いじめ行動への曝露は頻繁にけんかをしたりけんかで怪我をしたりする重大な暴力行動のマーカーである、という報告がArchives
of Pediatrics & Adolescent Medicine 4月号に掲載された。研究者らは米国の児童15,686人に対して個人的ないじめ行動や他の暴力行為の経験についての調査を行い、データを解析した。その結果、約30%がいじめを行っている、またはいじめの対象になっていると回答した。いじめ行動またはいじめの対象になっている男子および女子は暴力行為を伴う確率が高く、特にいじめられている側よりもいじめを行っている方においてそのリスクが高かった。またいじめ行動を学校以外で行っている子供の方が学校で行っている子供よりもリスクが高かった。筆者らは、どのような形であってもいじめに関する経験を持った子供は正常な成長過程から外れていると考えるべきである、と結論付けている。
胎児期のアルコールへの曝露は若年成人期のアルコール関連の問題と有意に関係がある、という報告がArchives
of General Psychiatry 4月号に掲載された。研究者らは、その母親が妊娠5ヵ月の時点で評価を受けた若年成人433人を調査した。胎児期にアルコールへの曝露を受けた者はそれがない対照群と比較し、21歳の時点で飲酒をしたりアルコール関連の問題を持ったりしている割合が高かった。この関連は他の因子で調整後も認められ、筆者らは、胎児期のアルコールへの曝露はアルコール濫用の一因である、と結論付けている。
精神病性双極性障害の家系を解析することにより双極性障害や統合失調症の遺伝子学的基盤をさらに一歩進んで理解することが可能になる、という報告がAmerican
Journal of Psychiatry 4月号に掲載された。米国の研究者らは65人の患者および彼らの広範にわたる家族のDNA検体を評価した。障害を有する者が3人以上の10家系においてはクロモソーム13および22の強力な遺伝子連鎖が認められたが、65家系全体ではこれらの連鎖は認められず、異なる結果であった。(双極性障害および統合失調症に関連する)遺伝子の「オーバーラップ」が存在するということにより、両疾患に有効な抗精神薬の効果が説明できる。
グルタメイトの活性を阻害するメマンチンは中等度から重症のアルツハイマー病患者の症状悪化を遅延させる、という報告がNew
England Journal of Medicine 4月3日号に掲載された。平均年齢76歳の地域住民患者252人を対象とした、無作為二重盲検試験の結果である。患者は着衣が十分にできず、多くの者が入浴や排泄に困難を示したが、全員、話すことと歩くことはできた。患者はメマンチンまたはプラセボ10mgを1日2回、28週間投与された。メマンチンを投与された患者においてはプラセボ群と比較し、病状悪化による認知機能および日常生活活動能力の低下が有意に軽減した。薬剤による副作用は認められなかった。
英国の医師は同様の専門職の人々と比較しメンタルヘルスにおけるハイレベルの問題を有している、という報告がBritish
Medical Journal 3月29日号に掲載された。医師の疾患に関するエビデンスを示した出版物の調査および公共政策記録によると、不安から感情疲労、さらに臨床的なうつ病、薬物乱用そして自殺に至るまでの広範な問題が指摘されている。その中でもうつ病、アルコール中毒症、不安障害が最も多く認められた。筆者らは医師らの客観的な評価および彼らをサポートし治療を行うシステムの必要性を強調している。
The
National Institute of Mental Healthは小うつ病に対する治療の多施設共同研究を開始する。この研究では、ハーブの一種であるセントジョーンズワート
(西洋オトギリソウ)および標準的な抗うつ薬であるシタロプラム(SSRI)をプラセボと比較し4年間追跡調査する。計300人の患者をこれら3群に無作為に割り付け、12週間の二重盲検を行う。改善の認められた患者はさらに14週間治療を継続されるが、改善の認められない患者は他の治療に切り替える。
不安に対する脳の科学的作用を操作することにより飲酒の衝動を軽減することができるという動物実験の結果は、人において飲酒に駆り立てるきっかけを理解しコントロールするのに役立つ可能性がある、という報告がAlcoholism
: Clinical and Experimental Research 3月号 に掲載された。研究者らはアルコール離脱状態となったラットにおいて扁桃体のある領域のCREBと呼ばれる蛋白のレベルが低下していることを見出した。アルコール摂取または実験的な操作により同領域のCREB蛋白のレベルを上昇させることにより飲酒を含む不安症に伴う行動が消失した。