がんおよびがん治療の両方が静脈血栓塞栓症のリスクを増加させる [2003-09-30]
The presence of cancer and treatment for cancer both increase risk for venous thromboembolism
がんを有する患者は静脈血栓塞栓症のリスクが高く、治療中にはさらにそのリスクが高まるにもかかわらず、がん治療に当たる医師のうちそのリスクを最低限にするための予防手段を講じている者は少ない、との調査結果がBritish Medical Journal 9月13日号に掲載された。英国の医師106人を調査した結果によると、その27%は、疾患の種類に関わらずがん患者は血栓塞栓症のリスクが高くないと述べた。75%以上の医師が化学療法は有意なリスクファクターではないと考えており、90%以上が放射線療法に関しても同様に考えていた。しかし実際、化学療法、ホルモン療法、そして放射線療法はいずれも有意に血栓塞栓症のリスクを上昇させる。少なくとも75%の医師が、これらの治療を行う際に日常的に血栓予防手段を講じているわけではない、と回答した。筆者らは、がんおよびその治療に伴うこの避けうる合併症をなくすため、医師らがこの事実に気付くよう取り組むべきであると述べている。
 

培養ヒトがん細胞に対する酵素阻害薬の効果から、将来的にはがん再発の遅延あるいは予防が可能となることが示唆された [2003-09-30]

Effect of enzyme inhibitor on cultured human tumor cells suggests a possible future treatment to delay or prevent recurrent disease
ある酵素阻害薬は培養腫瘍細胞の腫瘍形成を遅延させ、この働きはがん再発の遅延または予防に導く可能性がある、という報告がCancer Research 9月号に掲載された。研究者らは、悪性細胞に認められる、染色体テロメアの加齢変化を阻害する酵素であるテロメラーゼを阻害する新たな化合物を研究した。この阻害薬を投与されたマウスの前立腺がん細胞はほとんど腫瘍を形成せず前立腺特異抗原もあまり上昇させなかったが、類似のしかし非機能性の化合物を投与されたマウスにおいては大きな腫瘍を形成し抗原レベルも上昇させた。この阻害薬をプラチナと併用することによりさらなる抗増殖効果が認められた。類似の化合物が現在、動物実験の最終段階である。
進行直腸がんにおける化学療法併用と術前放射線照射療法は括約筋温存を改善する [2003-09-22]
Concurrent chemotherapy and preoperative radiation improve sphincter preservation in cases of advanced rectal cancer
進行直腸がんにおける化学療法併用と術前放射線照射療法は括約筋温存を改善する、という報告がInternational Journal of Radiation Oncology Biology Physics9月号に掲載された。米国の研究者が、同様のガイドラインを有する2つの大学がんセンターで治療された患者403人の医療記録を検討したところ、215人の患者が術前照射に加え化学療法の併用を受けていた。解析の結果、化学療法により放射線照射に対する腫瘍の反応が増強することが示された。一つのがんセンターで方針が変わり化学療法の併用が義務となったことにより、腫瘍の放射線感受性は方針が変更される前(化学療法を併用された患者は一部であった)と比較し、上昇した。
 

米国の新たなスタディにより、患者にとって重要な生活の質に関連した様々な事柄における前立腺がん治療の効果が評価される [2003-09-22]

New U.S. study will evaluate effects of treatment for prostate cancer on various quality-of-life issues important to affected men
National Cancer Instituteの支援による米国の新たなスタディにより、前立腺がん患者が有する性的不能、一過性尿失禁、および肛門に関する問題などの生活の質に対する治療効果が評価される。この多施設試験は対象患者に対し、ベースラインの時点で様々な点から機能や生活の質を評価し、その後、彼らと彼らのパートナーを治療中および治療後にモニターする。この研究に携わる医師らは、この結果から、確立された治療が引き起こしうる一過性および永続性の合併症を有する患者に事実に基づいた情報を提供し、また検証不十分な新たな治療法を論議するよりよい状況を供給したいと願っている。
Bisphosphonatesはがん骨転移による合併症のリスクを軽減する [2003-09-16]
Bisphosphonate agents reduce the risk for complications due to skeletal metastatic cancer
Bisphosphonatesはがん骨転移による合併症の発症率を有意に軽減する、との論文がBritish Medical Journalに掲載された。6ヵ月以上継続した30の臨床研究を再検討した結果、bisphosphonates療法を受けた患者の椎骨以外の骨折、椎骨骨折、高カルシウム血症、および放射線療法のリスクはプラセボ群と比較しそれぞれ65%、69%、54%、そして67%であった。この治療によって脊髄圧迫率は変化せず生存期間は延長しなかった。データのサブ解析の結果、筆者らは、骨転移と診断された場合aminobisphosphonateの静脈内投与を開始し、臨床的に治療の適応でなくなるまで継続することを勧めている。
 

長期のヘビースモーカーの男性は一度も喫煙をしたことのない男性と比較し進行前立腺がんのリスクが倍である [2003-09-16]

Long-term heavy smokers have double the risk for aggressive prostate cancer than men who never smoked
長期のヘビースモーカーの男性は一度も喫煙をしたことのない男性と比較し進行前立腺がんのリスクが倍である、という報告がCancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention 7月号に掲載された。米国の研究者らは、40〜64歳の男性1,450人(そのうち半数は前立腺がんの既往があり、残りの半数は既往がなかった)のベースラインの情報を得た。研究の結果、40パックを1年以上(1日1パックを40年間以上、または1日2パックを20年以上)の喫煙歴のある者は、非喫煙者と比較し進行前立腺がんのリスクが100%上昇し、前立腺がん全体のリスクは60%上昇した。筆者らは、喫煙が前立腺がんのリスクファクターであり禁煙は疾患のリスクを軽減する手段であることを、医師らが考慮するよう主張している。
術前化学療法は局所進行膀胱がんの生存率を改善する可能性がある [2003-09-09]
Preoperative chemotherapy can improve survival for patients with locally advanced bladder cancer
術前化学療法は手術療法のみと比較し局所進行膀胱がんの生存率を改善する可能性がある、という報告がNew England Journal of Medicine 8月28日号に掲載された。11年間に及ぶ研究による患者計307人において、術前化学療法を施行された患者は手術のみを施行された患者と比較し、生存期間が31ヵ月長かった。さらに、手術のみを施行された患者は併用療法を施行された患者と比較し、がん関連死亡率が66%高かった。予後の最も良好であったのは手術時に膀胱にがんの残存を認めなかった患者であったが、併用群の患者におけるその割合は38%であり一方術前化学療法を受けなかった患者におけるその割合は15%であった。
 

スパイラルCT及び陽電子放射線断層法の組み合わせにより肺がんの早期発見が可能となる [2003-09-09]

Early detection of lung cancer may be possible with combination of spiral computed tomography and positron emission tomography
スパイラルCT及び陽電子放射線断層法の組み合わせにより肺がんの早期発見が可能となる、という予備研究の結果がLancet 8月23日号に掲載された。ヨーロッパの研究者らはヘビースモーカー1000人に年一回のスパイラルCTを用いたスクリーニングを行い、一部の対象者には陽電子放射線断層法を合わせて施行した。2年目の評価までに22例の肺がん症例が診断された(ベースライン時11人、2年後11人)。筆者らはこの技術の組み合わせにより初期段階の肺がんがより確かに発見できる、と結論付けている。このようなスクリーニングの実用性や、そのような早期発見が実際に生存率を改善するか否かを評価するような、さらなる研究が必要であろう。
エンドスタチンは頭頚部扁平上皮細胞がんの細胞移動および浸潤を阻害する [2003-09-02]
Endostatin inhibits migration and invasion of cells from head and neck squamous cell carcinomas
エンドスタチンは頭頚部扁平上皮細胞がんの細胞移動および浸潤を阻害することから、この薬剤は血管新生抑制以上にこれらのがんに対し有効である可能性がある、という報告がAnticancer Research 3-4月号に掲載された。エンドスタチンに曝露されることにより浸潤能力のあるがん細胞数は半分に減少した。移動可能ながん細胞数は4分の1減少し、また、検査の結果エンドスタチンはいくつかの移動促進分子の遺伝子発現を抑制することが示された。他のアッセイの結果、細胞移動および浸潤両者を抑制するのはおそらくマイクロフィラメントの機能を破壊することによることが示された。筆者らは、術後の局所投与療法により局所再発のリスクを軽減することが可能となるよう研究を続けることを希望している。
 

進行低分化非ホジキンリンパ腫の患者に対する化学療法は症状出現後のみに施行することにより利益が得られる可能性がある [2003-09-02]

Beginning chemotherapy only after symptoms develop may benefit patients with advanced low-grade non-Hodgkin lymphoma
無症候性の進行低分化非ホジキンリンパ腫と診断された患者に対しては、症状出現後に化学療法を開始するほうが利益が得られると考えられる、という報告がLancet 7月16日号に掲載された。英国のトライアルにおいて309人の患者は、即座にクロラムブシル療法を施行される群と「待機し観察」する方針で臨床的に発症してから化学療法を施行される群に無作為に割り付けられた。平均追跡期間16年のうち二群間で全体の生存率あるいは疾患自体の生存率に差はなかった。しかし、「待機し観察」された患者群の約20%は10年以上化学療法を必要とせず、また診断時70歳をこえた患者におけるその割合は倍の40%であった。筆者らは、特に高齢患者に関しては「待機し観察」する方針がよいと結論付けている。


 

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