抗うつ薬による治療を受けている者は有意に歯に対する副作用が多い可能性がある、という報告がJournal
of the American Dental Association 1月号に掲載された。薬剤により口内乾燥症を発症すると、重症の齲(う)歯、歯肉疾患、口臭、真菌症、およびその他の口腔組織の疾患に罹りやすい。後ろ向き研究では、歯科治療を受けた1,800人の医療記録のうち21%(381人)は抗うつ薬による治療を受けていた。抗うつ薬内服群の約58%が口内乾燥を引き起こす可能性のある薬剤を2種類以上内服していた。さらに同群の67%が起立性低血圧を引き起こす可能性のある薬剤を1種類以上内服していた。医師は口腔内の副作用を引き起こす可能性について患者と話し合い、患者は彼らの内服情報を完全に歯科医に伝える必要がある、と筆者らは強調している。
冠動脈バイパス術前にうつ症状のあった患者は術後の再入院、胸痛、生活の質の低下を報告する可能性が高い、という報告がPsychosomatic
Medicine 1-2月号に掲載された。高齢患者89人中25人がベースラインの時点でうつを有していた。術後6ヵ月のフォローアップ期間中にうつを有する患者25人中6人が再入院したが、うつを有さない患者群64人においては2人であった。術前および術後の精神症状はしばしば見逃され治療されないままとなっている、と筆者らは指摘している。この研究結果は、患者の精神医学的評価や治療を行うことによって心血管系疾患の予後不良につながる精神医学的要素を減少させる必要があることを示唆している。
感情スペクトル障害の形成は家族性に起こる、という報告がArchives
of General Psychiatry 2月号に掲載された。米国の研究チームは大うつ病患者64人の 第一度近親者(2分の1の遺伝子を共有している者)178人、およびうつ病を有さない者58人の第一度近親者152人に対して面接を行った。その結果、全体的に
、スペクトル障害を有する者の近親者がスペクトル障害そのものを有する可能性は、障害を持たない者の近親者がそれらの障害を有する確率の2.5倍であった。筆者らはこの結果は、大うつ病の発症とその他の感情スペクトル障害には共通の因子が働いているとの仮説を支持するものである、と結論付けている。
機能的核磁気共鳴画像により抗うつ薬を投与されている患者の強い感情を含めた脳の活動性の最も高解像度の画像が提供される、という報告がAmerican
Journal of Psychiatry 1月号に掲載された。研究者らは12人のうつ病患者において、ベンラファキシンによる治療をわずか2週間行っただけで前帯状部の活動性が有意に上昇したことを見出した。活動性の上昇度から治療に対する反応の度合いを予測することもできた。うつ病患者群ではコントロール群と比較し同部位の活動性は低下していたが、患者群の中でもベースラインの活動性が比較的高い者においては低い者と比較し抗うつ療法に対する反応が良好であった。
近年整形外科的外傷を経験した患者に関する初めての研究によると、それらの患者の半数以上に心的外傷後ストレス障害が発症するとAmerican
Academy of Orthopedic Surgeons学会で発表された。研究者らは外傷から約14ヵ月後の患者330人に質問票を渡した。その結果、52%が同障害の診断のクライテリアに当てはまった。これらの患者においては外傷の重症度の点数が平均よりも有意に高かった(平均8.3点、範囲は1〜36)。さらに、研究者らは時間が経過するに連れて障害のリスクは低下するよりもむしろ上昇することを示した。
コレステロール代謝における重要な蛋白の変異がアルツハイマー発症のリスクを上昇させる可能性がある、という報告がArchives
of Neurology 1月号に掲載された。研究者らは、痴呆のない老人の死体の脳組織、生存しているアルツハイマー病患者および対照25人の髄液を調べた。彼らはまた、アルツハイマー病患者201人と対照248人についてCYP46の変異とアルツハイマー病の関連を検査した。変異アリルを有する患者においては髄液のベータアミロイドとタウのレベルが上昇していた。研究者らはまた、独立した2集団においてCYP46の変異がみられるものにおいてはアルツハイマー病のリスクが2倍になることを発見した。編集者は、他にもコレステロールの代謝関連遺伝子の異常とアルツハイマーのリスクとの関係が2つ報告されていることから、脳内のコレステロール代謝をコントロールことにより遅発性アルツハイマー病が予防できる可能性がある、と述べている。