Pemetrexedで治療された非小細胞肺がん患者の生存率はdocetaxelで治療された患者のそれと同様であるが副作用は有意に少ない、と第10回World
Congress on Lung Cancerで発表された。Phase III国際臨床治験においてpemetrexed群患者の平均生存率は8.3ヵ月、docetaxel群患者のそれは7.9ヵ月であった。重症の好中球減少症(pemetrexed群で5%、docetaxel群で40%)、好中球減少による発熱および入院、そして薬剤性重症副作用の発症は二群間で統計学的に有意差が認められた。
Ki-67と呼ばれる抗原の細胞内レベルが高いことから小児期ピロサイティックアストロサイトーマの再発が予測可能である、という報告がJournal
of Clinical Oncology 8月号に掲載された。研究者らは患者118人の検体を免疫反応性抗体で染色し、抗原陽性細胞の割合を評価した。その結果、少なくとも2%の染色陽性細胞を有する患者は腫瘍の再発や再成長をきたす確率が高かった。研究者らは再発をできるだけ早く発見するよう現在抗原レベルをモニターしている。そしてこの小児脳腫瘍の約40%を占める疾患の原因となっている遺伝子についての理解を進める研究を引き続き行っている。
前立腺特異抗体を含む酵素ファミリーの一種である今回新たに発見された蛋白は、卵巣がんのバイオマーカーとなる可能性があるとAmerican
Association of Clinical Chemistry学会で発表された。進行卵巣がん患者の血清の研究をしているカナダの研究者らは、6つのカリクレインファミリーの上昇と腫瘍のグレード上昇および病期の進行とに関連があることを発見した。彼らはまた初期段階の卵巣がん患者に対する進行中の研究により、がんが拡散する以前に診断可能な感受性の高いスクリーニング試験を開発できるような血液レベルのパターンを発見したいと考えている。
前立腺特異抗原レベルをコントロールする遺伝子のある対立遺伝子により抗体のベースラインレベルがそれを有さない者より約30%高く設定されている、という報告がJournal
of the National Cancer Institute 7月16日号に掲載された。研究者らは、前立腺がんを有さない白人米国人男性405人(平均年齢63.7歳)を評価した。DNA解析により、一つの対立遺伝子として受け継がれると思われる遺伝子内の3つのsequence
variationが発見された。ジェノタイプをフェノタイプと比較したところ、その対立遺伝子を有する者の抗体レベルが2.0
ng/mLであったのに対し有さない者においては1.5ng/mLであった。筆者らは他の人種における研究を勧めるとともに、前立腺がんのスクリーニングを進める際にどの程度ジェノタイプに重きを置くかを考慮するよう主張している。
イブプロフェンを10年以上定期的に内服することにより女性が乳がんを発症するリスクを半分に軽減することができる可能性がある、とAmerican
Association of Cancer Research 学会で発表された。研究者らは59〜70歳の閉経後女性約81,000人に関するWomen’s
Health Initiativeのデータを解析した。4年間の追跡期間中に1,392人(1.7%)の患者に乳がんが発症した。イブプロフェンやアスピリンを定期的に(少なくとも週2回)内服している女性を、めったにまたは全く内服しない女性と比較したところ、イブプロフェンは乳がんのリスクを半減しアスピリンもそれよりは少ないが22%軽減することを発見した。他の非ステロイド系抗炎症薬がいくつかの他の種類のがんのリスクを軽減するとのデータを組み合わせると、これらの結果から慢性的なシクロオキシゲナーゼ2酵素活性の発がん性における重要性に焦点が当てられる。