縦断研究から小児期の肥満と有意な行動異常の関連が認められた [2003-11-25]

Longitudinal study shows links between childhood obesity and significant behavior problems
ある縦断研究は小児期の肥満と有意な行動異常の明らかな関連を示した、という報告がPediatrics 11月号に掲載された。米国の研究者らは、8歳から11歳の小児755人の人口統計学、体重、行動、身体的および精神的健康、教育、そして社会経済的なデータを調査した。他の因子で補正したところ、有意な行動異常を伴う子供は他の子供と比較し体重過剰である率が約3倍高く、行動異常を有する子供は、その後数年間のうちに5倍体重過剰となりやすかった。筆者らは医師らに、体重や行動異常を精神および身体健康の評価や治療となりうる指標として注意を払うべきであると主張している。
 

高齢者のうつの治療は関節痛の疼痛を軽減しQOL全般を改善するのに役立つ [2003-11-25]

Treating depression in elderly patients helps to reduce pain due to arthritis and improves general quality of life
関節痛とうつ病を有する高齢者がうつ病の治療を受けることにより、気分、疼痛や関節痛による機能低下が軽減しQOLが改善する、という報告がJournal of the American Medical Association 11月12日号に掲載された。この研究はプライマリケアクリニックで治療中の60歳以上のうつ病1,801人を対象に行われた。計1,001人(56%)がベースライン時に関節痛の併存を訴えた。対象者は通常の治療または抗うつ薬、精神療法、あるいは両者による積極的治療を受けた。12ヵ月後、積極的な治療を受けた群の患者はうつ症状の軽減のみでなく疼痛や関節炎による日常生活の障害に関するスコアが低下し、健康全体やQOLに関するスコアの改善を示した。
 

非定型抗精神病薬オランザピンの適応は急性躁病から双極性障害再発の予防に拡大した [2003-11-18]

Use of atypical antipsychotic olanzapine is extended from acute treatment of mania to prevention of recurrent bipolar disorder
ヨーロッパにおけるオランザピンの適応は急性躁病から双極性障害再発の予防に拡大した。この認可を受けて、オランザピンは非定型抗精神病薬では初めて、安定剤としての主流の治療薬となる。この認可の基盤となった研究(1,550人を超える患者における経験を反映)はオランザピンがリチウムおよびプラセボよりも双極性障害の再発を遅延させるのに有効であることを示した。この非定型抗精神病薬で治療された患者は入院率および内服の中断率が低かった。
 

新たなマウスモデルは神経変性の過程に重要な蛋白の分子活性に対する見識が得られる [2003-11-18]

New mouse model provides insight into molecular activity of proteins that are important in neurodegenerative processes
新たなマウスモデルにより神経変性の過程において主要な働きをなす二つの蛋白に対する見識が得られる可能性がある、という報告が雑誌Neuron 10月30日号に掲載された。過去の研究から、サイクリン依存性キナーゼ5の正常な調節蛋白p35が低酸素または無酸素状態に曝露されることにより神経毒性を有するp25に変換されることが示されている。今回の新たなマウスモデルはp25を過剰産生するが、ドキシサイクリンを含むえさを食べると過剰産生しない。このマウスに成熟前にドキシサイクリンを与えると脳は正常に成長するが、その後p25の蓄積が生じ、サイクリン依存性キナーゼ5が過剰活性化、神経密度が低下し、神経損失そしてタウ病変が進行する。神経変性の分子学的基礎の知識によりこの雑多な分類の障害に対する予防または治療の新たな目的が発見できるかもしれない。
 

セロトニン輸送に関する遺伝子の変異は強迫性障害と関連がある [2003-11-11]

Mutation in gene for serotonin transporter is linked with obsessive compulsive disorder
セロトニン輸送蛋白に関する遺伝子の異常変異が強迫性障害の大きな因子である可能性がある、という報告がMolecular Psychiatry 10月23日号に掲載された。ある国際研究チームは、強迫性障害30人、摂食障害30人、季節性感情障害30人、および健常者80人の血縁関係にない計170人のDNAを解析した。その結果、2人の強迫性障害患者とその家族に同様の変異が認められたが、他の患者および健常者には認められなかった。血縁関係のない2家系にまれな変異が認められたことから、研究者らはこの変異が他の強迫性障害の家系にも存在する可能性があると考えている。神経性無食欲症に加え、この変異を有する者は、アスペルガー症候群、社会恐怖、チック障害、およびアルコールや薬物濫用などの神経精神医学的併存疾患を有していた。
 

新たなトライアルによりニコチンパッチの軽度認知障害に対する有効性および安全性が調査される [2003-11-11]

New trial will explore safety and efficacy of nicotine patches as treatment for mild cognitive impairment
米国の多施設研究により軽度認知障害の治療に対するニコチンパッチ使用の有効性および安全性が調査される。研究者らは75人の男女を3年間にわたり観察する計画である。ベースラインの時点では、本人および家族に対する面接、身体所見、およびコンピュータにより評価することとしている。最初の6ヵ月間、参加者らはニコチンまたはプラセボのどちらかに無作為に割り付けられる。次の6ヵ月間には全員がニコチンパッチを使用する。彼らは1週間後、1ヵ月後、その後は毎月評価されることになっている。
 

ニュースは医師らに、精神疾患患者の長期ケアにおいては身体上の健康と体重関連の問題を優先させるよう呼びかけている [2003-11-04]

Webcast urges physicians to make physical health and weight-related problems a priority in their long-term care of psychiatric patients
近年の米国のニュースは、精神科医らに対し重症および慢性の精神疾患患者における体重関連の健康問題のリスクを軽減するよう注意を喚起することが重要である、と強調している。このニュースは、最近FDAから非定型抗精神薬の高脂血症や糖尿病に関する情報を表記することを要求された米国の医師らにとって、時宜を得たものであった。U.S. National Alliance for the Mentally Illの医療指揮官は、患者に彼らの健康を害するような行動を避けるように教育することや、適切な栄養バランスや運動を勧めることにより患者の基本的な精神衛生状態を含めた健康状態全体に良好な影響を与えるであろう、と述べている。
 

高齢者における軽度認知障害に関する発症率およびリスクファクターの新たな情報が出現 [2003-11-04]

New information emerges on prevalence and risk factors for mild cognitive impairment among elderly people
高齢者における軽度の認知障害は年齢と共に増加し、脳血管疾患、うつ、および人種と関連がある可能性がある、という報告がArchives of Neurology 10月号に掲載された。米国の研究者らは心血管認知研究に登録された成人3,608人を評価した。患者らは脳スキャン(1991年〜1994年)および詳細な評価(1998,1999年)を受けた。筆者らの施設近辺に住む一部の亜集団927人に関してはさらに検査が行われた。全体の発症率は19%(2,470人中465人)であり、75歳以下で19%であるものが85歳以上では29%にまで上昇した。亜集団における発症率は22%(599人中130人)であり、6%が健忘型を、16%が多発性認知障害を有していた。
 


 

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