家族環境因子は遺伝子素因のある若年者のアルコール乱用障害の重要なリスクファクターである、という報告がArchives
of General Psychiatry 12月号に掲載された。米国の研究者らは男性の一卵性および二卵性双生児1,213人、および彼らの子供1,270人(12〜26歳)に面接を行った。276人の子供の父親はアルコール関連の障害がないと診断された。アルコール依存症の父親をもった子供は、アルコール依存症でない父親をもった子供たちよりも、有意にアルコール依存症である確率が高かった。一卵性双生児のもう一人もアルコール乱用であるアルコール乱用者の子供はそうでないものと比較し、より依存症となる確率が高かった。アルコール乱用の既往のない一卵性双生児は、もう一人がアルコール依存症であってもその子供がアルコール関連の診断をされる確率はアルコール症でない双生児の子供と同等であった。
統合失調症に対するハロペリドールとbenztropineの併用はオランザピンと同様に有効でありQOLも同等である、という報告がJournal
of the American Medical Association 11月26日号に掲載された。米国の退役軍人を対象に行われたこの1年間の大規模研究においてこれらの2つの治療は、効果および副作用の面でも同等であることが示された。オランザピンは予測されたようにコスト軽減には結びつかず、入院および外来患者の薬剤や費用などのコスト全体は増大した。現在進行中の国際研究において5つの非定型抗精神病薬と従来型薬剤の比較が行われている。
アルツハイマー病患者の介護者は患者の死亡後のうつ状態から3ヵ月以内に回復しその回復した状態は1年中続く、という報告がNew
England Journal of Medicine 11月13日号に掲載された。米国の研究者らは、在宅介護者とその被介護者217組および施設介護者とその被介護者180組を追跡調査した。介護者の平均年齢は65歳であり、その多くが女性であった(84%)。彼らは平均3年間親戚の介護をしていた。被介護者の多くは男性で中等度から重度の痴呆を有していた(平均年齢81歳)。面接の結果、生前からの別離や家族に対するカウンセリング、患者の十分な疼痛コントロールなどの援助は、遺族の悲嘆からの回復に有意に利益を与えることが示唆された。
統合失調症治療薬として長期作用型非定型抗精神病薬が米国の臨床現場に導入されたことにより、患者のコンプライアンスが改善し血中薬剤濃度の変動が軽減する。リスペリドンのこの新たな剤型は、2週間おきに患者に注射投与される。その効果および安全性が入院ならびに外来患者400人に対する12週間のプラセボ対照試験で確立された。実薬25mgを注射投与された患者の47%が臨床的に改善したがプラセボ群のその割合は17%であったことを、研究者らは示した。臨床上の改善とは、Positive
and Negative Syndrome Scaleの総得点が20%以上低下することにより定義された。副作用は実薬とプラセボで同等であった。