現時点での喫煙は大腸がんの家族歴が大腸がんの発症に及ぼす影響と同程度に強力な大腸ポリープのリスクファクターである [2003-10-28]
Current smoking is as strong a risk factor for colorectal polyps as a family history of colon cancer
現時点での喫煙は大腸がんの家族歴が大腸がんの発症に及ぼす影響と同程度に強力な大腸ポリープのリスクファクターである、と第67回American College of Gastroenterology学術集会において発表された。スクリーニングで大腸鏡を施行された受診者連続1,566人の記録を解析したところ、現時点で喫煙している者における大腸ポリープの発症率は過去に喫煙していた者および非喫煙者と比較し高かった(現時点での喫煙者364人における発症率25%、過去に喫煙していた者および非喫煙者848人における発症率19%)。2つ以上のポリープ、1cm 以上のポリープ、あるいは悪性である可能性の高いポリープが喫煙者においてはるかに多く認められたことから、筆者らは、これらのハイリスクの患者群においては通常の50歳よりも早い時点でスクリーニングを開始するべきであると主張している。
 

初期肺がんにおける腫瘍抑制遺伝子Rb2/p130 の活性の分子学的メカニズム [2003-10-28]

Molecular mechanisms underlying activity of tumor suppressor gene Rb2/p130 in early lung cancer are identified
腫瘍抑制遺伝子Rb2/p130が有する非小細胞肺がんの進行抑制能の基礎となっている分子活性が始めて同定された、という報告がOncogene10月9日号に掲載された。今回の研究は、非小細胞がんを有するマウスにRb2遺伝子を過剰発現させたところ、がんを完全に退縮させたとの研究に引き続き施行されたものである。今回の新たな実験で、研究者らはDNAマイクロアッセイ法を用い、正常のRb2対立遺伝子導入後の肺がん細胞に過剰発現または稀少発現した遺伝子を同定した。活性化腫瘍抑制遺伝子の存在により発現が変化した遺伝子の解析によって、非小細胞肺がんに対する将来の遺伝子治療の基盤が築かれる可能性がある。
前立腺がんに対する放射線療法が成功であるか不成功であるかは、治療終了後わずか3ヵ月の時点で予測可能である [2003-10-21]
Success or failure of radiation therapy for prostate cancer can be predicted as early as 3 months after therapy is completed
前立腺がんに対する放射線療法の効果は治療終了後わずか3ヵ月の時点で予測可能である、と第45回American Society for Therapeutic Radiology and Oncology学会で発表された。研究者らは、限局性の前立腺がんに対し治療を受けた患者855人の血液検体を解析した。6年以上の追跡調査の結果、治療終了後3ヵ月の時点での前立腺特異抗体レベルは顕著に無再発生存を予測した(抗体レベルが3.0ng/mLの場合の無再発生存率は87.8%であったが、一方3.0ng/mLより高い場合のそれは57.2%であった)。筆者らは、早期の評価は放射線照射後のホルモン療法の適応患者を見極めるのに役立つ、と述べている。
 

進行メラノーマ患者のメラノーマ細胞に対する活性化遺伝子を挿入する新たなワクチンは有望である [2003-10-21]

New vaccine that inserts a vital gene into a patient’s melanoma cells shows promise against advanced stage disease
進行メラノーマの患者に対し活性遺伝子をがん細胞に挿入する新たなワクチンは有望である、という報告がJournal of Clinical Oncology 9月号に掲載された。研究者らは臨床治験phase Iの患者34人に対し、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子の遺伝子を運ぶ腫瘍細胞のワクチンを行った。ワクチン施行後に腫瘍の生検を施行された患者の多くにおいては、全てのメラノーマ細胞に対して免疫反応が起こっている可能性が示唆された。この治験が開始されてから3年以上が経過しているが、10人が生存しており、そのうち4人は無症状である。
ドセタキセルは転移性乳がん患者の生存率改善および腫瘍サイズの減少の点でパクリタキセルよりも優れている [2003-10-14]
Docetaxel is superior to paclitaxel in reducing tumor size and improving survival in women with metastatic breast cancer
ドセタキセルは転移性乳がん患者の生存率改善および腫瘍サイズの減少の点でパクリタキセルよりも優れている、とEuropean Conference of Clinical Oncology学会で発表された。Phase III試験において転移性乳がんまたは局所性進行乳がんを有する患者449人の半分がドセタキセル群、残りの半分がパクリタキセル群に無作為に割り付けられた。その結果、パクリタキセル群と比較しドセタキセル群の患者の腫瘍サイズは小さく長期生存する傾向にあった(平均15.4月対12.7月)。しかし、ドセタキセル群においては白血球減少症等の副作用が多くみられた。ドセタキセル群では白血球減少に伴った発熱が14%に見られたが、一方パクリタキセル群におけるその割合は2%であった。乳がん初期患者に対するこれらの薬剤の効果を比較するスタディが現在進行中である。
 

血管新生と細胞増殖因子両方に対する反応の抑制はマウスにおける進行の早い乳がんに有効である [2003-10-14]

Dual inhibition of angiogenesis and growth factor response shows promise against aggressive breast cancer in mice
抗血管新生作用に細胞生存経路のブロックを加えた薬剤はHer2/neu腫瘍遺伝子を発現させた マウスの乳がんに対し有効である、という報告がProceedings of the National Academy of Science 10月3日号に掲載された。研究者らは、血管新生能を欠失させたものとHer2/neu腫瘍遺伝子を活性化させたもの、2種のマウスを作成した。この2種のマウスを掛け合わせたところ、その子孫には乳がんが発症した。しかし、Hsp90と呼ばれる蛋白の生存をブロックする試験薬により腫瘍は完全に抑制された。研究者らは、抗血管新生薬とHsp90阻害薬を加えた薬剤の治験で良好な結果がもたらされるであろうと期待している。 
小児期がんの既往のある成人は健康全般における不良と機能不全のリスクが高い [2003-10-07]
Adults who survived childhood cancer are at increased risk for poor general health and functional impairment
小児期がんの既往のある成人は健康全般および精神衛生上の不良のリスクが高い、という報告がJournal of the American Medical Association 9月24日号に掲載された。研究者らはある小児期がんの研究の対象となった成人9,535人および無作為に選ばれたそれらの同胞2,916人に、健康全般、精神衛生、身体機能の状態、および活動制限の4つの項目に関して質問を行った。小児期がんの既往者に対してはさらにがんに関連した痛みや不安についても質問した。既往者は機能不全を訴える率が5倍以上、健康全般の不調や活動制限は2倍多く、また約80%が精神的に不健康であると答えた。筆者らは、これらの集団におけるスクリーニングや補助をするプログラムが必要であると強調している。
 

頭頚部がんに対し放射線療法を施行された患者における放射線誘発性の悪性腫瘍はまれではあるが、生命を脅かす危険性がある [2003-10-07]

Radiation-induced malignancies are rare but potentially life threatening in patients who received radiotherapy for a head and neck cancer
頭頚部がんに対し放射線療法を施行された患者における放射線誘発性の悪性腫瘍はまれではあるが、生命を脅かす危険性がある、とAmerican Academy of Otolaryngology-Head and Neck Surgery Foundation 学会で発表された。登録データを検閲した結果、放射線誘発性悪性腫瘍の診断基準:つまり、放射線照射部位に新たに発生した腫瘍、原発腫瘍との組織学的相違、放射線照射時に新たな腫瘍を認めなかった、および治療と後発の腫瘍発症までの潜伏期間がある、に当てはまる患者が13人(全体の1%)発見された。最も多い放射線誘発性腫瘍は肉腫(62%)であり、好発部位は副鼻腔であった。潜伏期間は9ヵ月から49年間(平均17年)であった。筆者らは、これらの患者に対しては生涯にわたるスクリーニング検査が必要であると主張している。


 

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 -  著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ
Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.