さらにうつ病に対する二つの評価スコアの改善がみられた。

短時間の外科手術で交感神経活性を低下させることにより若年のQT延長症候群患者の死亡リスクを減少することが可能である [2004-04-13]

Brief surgical procedure reduces sympathetic activity and risk for death from long QT syndrome in young patients
左側心臓交感神経支配除去術により、若年QT延長症候群患者の突然死のリスクを減少させることが可能である、という報告がCirculation オンライン速報3月30日版に掲載された。イタリアの研究者らは、QT間隔が著明に延長し、心臓停止の既往がある(48%)か、βブロッカー療法下でも症状のある(75%)患者147人(平均年齢17歳)を検索した。手術後平均7.8年間に患者一人一年当たりの心臓性のイベントは術前と比較し91%減少した。46%の患者は無症状であり、31%は少なくとも一回は意識を消失し、16%は心停止をし、7%は心臓突然死した。筆者らは除細動器の保護作用の方が高いことは認めているが、患者が生活の質を真剣に考えている場合はこの手術も治療法として考慮に入れることができるであろうと述べている。

高リスクの糖尿病患者における脳卒中予防のための頚動脈ステント留置術は効果および安全性の上でエンドアテレクトミーよりも優れている可能性がある [2004-04-13]

Carotid stenting to prevent stroke in high-risk diabetic patients may be superior to endarterectomy in efficacy and safety
糖尿病のハイリスク患者に対する脳卒中予防のための頚動脈ステント留置術は頚動脈エンドアテレクトミーよりもより有効で安全である可能性がある、とSociety of Interventional Radiology 学会で発表された。血栓塞栓防護装置を備えたステントと手術を比較したSAPPHIREトライアルでは334人の患者を登録し、今回そのうちの86人の予後を解析した。術後30日以内の脳卒中、心筋梗塞、および死亡率はステント群において4.8%、手術群において22.7%であった。1年主要合併症発症率(術後30日以内の死亡、脳卒中、および心筋梗塞、または31日目から360日以内の同側の脳卒中または脳卒中による死亡など)はステント群で4.8%であり手術群では25%であった。

軽度から中等度の飲酒は高血圧を有する男性の心血管疾患死のリスクを低下させる可能性がある [2004-04-06]

Light-to-moderate alcohol consumption may reduce risk of death from cardiovascular disease in hypertensive men
軽度から中等度の飲酒は高血圧を有する男性の心血管疾患死のリスクを低下させる可能性がある、という報告がArchives of Internal Medicine 3月22日号に掲載された。研究者らは、ある長期健康調査の対象である男性医師14,125人のデータを解析した。平均5.4年の追跡期間中に1,018人が死亡し、そのうち579人(56.9%)の死因が心血管疾患であった。非飲酒者と比較し、毎週あるいは毎日飲酒をする者は総死亡率が低く(それぞれ28%、27%)、心血管死亡率はさらにリスクがより低下した(それぞれ39%と44%)。筆者らは、軽度から中等度の飲酒をする高血圧の男性は、この健康に良い影響を与えるであろう良い習慣をやめる必要はない、と結論付けている。

一過性脳虚血発作後早期に頚動脈エンドアテレクトミーを施行することにより重症脳卒中のリスクを軽減することができる [2004-04-06]

Carotid endarterectomy performed shortly after a transient ischemic attack may significantly reduce risk for major stroke
一部の患者においては初回一過性脳虚血発作後ある一定の時間内に頚動脈エンドアテレクトミーを施行することにより重症脳卒中のリスクをかなり軽減することができる、という報告がLancet 3月20日号に掲載された。ある2つの大規模試験のデータ(合計約5,900人)を解析したところ、この方法は、75歳以上の男性で、一過性脳虚血発作後2週間以内に手術を施行されたものにおいて有効であり、2週間を過ぎると時間が経つごとに有効性は急激に低下した。筆者らは、リスクの高い患者が一過性脳虚血発作の徴候に関してよく説明を受け、早期に医療機関を受診し診断や治療を受けることの重要性を強調している。
 
 

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