母親の冠動脈疾患歴は青少年にとってより大きなリスクである [2004-03-30]

A history of coronary heart disease in one’s mother may be disproportionately important to risk in the adult child
両親の冠動脈疾患はその子供のリスクとなることは確立された事実であるが、多くの人々においては母親の疾患歴のみが重要である、とAmerican College of Cardiology学会で発表された。米国の大規模メディカルセンターにおける冠動脈疾患患者の兄弟で60歳未満(平均年齢46歳)の無症状の者を約8年間追跡調査した。その結果、母親に冠動脈疾患歴のある患者の兄弟は冠動脈疾患を発症する確率が2倍であった。母親が55歳以下で有症状であった場合、母親に病歴のない者と比較しリスクは6倍であった。父親が冠動脈疾患を45歳以前に発症していなければ影響はなかった。父親が冠動脈疾患を45歳未満で発症している場合はその子供のリスクは5倍であった。

急性脳卒中の患者の多くは病院に着いた時点で血栓溶解療法を考慮するには時間が経過しすぎている [2004-03-30]

Few patients with acute stroke arrive at the hospital soon enough for thrombolytic therapy to be considered
急性脳卒中の患者の多くは、病院に着いた時点で血栓溶解療法を考慮するには時間が経過しすぎていることが判明したことから、脳卒中の可能性のある症状を有するリスクの高い患者には速やかに病院へ行くように警告することの重要性を医師らは再認識するであろう、という報告がArchives of Neurology 3月号に掲載された。米国のある都市地域では1年間に1,923人が急性脳梗塞で入院し、そのうち血管内組織プラスミノーゲンアクティベーター投与の適応である発症3時間以内に来院したのは288人(15%)であった。重症度および症状に改善が認められないことを基本とし考慮すると、適応と考えられたのは15%のうち6.9%であった。全体的には、この療法は時間内に来院した患者の19.4%に、また適応と考えられた患者の43.4%に対し施行されていた。

埋め込み型除細動器は心不全患者の死亡率を有意に低下させる [2004-03-15]

Implanted defibrillators significantly reduce mortality in patients with heart failure
埋め込み型除細動器は心不全患者の死亡率を有意に低下させるが、アミオダロンは死亡率を低下させない、とAmerican College of Cardiology学会で発表された。The Sudden Cardiac Death in Heart Failure study (SCD-HeFT研究)で、中等度―重度の心不全患者2,521人はアミオダロン投与群または除細動器埋め込み群、プラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられた。これらの患者のうち半数よりやや多くの患者が心筋梗塞後の心不全であり、15%の患者がスタディ開始時に心房細動を有していた。解析の結果、666人が死亡し、そのうち182人(死亡率22%)が除細動器群、240人(28%)がアミオダロン群、そしてプラセボ群が244人(29%)であった。除細動器の効果は、心不全の原因に関わらず、ベースラインの時点で中等度の心不全患者において最も高かった。アミオダロンはベースラインの時点で重症の心不全を有する患者にはむしろ有害な効果があるように思われた。患者の平均追跡期間は約4年間であった。

胸痛で入院した患者のうちクレアチニンレベルが正常高値の者は正常低値の者よりも予後が不良である [2004-03-15]

People with high-normal creatinine levels admitted for chest pain are far more likely to have a poor outcome than people with low levels
心筋梗塞の可能性のある胸痛で入院した患者のうちクレアチニンレベルが正常高値の者は正常低値の者と比較しその後数ヵ月の予後が不良であるリスクが倍である、とAmerican College of Cardiology 学会で発表された。Johns Hopkins医療施設の研究者らは持続する胸痛で入院した患者459人を前向きに追跡した。クレアチニンレベルが正常高値である患者のうち心筋梗塞に移行し、血行再建術を必要とし、120日以内に死亡したのは22%であったが、クレアチニンレベルが正常低値であった患者のその割合は13%であった。筆者らは、入院時クレアチニンが正常高値の患者に関しては心血管リスクファクターを発見しコントロールすることに力を入れるべきであると述べている。

心不全患者においてはその原因疾患およびコレステロールレベルにかかわらずスタチンを内服することにより死亡率が低下する [2004-03-09]

Use of a statin appears to reduce mortality in heart failure patients regardless of cause and cholesterol level
心不全患者においてはその原因疾患およびコレステロールレベルにかかわらずスタチンを内服することにより心不全の悪化による1年死亡率が著明に低下することから、スタチンは心不全患者に広範な利益をもたらす可能性がある、という報告がJournal of the American College of Cardiology 2月18日号に掲載された。米国の研究者らは同国における心不全プログラムに登録された患者(平均駆出率25 + 7%)551人の医療記録を解析した。虚血性心疾患(心不全の原因が心筋梗塞であるもの)を有しスタチンを投与された患者は死亡率が65%低下し、非虚血性(心不全の原因が心筋梗塞以外)の患者においては死亡率が73%低下した。この結果はコレステロールレベル、年齢、性別、内服薬、および糖尿病や冠動脈疾患などの合併症とは関係がなかった。

米国対策委員会は無症状の低リスクの成人に対するスクリーニングとしてのトレッドミル運動負荷試験または安静時心電図を推奨していない [2004-03-09]

U.S. task force does not recommend treadmill exercise testing or resting electrocardiograms as screening tests for asymptomatic, low-risk adults
米国Preventive Services Task Force(予防サービス対策委員会)は、無症状で低リスクの成人に対するスクリーニングの手段としてトレッドミル運動負荷試験、安静時心電図、または電子ビーム断層撮影を推奨していない、という報告がAnnals of Internal Medicine 2月17日号に掲載された。心疾患のリスクの高い成人に対しては、これらの検査をスクリーニングとして使用することの有用性に関しては否定とも肯定ともいえる十分な証拠はまだ得られていない。筆者らは、低リスクの人々に関しては糖尿病や高血圧などのリスクファクターを管理し、運動、食事、および体重に関する適切なカウンセリングを施すべきである、と主張している。

伝統的なオンポンプバイパス術の長期予後はオフポンプバイパス術のそれよりも良好である [2004-03-02]

Conventional on-pump bypass surgery produces better long-term results than off-pump techniques
実際の経験に基づくと臨床試験とは逆に、伝統的なオンポンプバイパス術を受けた患者はオフポンプバイパス術を受けた患者よりも別の処置を何も受けずに3年間生存期間が長い、という報告がJournal of the American College of Cardiology 2月18日号に掲載された。研究者らは1997〜2000年の間にオフポンプバイパス術を受けた患者9,135人およびオンポンプバイパス術を受けた患者59,044人のデータを解析した。その結果、短期間の生存率は同様であったが、3年生存率および生存または再血行再建術を受けない率はオンポンプバイパス術を受けた患者において高かった。この研究を解釈する上での主な限界は、このデータにはオフポンプバイパス術が大変普及したため多くの外科医がこの方法をより多く行った時期の初期からのデータが含まれていることである。

心血管疾患のリスクファクターは腎疾患発症の強力な予測因子ともなる [2004-03-02]

Risk factors for cardiovascular disease are also powerful predictors for development of kidney disease
Framingham Offspring Study のデータ解析によると心血管疾患のリスクファクターは腎疾患発症の強力な予測因子ともなる、という報告がJournal of the American Medical Association 2月18日号に掲載された。1978〜1982年の間にベースラインの検査を施行され、1998〜2001年の間に再度追跡検査された男性1,223人および女性1,362人のデータを解析した。ベースラインの時点で対象者は誰も腎疾患を有していなかった。平均追跡期間18.5年の後、244人(9.4%)に腎疾患が発症した。腎疾患は糸球体ろ過率が50%以下であることにより診断した。高血圧、糖尿病、喫煙および肥満に加え、HDLコレステロールの低下およびベースラインの時点で糸球体ろ過率が低下していることからも、腎疾患が予測された。
 
 

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