不安や抑うつ気分などの感情を頻回に感じる人々はアルツハイマー病のリスクが高い [2003-12-22]

People who frequently feel emotions such as anxiety and depression are at higher risk for Alzheimer’s disease
抑うつ気分や不安を頻回に感じる成人はそのような悲嘆を感じにくい者に比べてアルツハイマー病が発症する確率が2倍高い、という報告がNeurology 12月9日号に掲載された。ある大規模な老化の研究の一部として797人の人々(平均年齢75歳)がベースラインおよび一年毎の評価を受けた。追跡期間(平均4.9年)中に140人にアルツハイマー病が発症した。悲嘆の感情に関して90パーセンタイルに入る者は10パーセンタイルの者と比較しアルツハイマー病を発症する率が2倍高かった。この関係はうつ症状や読書などの認知機能を刺激する活動で調整してもなお認められた。今後の研究により、抗うつ剤や他の薬剤によってリスクを軽減できるかどうかが明らかになるであろう。
 

脳の両側の独立した部位の構造異常が注意欠陥多動性障害の基礎であるようである [2003-12-22]

Distinct bilateral structural abnormalities appear to underlie attention deficit hyperactivity disorder
注意欠陥多動性障害の小児においては脳のある部位の容積減少および他の部位の容積増加が認められるようである、という報告がLancet 11月22日号に掲載された。米国の研究者らは高解像度核磁気共鳴画像(MRI)を使用し、障害を有する小児および成人27人(女性11人男性16人)と年齢性別を合わせたコントロール46人を評価した。前頭皮質における局所の脳の縮小は、主に背側前頭葉前部皮質の小さな領域に認められた。障害のある小児においてはまた両側前側頭領域の縮小が見られた。逆に後側頭部および後壁皮質の灰白質の大きな部分の増加が認められた。この発見は注意力および刺激調節に関する理解のワンステップとなる可能性がある。
 

米国精神医学会(American Psychiatric Association)は自殺行為を有する患者の治療ガイドラインの第一版を発行した [2003-12-16]

American Psychiatric Association issues its first guidelines for care of patients with suicidal behaviors
米国精神医学会(American Psychiatric Association)は、自殺行為を有する患者の評価および治療ガイドラインの第一版を発行した。このガイドラインは、精神神経科医に彼らがリスクを評価し治療戦略を改善できるような系統だったものを供給することを目的としたものである。このガイドラインを発行するために彼らは2年以上を費やし、1960年以降に出版された34,000以上の論文を検閲した。このガイドラインの草案は100人以上の専門家および8つの学会が吟味し臨床上のコンセンサスを得た。最終的なガイドラインはAmerican Journal of Psychiatry 11月号のsupplementに掲載され、またオンラインでhttp://www.psych.org/psych_pract/treatg/pg/prac_guide.cfmにアクセスすることにより閲覧可能である。
 

遺伝子学的因子および家族環境因子がアルコール乱用の発症に影響する [2003-12-16]

Genetic and family environmental factors affect risk for developing alcohol abuse disorders
家族環境因子は遺伝子素因のある若年者のアルコール乱用障害の重要なリスクファクターである、という報告がArchives of General Psychiatry 12月号に掲載された。米国の研究者らは男性の一卵性および二卵性双生児1,213人、および彼らの子供1,270人(12〜26歳)に面接を行った。276人の子供の父親はアルコール関連の障害がないと診断された。アルコール依存症の父親をもった子供は、アルコール依存症でない父親をもった子供たちよりも、有意にアルコール依存症である確率が高かった。一卵性双生児のもう一人もアルコール乱用であるアルコール乱用者の子供はそうでないものと比較し、より依存症となる確率が高かった。アルコール乱用の既往のない一卵性双生児は、もう一人がアルコール依存症であってもその子供がアルコール関連の診断をされる確率はアルコール症でない双生児の子供と同等であった。
 

統合失調症に対するハロペリドールとbenztropineの併用はオランザピンと同様に有効でありコストはずっと安い [2003-12-09]

Haloperidol plus benztropine as effective as olanzapine against schizophrenia at far lower cost
統合失調症に対するハロペリドールとbenztropineの併用はオランザピンと同様に有効でありQOLも同等である、という報告がJournal of the American Medical Association 11月26日号に掲載された。米国の退役軍人を対象に行われたこの1年間の大規模研究においてこれらの2つの治療は、効果および副作用の面でも同等であることが示された。オランザピンは予測されたようにコスト軽減には結びつかず、入院および外来患者の薬剤や費用などのコスト全体は増大した。現在進行中の国際研究において5つの非定型抗精神病薬と従来型薬剤の比較が行われている。
 

クエチアピンが米国において双極性躁病の併用薬または単一治療薬として臨床的に使用されることになり、非定型抗精神病薬の用途範囲が拡大された[2003-12-09]

Versatility of atypical antipsychotics extended as quetiapine enters U.S. practice as adjunct or monotherapy for bipolar mania
クエチアピンが米国において双極性障害に伴う躁病エピソードの併用薬または単一治療薬として臨床的に使用されることになり、非定型抗精神病薬と呼ばれる薬剤の用途の広さが証明された。この薬剤は、双極性障害に伴う躁病に対してクエチアピンの使用が認可されたヨーロッパ14ヵ国によるMutual Recognition Procedureの結果に基づき認可された。現在のところ、この薬剤の小児に対する有効性および安全性は確認されていない。
 

アルツハイマー病患者の介護者は患者の死亡後速やかにうつ病から回復する [2003-12-02]

Caregivers show rapid recovery from depression after the death of patients with Alzheimer’s disease
アルツハイマー病患者の介護者は患者の死亡後のうつ状態から3ヵ月以内に回復しその回復した状態は1年中続く、という報告がNew England Journal of Medicine 11月13日号に掲載された。米国の研究者らは、在宅介護者とその被介護者217組および施設介護者とその被介護者180組を追跡調査した。介護者の平均年齢は65歳であり、その多くが女性であった(84%)。彼らは平均3年間親戚の介護をしていた。被介護者の多くは男性で中等度から重度の痴呆を有していた(平均年齢81歳)。面接の結果、生前からの別離や家族に対するカウンセリング、患者の十分な疼痛コントロールなどの援助は、遺族の悲嘆からの回復に有意に利益を与えることが示唆された。
 

長期作用型注射用リスペリドンは患者のコンプライアンスを改善し血中濃度の変動を軽減する可能性がある[2003-12-02]

A long-acting injectable form of risperidone may improve patient compliance and decrease variability in blood levels
統合失調症治療薬として長期作用型非定型抗精神病薬が米国の臨床現場に導入されたことにより、患者のコンプライアンスが改善し血中薬剤濃度の変動が軽減する。リスペリドンのこの新たな剤型は、2週間おきに患者に注射投与される。その効果および安全性が入院ならびに外来患者400人に対する12週間のプラセボ対照試験で確立された。実薬25mgを注射投与された患者の47%が臨床的に改善したがプラセボ群のその割合は17%であったことを、研究者らは示した。臨床上の改善とは、Positive and Negative Syndrome Scaleの総得点が20%以上低下することにより定義された。副作用は実薬とプラセボで同等であった。
 


 

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