出生後6〜14ヵ月間の脳の成長の加速から臨床的な自閉症スペクトラム障害の発症が予測できる可能性がある、という報告がJournal
of the American Medical Association 7月16日号に掲載された。研究者らは自閉症に伴う核磁気共鳴画像(MRI)の研究の対象となった自閉症スペクトラム障害の幼児48人の頭位、体重、および身長を評価した。経時的なデータベースから、後に自閉症を発症した幼児の59%において頭位の成長が早かったが、健常な幼児におけるその割合は6%であることが示された。編集局のライターは、この結果は今後の研究の方向を指示するものとして重要であるが、まだあまりにも予備段階の研究であり、しかもサンプルの数が少なすぎるため、リスク予測因子あるいは発症初期の徴候として臨床的意義を認めるにはまだ早いと述べている。
妊娠後期に選択的セロトニン再取り込み阻害薬を内服していた母親から生まれた小児は出生後数週の間、薬剤性神経系副作用のリスクが高い、という報告がArchives
of General Psychiatry 7月号に掲載された。フィンランドの研究者らは40人の妊婦を調査した。そのうち20人は妊娠後期にシタロプラムまたはフルオキセチンを内服し、母乳を与え、他の20人は精神活性化薬を内服していなかった。その結果、これらの2群間の子供においては出生後4日間のセロトニン誘発性症状に4倍の差があった。その症状の主なものは振戦、不穏、および固縮であった。薬剤に曝露された群では1日、4日目、2週間と経過するにつれ症状の減少が明らかであり、出生後2週には明らかな症状は認められなかった。
現在のガイドラインは、双極性うつ病に対する抗うつ剤投与を症状軽減後6ヵ月で中止することを推奨しているが、抗うつ剤投与期間を一年にした場合再発率が有意に低下する、という報告がAmerican
Journal of Psychiatry 7月号に掲載された。この研究では双極性うつ病患者84人を追跡調査し、43人においては抗うつ剤を6ヵ月以内に中止し、41人には1年間投与した。追跡期間の終了時(症状軽快後1年)、抗うつ剤を6ヵ月で中止した群においては70%の患者において再発が認められたが、1年間投与した群におけるその割合は36%であった。躁病の再発率に関しては両群間で差は認められなかった。患者は全員この研究期間中精神安定剤を内服していた。
冠動脈疾患患者でうつ症状を有する者においては、心駆出率などの臨床上の定量検査の結果とは無関係に健康全体に対する自覚症状が不良である、という報告がJournal
of the American Medical Association 7月9日号に掲載された。研究者らは成人安定狭心症患者1000人を評価した。これらのうち20%はうつ病を有していた。これらのうつ病を有する患者は有さない対象群と比較し、軽度の身体的制限(73%対40%)や軽度のQOLの低下(67%対31%)などの不良な結果を有意に多く訴えた。筆者らはこの多くの患者におけるうつ病の診断と治療に、より力を注ぐべきであると強調している。
オランザピンの崩壊錠は統合失調症の急性あるいは突発性症状を軽減し薬剤コンプライアンスに対する患者の態度を改善する可能性がある、という報告がInternational
Journal of Neuropsychopharmacology 6月号に掲載された。6週間のオープンラベル法で統合失調症または急性および突発性症状を有する統合失調感情障害患者85人に急性発症期間に崩壊錠を開始し、有意な臨床症状の改善または薬剤に対する態度およびコンプライアンスの改善が認められた時点で通常の形状に移行させた。この研究期間終了までに約60%の患者においてPositive
and Negative Syndrome Scaleの総合点数の少なくとも20%の低下が認められた。初期の改善はその後崩壊錠を継続した患者および通常の形状に移行させた患者両群において維持された。
年間何百万人もの米国の成人が大うつ病を病んでいるにもかかわらず、適切な治療を受けているのはほんの少数に過ぎない、との2年間にわたる全国的なスタディの結果がJournal
of the American Medical Association 6月18日号に掲載された。調査の結果によると、毎年米国成人の約6.6%がうつ病にかかっているが、標準に達する質の治療を受けている率は5人に1人である。治療が不適切である多くの理由は、医師による不適切な抗うつ剤の使用、患者による治療の中断、および精神神経科医あるいは総合メディカルケアシステム以外での代替療法である。筆者らはうつ病およびそれに対する適切な治療により強く重点をおくよう主張している。
自殺企図のあるうつ病の高齢者はうつ病を有さないものと比較し、治療に対する反応率が低くまた反応を示すまでに時間がかかる、という報告がArchives
of General Psychiatry 6月号に掲載された。この研究では計395人の患者を、最近の自殺未遂あるいは自殺企図(ハイリスク、46人)、再発性の自殺思考(中等度リスク、143人)、自殺思考のないもの(低リスク、206人)の3群に割り付けた。治療開始後6、および12週後の反応率はハイリスク群において他の2群よりも有意に低かった。治療に反応したハイリスクおよび中等度リスク群の患者は低リスク群の患者と比較し反応するまでの時間が有意に長かった(それぞれ平均6、5、3週間)。
精神障害の行動は神経伝達物質の代謝レベルが変化していることと関連がある、という報告がJournal
of Neurology Neurosurgery and Psychiatry 6月号に掲載された。男性の暴力犯罪者28人の脳脊髄液を検査したところ、ホモバニリン酸(ドーパミンの代謝産物)のレベルが高いことおよび5ヒドロキシインドール酢酸(セロトニンの代謝産物)レベルが低いことと、精神障害的行動には有意な関連が認められた。この2つの物質の比もまた小児期の破壊的行動歴と強力に関連があった。筆者らは、一部の小児の行動は成人期の精神障害的行動の前兆を示しているとの仮説を立てている。