新たな解析によると、心電図は、将来QT延長に伴う心血管疾患により死亡するリスクが有意に高くなる可能性のある人々を発見することができる、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 2月18日号に掲載された。研究者らは45〜64歳の健常な米国人男女約15,000人を対象とした人口動態統計のデータを解析した。QTの延長度が上位から10%の人々は他の90%の人々と比較し、冠動脈疾患のリスクが2倍、心血管疾患により死亡するリスクが5倍高かった。この研究で使用された手作業およびソフトウエアによるQT間隔の心拍数補正の計算は、両者とも正確であることが示された。
虚血性イベント(心筋梗塞または脳梗塞)を2回起こした患者はアスピリンよりもclopidogrelで治療された方がその後のイベントのリスクが軽減される、という報告がStrokeオンライン速報
1月23日版に掲載された。データは「虚血性疾患のリスクの高い患者におけるclopidogrelとアスピリンの効果
」(Clopidogrel Versus Aspirin in Patients at Risk of Ischemic
Events, CAPRIE)トライアルから得られた。その結果、全体では、clopidogrelを投与された患者はアスピリンを投与された患者よりも相対リスクが8.7%低かった。また2回のイベントの既往がある患者4,496人においてはclopidogrelの有効性はより高く、clopidogrelを投与された患者の相対リスクは14.9%であった。3年後、clopidogrel群の20.4%およびアスピリン群の23.8%がその後の虚血性イベントで死亡した。この結果を統計学的に解析すると、これらの患者をclopidogrelで治療することにより、3年間に29人に1人が死亡または非致死性の心筋梗塞および脳梗塞から免れることとなる。
頚動脈の再狭窄に関してはステント留置による頚動脈形成術がエンドアテレクトミーよりも予後が良好な可能性がある、とAmerican
Society of Neurological SurgeonsとAmerican Society on Intervention
Therapy Neuroradiologyのジョイントアニュアルミーティングで発表された。この新たな技術(遠位部塞栓保護を用いた冠動脈形成術のあとにステントを留置する方法)を施行された患者21人において神経学的な合併症が認められた者はいなかった。一方、エンドアテレクトミー再施行後に脳梗塞や死亡などの合併症の予測される確率は10%にも上った。この発表を行った施設では既に1,000例以上の経験があり、全ての経験に基づきこの技術は米国において、初発および再発の頚動脈狭窄の治療に使用することが2005年までに認可される予定である。
80歳以上の急性冠症候群患者は70歳代の患者よりも重症である傾向にあるが、選別された一部超高齢者の2年後の予後は10歳若年の患者と同等である、という新しい研究がJournal
of the American College of Cardiology 2月4日号に掲載された。連続449人の患者(70〜79歳251人、80歳以上198人)を対照としたスタディの結果、80歳以上の患者は血管形成術よりもバイパス手術を施行される傾向にはあったものの、血管形成術または冠動脈バイパス手術を受けた患者の割合は同等であった。80歳以上の2年後生存率は低かったが(67.4%対83.5%)、生存した80歳以上の患者は生活が改善したとより報告する傾向にあった。編集局は、超高齢者に関してはそれぞれの個人に見合った治療法を選択すべきであると力説している。
血中胎盤増殖因子(PlGF)濃度は急性胸痛を有する患者の短期の心筋梗塞や死亡を予測する可能性がある、という研究がJournal
of the American Medical Association 1月28日号に掲載された。ドイツの研究者らはトライアルに参加した急性冠動脈疾患患者547人と、急性胸痛で来院した患者626人について調査した。急性冠動脈症候群患者において増殖因子の上昇は30日以内の心筋梗塞または死亡のリスクの著明な上昇を示した(14.8%対4.9%)。急性胸痛患者においては増殖因子が上昇している者は心筋梗塞または死亡のリスクが3倍高かった(21.2%対5.3%)。研究者らは、増殖因子が動脈硬化性プラークを不安定にする炎症を引き起こしているとの仮説を立てている。
勃起障害は血管疾患の初期徴候である可能性がある、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 1月21日号に掲載された。勃起障害を有しそれ以外は健常でありリスクファクターが認められない40代半ばの男性30人と、年齢を適合させた対照群の男性27人を比較した。この2群間において数多くの血管に関する計測値(動脈径、内中膜壁厚、動脈の脈派速度、冠動脈石灰化)には差がなかったが、腕頭動脈の内皮依存性および非依存性の拡張能は勃起障害群において有意に低下しており、全体的な血管平滑筋障害が示唆された。筆者らはさらなる研究がなされるまで、循環器医らに、説明不能な勃起障害の患者においては他の動脈硬化の徴候がないかどうかを検索すること、また心血管疾患患者には勃起障害の既往の有無を質問することを推奨している。