現時点での喫煙は大腸がんの家族歴が大腸がんの発症に及ぼす影響と同程度に強力な大腸ポリープのリスクファクターである、と第67回American
College of Gastroenterology学術集会において発表された。スクリーニングで大腸鏡を施行された受診者連続1,566人の記録を解析したところ、現時点で喫煙している者における大腸ポリープの発症率は過去に喫煙していた者および非喫煙者と比較し高かった(現時点での喫煙者364人における発症率25%、過去に喫煙していた者および非喫煙者848人における発症率19%)。2つ以上のポリープ、1cm
以上のポリープ、あるいは悪性である可能性の高いポリープが喫煙者においてはるかに多く認められたことから、筆者らは、これらのハイリスクの患者群においては通常の50歳よりも早い時点でスクリーニングを開始するべきであると主張している。
前立腺がんに対する放射線療法の効果は治療終了後わずか3ヵ月の時点で予測可能である、と第45回American
Society for Therapeutic Radiology and Oncology学会で発表された。研究者らは、限局性の前立腺がんに対し治療を受けた患者855人の血液検体を解析した。6年以上の追跡調査の結果、治療終了後3ヵ月の時点での前立腺特異抗体レベルは顕著に無再発生存を予測した(抗体レベルが3.0ng/mLの場合の無再発生存率は87.8%であったが、一方3.0ng/mLより高い場合のそれは57.2%であった)。筆者らは、早期の評価は放射線照射後のホルモン療法の適応患者を見極めるのに役立つ、と述べている。
抗血管新生作用に細胞生存経路のブロックを加えた薬剤はHer2/neu腫瘍遺伝子を発現させた
マウスの乳がんに対し有効である、という報告がProceedings of the National Academy
of Science 10月3日号に掲載された。研究者らは、血管新生能を欠失させたものとHer2/neu腫瘍遺伝子を活性化させたもの、2種のマウスを作成した。この2種のマウスを掛け合わせたところ、その子孫には乳がんが発症した。しかし、Hsp90と呼ばれる蛋白の生存をブロックする試験薬により腫瘍は完全に抑制された。研究者らは、抗血管新生薬とHsp90阻害薬を加えた薬剤の治験で良好な結果がもたらされるであろうと期待している。
小児期がんの既往のある成人は健康全般および精神衛生上の不良のリスクが高い、という報告がJournal
of the American Medical Association 9月24日号に掲載された。研究者らはある小児期がんの研究の対象となった成人9,535人および無作為に選ばれたそれらの同胞2,916人に、健康全般、精神衛生、身体機能の状態、および活動制限の4つの項目に関して質問を行った。小児期がんの既往者に対してはさらにがんに関連した痛みや不安についても質問した。既往者は機能不全を訴える率が5倍以上、健康全般の不調や活動制限は2倍多く、また約80%が精神的に不健康であると答えた。筆者らは、これらの集団におけるスクリーニングや補助をするプログラムが必要であると強調している。
頭頚部がんに対し放射線療法を施行された患者における放射線誘発性の悪性腫瘍はまれではあるが、生命を脅かす危険性がある、とAmerican
Academy of Otolaryngology-Head and Neck Surgery Foundation
学会で発表された。登録データを検閲した結果、放射線誘発性悪性腫瘍の診断基準:つまり、放射線照射部位に新たに発生した腫瘍、原発腫瘍との組織学的相違、放射線照射時に新たな腫瘍を認めなかった、および治療と後発の腫瘍発症までの潜伏期間がある、に当てはまる患者が13人(全体の1%)発見された。最も多い放射線誘発性腫瘍は肉腫(62%)であり、好発部位は副鼻腔であった。潜伏期間は9ヵ月から49年間(平均17年)であった。筆者らは、これらの患者に対しては生涯にわたるスクリーニング検査が必要であると主張している。