自傷行為を行う女性は行わない女性と比較し家庭内暴力を報告する確率が75倍高い [2003-09-30]

Women who harm themselves are 75 times more likely to report domestic abuse than women who do not harm themselves
故意に自己を傷つけ救急部を訪れる女性はそのような行為を行わない女性と比較し家庭内暴力があると報告する確率が75倍高いとの結果から、自傷行為を行う患者を評価する医師らは家庭内暴力を疑う必要があることが示唆されるとEmergency Medicine Journal 9月号に掲載された。英国の研究者らはある大病院の救急部を2週間のあいだに訪れた成人270人のうち、質問に回答した256人を評価した。自傷行為を行う男性はそうでない男性と比較し身体的または言葉による家庭内暴力を受けている確率が2倍高かった。筆者らは、救急の治療を要する患者の5人中1人の女性、およびほぼ同じ割合の男性が彼らの配偶者から暴力を受けたことがあると推定している。
 

抗てんかん薬vigabatrinは薬物の精神的依存を軽減させることにより、依存症によるコカイン使用を中止させることができる [2003-09-30]

The antiepileptic agent vigabatrin can stop cocaine use by addicts through elimination of psychological craving for the drug
抗てんかん薬vigabatrinはコカイン依存を軽減させることにより重症なコカイン中毒患者であってもコカイン使用を中止させることができる、という報告がSynapse誌9月22日号に掲載された。試験開始後10日間に20人中8人がコカイン使用の中止を希望しないため脱落した。残りの12人中8人(全体の40%)が試験に最後まで参加しvigabatrin を漸減中止することができた。同誌出版時にはこれら8人全てが治療終了後の4週間コカインを全く使用しない状態であった。さらに彼らはコカイン依存症状の再発はないと報告した。

統合失調症と双極性障害はミエリンの遺伝子発現低下によるものである可能性がある[2003-09-22]

Schizophrenia and bipolar disorder may arise from reduced gene expression for myelin
統合失調症と双極性障害は、中枢神経系におけるミエリン産生の責任を担う遺伝子の発現低下と同様の遺伝子学的要因を有している可能性がある、という報告がLancet 9月6日号に掲載された。英国の研究者らは2つの異なる技術を用い、統合失調症患者15人、双極性障害患者15人、およびそのいずれをも有さない者15人の脳から得られた稀突起膠細胞のミエリン関連の遺伝子発現を評価した。2つの検査法いずれもが、両方の障害に関連した遺伝子発現の有意な低下を示した。またこれら二つの障害間には高度にオーバーラップが認められた。編集解説者は、これらの2障害は臨床的に相違点が多く認められる点からこの発見を「興味深い」と評価している。
 

小児期に虐待を受けことのある成人は肝疾患のリスクが高い可能性がある [2003-09-22]

Adults with a childhood history of abuse and neglect may be at increased risk for liver disease
幼児期の虐待歴を有する成人は肝疾患のリスクが高い可能性があることを精神科医は気にとめておくべきである、という報告がArchives of Internal Medicine 9月8日号に掲載された。研究者らは、感情、身体的および性的虐待、家庭機能不全、家庭内暴力、薬物濫用、犯罪、精神疾患、そして健康関連行動などの10の経験に関する調査結果を成人17,337人から得た。これらの小児期の有害事象はいずれも肝疾患のリスクをそれらを有さない者の1.2〜1.6倍上昇させた。また6つ以上の有害事象を有していた者のリスクは2.6倍に上がった。アルコール濫用や危険な性的行動で補正するとこの関連性は38〜50%低下したことから、これらの行動が強力に肝障害と関連していることが示唆される。

同学年の子より低年齢の子供は有意に精神学的問題を引き起こすリスクが高い [2003-09-16]

Younger children within a school year are at significantly higher risk for psychiatric problems
同級生よりも低年齢の子供は感情や行動の問題を有したり精神疾患と診断されるリスクが高い、という報告がBritish Medical Journal 8月30日号に掲載された。英国の研究者らは10,000人以上の学生、その教師、および親らを調査し精神衛生スコアを作成した。生まれ月に基づく学年のわりあては調査を行った3地域で異なっていたが、全ての地域において同様の傾向が認められた。つまり、同級生よりも低年齢の子供は精神疾患のリスクが高かった。筆者らは、子供と行動を共にしたり評価をしたりする大人たちは年齢の差異に注意をする必要がある、と述べている。
 

大火事の精神衛生に対する影響の研究に登録された小児の調査から、災害に直面した小児の精神におよぼす影響に関する新たな見解がもたらされた [2003-09-16]

Involvement of children already enrolled in a mental-health study in a fire provides insight into proper care after exposure to disaster
大火事の精神衛生に対する影響の研究に登録された青年の調査から、災害に直面した小児の精神におよぼす影響に関する新たな見解がもたらされた、という報告がLancet 8月30日号に掲載された。火事に巻き込まれたオランダのある学校の生徒たちは、火事に巻き込まれなかった学校の生徒と比較し臨床的精神衛生徴候のスコアが75%高かった。うつ、不安、支離滅裂な考え、および攻撃的な態度に関するスコアは、火事に巻き込まれなかった学校の生徒の3倍であった。アルコール多飲は4倍以上起こりやすかった。火事には直接巻き込まれなかった生徒でも火事に巻き込まれた学校の生徒はアルコール多飲や精神衛生スコアが同様に高まっていた。

Sertralineは小児および青年期の大うつ病に有効である [2003-09-09]

Sertraline is effective against major depression in children and adolescents
選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるsertralineは小児および青年の大うつ病性障害患者に有効であり忍容性に優れている、という報告がJournal of the American Medical Association 8月27日号に掲載された。最近の研究で研究者らは、6〜17歳の患者376人の障害に対するsertralineまたはプラセボによる治療を比較した2つの研究から得られた結果を解析した。二群間の差は3週後から現れ、10週後には統計学的に有意な差(実薬群69%対プラセボ群59%)が認められた。編集者は、プラセボ群における反応が良好であったのは、少なくとも一部は、研究の一環として与えられた非特異的補助手段に対する患者らの感受性が発達したことを反映しているものであろう、と記している。
 

Rivastigmineはアルツハイマー病の行動症状の一部を改善し抗精神病薬の必要な時期を遅らせる可能性がある [2003-09-09]

Rivastigmine may improve some behavioral symptoms due to Alzheimer's disease and delay need for antipsychotic agents
Rivastigmineは幻覚や錯覚などアルツハイマー病の行動症状の一部を改善し抗精神病薬治療の必要な時期を遅らせる可能性がある、とInternational Psychogeriatric Association学会で発表された。Rivastigmineによる治療群、および抗コリンエステラーゼ阻害薬による治療を行わない群が比較された。初回の研究では、26週間の治療の結果、行動障害を有する患者の59%が行動症状の改善を認めた。反応のみられた患者のうち49%において全体の症状の30%以上軽減を認めた。次の研究ではrivastigmineを投与された患者は治療を受けなかった患者と比較し初回の抗精神病薬治療を要する割合が有意に低かった(平均追跡期間395日)。この結果は医師らがこの群の薬剤を使用するクライテリアを改善するのに役立つ可能性がある。

病的ギャンブラーとギャンブルをしない者とでは刺激コントロールに関連した脳の部位の機能的な違いが認められる [2003-09-02]

Functional differences in regions linked with impulse control are seen in pathological gamblers compared with non-gamblers
病的ギャンブラーの脳は、ギャンブルの画像を見たときにギャンブラーでない者の脳と比較して異なった活性を示す、という報告がArchives of General Psychiatry 8月号に掲載された。研究者らは病的ギャンブラー10人とギャンブルをしない者11人の脳の機能性核磁気共鳴画像を施行した。幸福および悲哀のビデオに対する脳の反応は二群間で差はなかったが、ギャンブルに関する内容を見たときの脳の機能には明らかな違いが認められた。最も大きな活性の違いは見始めたときに認められた。病的ギャンブラーにおいては前頭皮質および眼窩前頭皮質、尾状脳底神経節、視床などの刺激コントロールに関連する部位における活性の相対的な低下が認められた。
 

小児期における注意欠陥多動性障害を伴う重症注意力障害は将来のアルコールおよび薬物乱用 の予測因子となる [2003-09-02]

Severe attentional difficulties in children with attention deficit hyperactivity disorder predict alcohol and substance abuse during adolescence
小児期に深刻な注意力散漫であった注意欠陥多動性障害を有する成人は、アルコール関連の問題や大量または早期の喫煙および他の薬剤使用のリスクが高い、という報告がJournal of Abnormal Psychology 8月号に掲載された。研究者らは、13〜18歳の大学病院の若年者142人を登録した。彼らは10歳代、親、教師、および障害を有さない10歳代100人にコントロールとして面接を行った。酩酊、高アルコール問題スコア、および薬物乱用の可能性が高いと報告した者は、重症の早期注意力散漫性障害を有する者たちであった。小児期の注意力散漫性障害の症状は薬物乱用の家族歴と同様に強力な危険因子のようである。
 


 

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