腕の位置を推奨されている位置(身体および心臓に対し肘を正しい角度に曲げる)以外にすることにより血圧の読みが10%も上昇することがある、という研究がAnnals
of Internal Medicine 1月6日号に掲載された。米国の研究者らは、心臓血管系疾患以外で来院した18〜88歳の救急患者100人の血圧を様々な体位で計測した。座位で計測し腕を身体に垂直にした場合高血圧に分類された患者は22%であったが、腕を身体に平行にした場合は41%であった。筆者らは、同じ正しい姿勢で血圧測定することの重要性を強調している。
近年いくつかの研究で示された大動脈弁狭窄と心筋梗塞および死亡のリスクの相関は、その発生の共通の過程として炎症が関与している可能性がある、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 1月21日号に掲載された。米国の研究者らは、ある病院に胸痛で来院した患者425人(平均年齢68
± 15歳、男性54%)の心臓超音波検査および血液検査の結果を解析し大動脈弁狭窄、冠動脈疾患、炎症の血清学的マーカー、および1年後の心血管系疾患の予後について評価した。論説では、過去に大動脈弁狭窄と心疾患の関連の研究を行った研究者が、石灰化弁膜疾患は高脂血症や遺伝的な石灰化傾向などの複数の因子が関わっており、さらなる研究が必要である、と指摘している。
5脂肪酸酸化酵素の遺伝子変異がロイコトリエンと呼ばれる炎症メディエーターのレベルを上昇させることにより動脈硬化を促進する、という報告がNew
England Journal of Medicine 1月1日号に掲載された。この変異は約5%の人に認められ、血液検査を開発することによりこのジェノタイプに基づく心血管疾患のリスクの高い患者を発見することができるようになる。この酵素をターゲットとした薬剤は既に喘息の治療として開発されており、研究者らは、今後の研究によりこの薬剤が遺伝子変異を有する人々の動脈硬化の予防または治療に有効であるか否かが明らかとなるであろう、と述べている。
青年期の呼吸循環系の運動は中年期の高血圧や糖尿病のリスクを軽減するとJournal
of the American Medical Association 12月17日号に掲載された。研究者らは18〜30歳の黒人および白人4,487人の冠動脈リスクの発症を調査する研究のデータを解析した。対象者は全員15年間追跡調査され、そのうち55.2%が7年後トレッドミル検査で運動能を再評価された。両人種、男女ともにおいて同様の傾向が認められ、ベースラインの時点で運動能が低下または中等度であった者は運動能が高い者と比較し、高血圧、糖尿病、およびその他の代謝疾患のリスクが2倍であった。しかし、運動能が高くとも肥満の者に関しては運動をしてもリスクの軽減は認められなかった。筆者らは医師らに、運動および体重コントロールが将来の心血管リスクをコントロールする手段であることを青年らによく説明するよう呼びかけている。
全身性ループスエリテマトーデスは早期および重症の動脈硬化の独立したリスクファクターである、という報告がNew
England Journal of Medicine 12月18日号に掲載された。研究者らはループス患者197人とそれに適合するコントロール197人に頚動脈超音波検査を施行した。一般的なリスクファクターの頻度は両群間において同等であった。しかし、動脈硬化はループス患者により多かった。ループスの期間と重症度は動脈硬化の重症度と関連が認められた。筆者らは、この結果からループス患者は比較的若年で心筋梗塞を発症するというすでに認められている事実を説明するものである可能性がある、と述べている。
C反応性蛋白(CRP)のレベルが高いと高血圧のリスクが高い、という報告がJournal
of the American Medical Association 12月10日号に掲載された。米国の研究者らはベースライン時に45歳以上で正常血圧の女性20,525人のデータを調査した。追跡期間中(平均7.8年)、5,365人に高血圧が発症した。ベースライン時にCRPレベルが最も高い層にあった者においては、高血圧が発症する率は2倍であった。編集局は、軽度ではあるが独立した高血圧とCRPのこの関係は代謝疾患との関連に類似しており、CRPのような炎症蛋白、代謝疾患、および心血管と動脈疾患の関連に対する更なる研究により説明される可能性があることを強調している。