クロザピンを使用することにより、統合失調症あるいは分裂感情障害患者の再発性の自殺的行動や自殺企図のリスクを26%も減少させることが可能である、という報告がArchives
of General Psychiatry 1月号に掲載された。国際的自殺予防試験(International
Suicide Prevention Trial)の結果によると、自殺企図や自殺を予防するための入院はクロザピンで治療された患者群において、オランザピンで治療された患者と比較し有意に少なかった。クロザピン投与群においてはさらに、救助のための介入や抗不安薬のような他の薬剤追加などのエンドポイントに達するリスクも低かった。約1,000人の患者を対象とした今回の研究は、統合失調症あるいは分裂感情障害いずれの患者群においても、薬剤により自殺的行動を予防することができることを示した初めての前向き試験である。
マリファナを17歳未満で喫煙した者は後に、他の薬物使用や薬物あるいはアルコール依存症になる確率が高いとThe
Journal of the American Medical Association (JAMA) 1月22日号に掲載された。オーストラリアの研究者らはマリファナの使用と後の薬物使用に関して、片方が17歳未満にマリファナを喫煙していた同性の双子311組を調査した。マリファナ喫煙をしていたものは後に他の薬物使用や依存に陥る確率が、喫煙をしていなかったものと比較し2.1〜5.2倍高かった。一卵性及び二卵性に関わらず、10歳代のマリファナ喫煙と後の薬物使用はさまざまな因子を調整しても関連が認められた。若年のマリファナ使用と後の薬物使用に関連があるというこの仮説の真実性は、薬物使用の予防や薬物使用に対する治療プログラムに少なからぬ影響を与えるであろう。
米国の小児および10代の青少年における向精神薬の使用は1987年から1996年の間に2〜3倍に増加した、という報告がArchives
of Pediatric and Adolescent Medicine1月号に掲載された。研究者らは地域社会でケアを受けている20歳未満の患者900,000人近くのデータを解析し、向精神薬の使用割合を解析した。ほぼ全種類の薬剤の名が挙げられたが、特にアルファアドレナリンアゴニスト、神経弛緩薬、および精神安定作用を有する抗てんかん薬の使用が1991年以降急激に増加していた。最も一般的に処方されているのは依然として刺激薬であり、次いで抗うつ薬であった。
体重をコントロールするためにダイエットピルの使用や嘔吐などの極端な方法をとる10代青少年は喫煙、飲酒、マリファナ喫煙、自殺企図との関連が強い、という報告がAmerican
Journal of Health Behavior 1・2月号に掲載された。米国10代青少年4,000人以上のデータ解析によると、体重をコントロールするために食事量を減らしている者、運動をより多く行っている者、およびその両方を行っている者は薬物乱用や自殺企図の可能性が低い。筆者らは、体重コントロールという行動は、この年代の患者を医師がリスク評価する際にさらに考慮すべき因子のひとつとなりうると述べている。
冬は新年の祝賀や宗教文化上の祝日が続く時期であるが、北半球においては日照の減少や気温の低下に伴うストレスにより不安やうつを引き起こす時期でもある。National
Mental Health Associationによると季節性感情障害を有する者にとって最も辛い時期は1月と2月である。若年者や女性でこの障害のリスクが高い。専門家らは、冬の間は精神科医らが患者を診る際に、薬物療法で効果の得られる感情障害の可能性を十分に考慮するようよびかけている。
コカインによるドパミン作動性快楽中枢の神経の損傷が直接証明されたことにより常用癖の新たな見解をもたらし、さらにうつのような同様の神経が関与して起こる障害にもおそらく新たな見解をもたらすであろう、という報告がAmerican
Journal of Psychiatry 1月号に掲載された。コカイン中毒者35人および健常人35人の死亡検体から得た線条体を解析した結果、ドパミンレベル、VMAT2と呼ばれるポンプのドパミン再吸収レベル、およびVMAT2の結合性は慢性のコカイン使用者では健常人と比較し有意に低下していた。さらにこの分子レベルの低下が神経の傷害を示しているのかそれとも実際に神経が死滅してしまっているのかを解明することにより、臨床における常用癖の治療の新たなターゲットを見出すことが可能になるであろう。