血管内投与可能な長期作用型(2週間)リスペリドンは忍容性に優れ、統合失調症の症状を有意に軽減する、という報告がAmerican
Journal of Psychiatry 6月号に掲載された。この12週間のスタディにおいて、400人の患者をプラセボまたはリスペリドン(25mg、50mg、75mgのいずれか)を2週間ごとに投与する群に無作為に割り付けた。その結果、リスペリドンを投与された群においてはいずれの投与量でも陽性または陰性の症状の改善が認められた。平均45%の患者に改善が認められ、その程度は用量依存的に20%以上であった。副作用によりこのスタディから脱落した患者の割合は、いずれの群でも同様であった(25mg、50mg、75mgリスペリドン群でそれぞれ11%、12%、14%、プラセボ群で12%)。これまでになかった新たな非定型長期作用型向精神薬剤を使用することにより患者のコンプライアンスが増大し、生活の質が改善するものと思われる。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬パロキセチン徐放剤は閉経に伴う顔面紅潮症状を軽減するとJournal
of the American Medical Association 6月4日号に掲載された。このスタディにおいて対象者は1日12.5mg(51人)、25mg(58人)、またはプラセボの経口投与群に無作為に割り付けられ、ベースライン、1、3、6週間後に評価された。パロキセチンを内服した群の女性はいずれの用量であってもプラセボ群と比較し症状のスコアが有意に低下した。筆者らは、閉経に伴う顔面紅潮で苦痛を感じている女性に対して、医師らがパロキセチンあるいは他の同系統の薬剤を投与することを考慮すべきである、と主張している。
高齢者により現実的な方法で検査をするとその結果が改善することから、高齢による認知力低下と思われていたものの一部はむしろ不安によるものである可能性が示唆されるという報告がJournal
of Gerontology 1月号に掲載された。今回の研究では、高齢者に記憶力と老化に関する記事を読ませ、基礎的な記憶力テストを施行した。年齢による記憶力の低下に関する記事を読んだ者は、年齢による記憶技術が維持されることを記した記事を読んだ者よりも点数が30%低かった。さらに、解析的な問題(実際に起こりうる税金の問題)に関しては、実生活との関連が明らかである場合、若年者と同様に処理ができた。これらの結果から、高齢者において実生活上認知機能の低下を認めた場合、特に進行が速い場合には医師はその裏で身体的精神的状態が関わっていることを疑う必要があるかもしれない。
統合失調症の患者はたとえ2-3日でも内服しそこなうと重大な結果を招き入院のリスクが上昇するとCollege
of Psychiatric and Neurologic Pharmacists学会で発表された。米国の研究者らは、この研究開始前12ヵ月間に少なくとも6ヵ月以上向精神病薬を内服していた患者4,325人の処方記録を解析した。薬物の解析結果によると、患者が1日から10日間内服しそこなうことにより、入院する可能性が毎日内服している者の2倍近くになることが示された。一方この解析からよい点も見出された。治療コンプライアンスが10%改善することにより入院率が13%減少した。
併用ホルモン補充療法を受けている65歳以上の女性は同療法を受けていない女性と比較し、痴呆を発症する確率が2倍である可能性があるとのWomen’s
Health Initiativeのサブスタディの結果が、Journal of the American Medical
Association 5月28日号に掲載された。ホルモン補充療法を受けている女性の痴呆のリスクは年に10000人に対し45人であり、プラセボ群のそれは22人であった。実際のところ、平均4.05年の追跡期間に4500人のうち61人が痴呆と診断された(うち40人が併用ホルモン補充療法を受けている者であり21人がプラセボ群であった)。両群とも「アルツハイマー病の可能性が高い」と診断される例が多かった。他の認知機能に影響を与える可能性のある因子は両群間で差を認めなかった。筆者らは、この年代の女性には、認知機能を維持するために併用ホルモン補充療法を施行すべきではないと主張している。
精神疾患患者は本人の身体的な健康や病気の予防に対し他の疾患患者と同様に関心があるとBritish
Medical Journal 5月24日号に掲載された。研究者らは精神疾患と診断された患者182人および無作為に抽出したコントロール群424人を心血管疾患のスクリーニングに招いた。その結果、精神疾患患者の約40%以上(182人中75人、41.2%)およびコントロールの47.9%(313人中150人)が参加した。研究者らは、精神疾患患者は疾患を有さない集団よりも参加率が低いと想定しており、彼らの高い参加率は予想外の結果であった。筆者らは医師らに、精神疾患のリスクのある集団に対し健康全般や疾病予防に対してアプローチするようより強く主張すべきであると述べている。