体重に関していじめを受けている成人は自殺思考および自殺企図のハイリスクである [2003-08-26]

Adolescents teased about weight may have a higher risk for suicidal thoughts and suicide attempts
体重に関していじめを受けている成人はいじめを受けていない同輩と比較し、自殺思考および自殺企図のリスクが高い可能性がある、という報告がArchives of Pediatrics & Adolescent Medicine 8月号に掲載された。米国の成人4,746人のうち81.5%が身長や体重のデータを含むアンケートに回答した。女子および男子ともに同輩(それぞれ30%、24.7%)あるいは家族(それぞれ28.7%、16.1%)に体重についていじめられている(からかわれている)と回答した。女子の約14.6%および男子の約9.6%は同輩および家族の両方からいじめられていた。いじめ、体型に対するイメージの低下、自己評価の低下の程度と、自殺思考および自殺企図の率の間には実際の体重に関係なく有意な相関が認められた。
 

幹細胞からの新たなニューロンの形成がマウスにおける選択的セロトニン再取り込み阻害薬の活性に重要な役割を果たしている [2003-08-26]

Creation of new neurons from stem cells is critical to activity of selective serotonin reuptake inhibitors in mice
マウスに選択的セロトニン再取り込み阻害薬を投与することにより不安およびうつによる行動が改善するのは、海馬の幹細胞から新たなニューロンが形成されることによるようである、という報告がScience 8月8日号に掲載された。新たな環境において毛づくろいをしない、食欲不振などの症状を有するマウスにおいてはフルオキセチンで数週間治療することにより、ニューロンの形成が亢進しており行動が改善した。しかし、海馬に放射線照射をされフルオキセチンを投与されたマウスにおいては、ニューロンの形成が減少しており行動の改善が認められなかった。この結果から、人間においてニューロジェネシスが気分の改善に重要であるとの仮説が支持され、この種の抗うつ剤が一般に臨床上明らかな効果を発現するまでに数週間かかることが説明される。

インターネット中毒患者を同定するための医師らに対するガイドラインが発表された [2003-08-19]

Guidelines published to help physicians identify patients who are addicted to Internet use
新たなスクリーニング検査は、インターネットに熱中することが健康上有害となっている患者を医師が見分けるための補助になる、という報告がDepression and Anxiety 2003 年版に掲載された。米国の研究者らはインターネットの使用に問題があると自己申告したボランティア20人と無作為に選ばれた対照17人に、実際にインターネットを使用している頻度、使用頻度の減少ができるかどうか、および必要とされる物事の責任や関係の遂行に対するインターネット使用の影響について質問した。ネット使用に問題があると述べた者は平均して、双極性障害、うつ、またはアルコール多飲などの5つの精神病的状態を有した。筆者らは、適切な治療法を確立するために、インターネット中毒が刺激コントロール障害なのかあるいは個人的な障害かを分類すべきであるか否かを決定すべく、さらなる研究が必要であると主張している。
 

小児期の外傷による子供や両親の外傷後ストレス障害を評価するスクリーニング法 [2003-08-19]

Screening tool estimates risk for posttraumatic stress disorder among children and their parents following a child’s injury
新たなスクリーニング法は、子供の外傷による子供と親の外傷後ストレス障害のリスクを評価する、という報告が Journal of the American Medical Association 8月6日号に掲載された。研究者らは交通事故の影響を受けた171家族に対し50の質問からなるパイロット調査を初期治療時と3ヵ月後に行った。最後のスクリーニング法(親に対し4つのyes/noの質問、子供に対する4つのyes/noの質問、および医療記録からの4項目)は外傷3ヵ月後のフォローアップ時に外傷後ストレス症候群であると最もしばしば予測される反応から導き出された。スクリーニングで陽性と判断された子供のうち、その後障害を有すると診断されたのは25%であり、一方陰性と判断されたもののそれは5%であった。スクリーニングで陽性と判断された親のうちその後障害を発症した者は27%であり、陰性であった者のそれはたったの1%であった。

脳神経細胞のある蛋白の蓄積を防ぐ酵素が将来のアルツハイマー病の予防または治療のプランの基礎となる可能性がある [2003-08-12]

Enzyme that prevents protein accumulation in brain neurons may be basis for future prevention or treatment plan
Pin1と呼ばれる酵素は、アルツハイマー病を特徴づける蛋白塊の発生を予防する可能性がある、との研究結果がNature 7月31日号に掲載された。過去にこの酵素を同定した国際研究グループは、この酵素活性が蛋白塊を形成するタウ蛋白の過剰なリン酸化を抑制することを確認した。彼らはまた健常脳とアルツハイマー病の脳における遺伝子発現レベルを比較し、酵素活性の低下により病的な蛋白塊の形成が認められることを発見した。この加齢依存性の神経退化に対する新たな見解を提供する発見は将来的に、これらの破壊的な状態を予防または治療する新たな治療法へと導く可能性がある。
 

セルトラリンはアルツハイマー病およびそれに伴ううつ病患者のQOLを向上し日常生活の混乱を軽減させる [2003-08-12]

Sertraline improves quality of life and decreases disruption in daily activities for patients with Alzheimer’s disease and depression
セルトラリンはアルツハイマー病およびそれに伴う大うつ病を有する患者に対し、認知能力に対する効果は欠如するものの、QOLを向上し日常生活の混乱を軽減させる、という報告がArchives of General Psychiatry 7月号に掲載された。アルツハイマー病およびうつ病両者を有する外来患者に対し、一時的なうつ病を除外するためプラセボを1週間投与した。その結果、除外されなかった患者44人がプラセボまたはセルトラリン(平均投与量95mg/day)12週間投与群に無作為に割り付けられた。患者は治療終了後12週間追跡調査された。実薬群の84%の患者が何らかの改善を認めたのに対し、プラセボ群におけるその割合は35%であった。セルトラリンはうつ病の症状を改善したのみならず、行動障害のレベルを低下させ日常生活動作能力を改善した。しかし認知能力の変化は認められなかった。

人生における有意なストレス後のうつのリスクを倍にする遺伝子が同定された [2003-08-05]

Gene identified that can double the risk for depression after a significant life stress
セロトニントランスポーター遺伝子のある特異的な対立遺伝子によりストレス後のうつのリスクを有意に増加させる、という報告がScience 6月18日号に掲載された。研究者らがニュージーランドで1970年代前半に生まれた白人を誕生から成人期まで追跡した結果、17%においてその遺伝子の短対立遺伝子にホモ型を、31%において長対立遺伝子にホモ型を、そして51%においてその遺伝子にヘテロ型を発見した。過去5年間に4つ以上のストレスを起こす出来事を経験した者のうち、短対立遺伝子にヘテロ型を有する者の33%およびホモ型を有する者43%においてうつ病を発症した。一方長対立遺伝子にホモ型を認める者におけるその割合は17%であった。筆者らは、短対立遺伝子によるセロトニン関連シグナルの効果が脳内において低いことが、ストレス後にうつ病になりやすいことの基盤になっている、との仮説をたてている。

脳内化学物質の異常と閉塞性睡眠時無呼吸や急速眼球運動障害が関連している可能性がある [2003-08-05]

Abnormalities in brain chemistry may be associated with obstructive sleep apnea and rapid-eye-movement behavior disorder
脳内化学物質の異常と睡眠時無呼吸との関連が初めて認められた、という2つの報告がNeurology 7月8日号に掲載された。研究者らは閉塞性睡眠時無呼吸および急速眼球運動障害の患者を含む多系統萎縮症患者13人および彼らに対応する健常人27人を評価した。患者群におけるドーパミンやアセチルコリンを産生する神経密度は有意に低く、またその密度が最も低い者において症状が最も重症であった。線条体におけるドーパミン産生神経の損失により急速眼球運動障害が発症しやすく、一方脳幹におけるアセチルコリン産生神経の損失と重度の無呼吸に関連が認められた。研究者らはこれらの結果を確証すると同時に将来の研究に拡大させようと試みている。
 


 

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