メラノーマの30から60%は腫瘍抑制遺伝子PTEN機能不全に原因がある可能性があり、この結果から新たな治療標的が得られる可能性がある、という報告がCancer
Research 6月1日号に掲載された。研究者らは正常なクロモソーム10(正常機能を有するPTENの対立遺伝子を含む)をメラノーマ細胞内に転写したところ、アポトーシスが引き起こされた。この技術は培養細胞でも腫瘍を移植されたマウスにおいても成功した。筆者らは、この新たな治療方法はまだ患者に対する使用は非常に限られており、依然として予防や早期発見がとても重要であると強調している。
主にハイドロキシアパタイトからなる新たなセラミック素材と、症例ごとに埋め込み器具を作成することのできるコンピューターソフトウエアを組み合わせることにより、がんや手術で骨を失った患者のケアの大きな解決策となる。下顎骨を失った患者にこの素材を埋め込んだ、初めて人間を対象に行った置換術は現在のところ成功している。この素材を開発し試験を行ったグループは、骨置換の必要な患者の新たな骨の成長に対してこのセラミック素材を埋め込むことにより、疼痛や回復期間、そして感染のリスクを軽減すると信じている。彼らは、Sandia
National Laboratoriesで開発されたこの新たな素材により、がんや手術で骨を失った患者の施術法がより簡単に安全になり予後を改善するものと期待している。
ベバシズマブ(Bevacizumab)を標準的な化学療法と組み合わせることにより転移性大腸がんの生存率を改善するとAmerican
Society of Clinical Oncology 学会で報告された。患者815人を対象に行った今回の研究は、抗新生血管クラスの薬剤により利益がもたらされることを示した初めての大きな臨床試験である。この無作為試験でイリノテカン、5フルオウラシル、およびロイコボリンによる化学療法にベバシズマブを加えた群に割り付けられた患者群の平均生存率は20.3ヵ月であり、一方前述の化学療法にプラセボを加えた群のそれは15.6ヵ月であった。さらにベバシスマブを加えた化学療法により病変の進行はプラセボの6.2%に対し10.6%にまで遅延し、partial
responseは35%に対し45%にまで改善した。
マウスのデータによるとセレコキシブを5-FUに併用することにより、5FU単独よりも非メラノーマ皮膚がんに対する有効性が35%増大するとSociety
for Investigative Dermatology学会で発表された。研究者らはマウスをそれぞれの薬剤単独、プラセボクリーム、2剤同時投与、および2剤を別々に投与する群の5群に無作為割り付けした。腫瘍数と大きさは併用2群において減少したが、その効果は同時投与群においてより著明に認められた。しかし、皮膚の副作用は同時投与群において重度であった。研究者らは最大限の治療効果を得られるよう、さらに研究を続ける予定である。
前立腺特異抗体レベルは一般的に変動し、中等度に上昇している男性においては正常値上限前後を行き来している可能性があるため、生検を行う前に抗体検査を繰り返し行うべきである、という報告がJournal
of the American Medical Association 5月28日号に掲載された。大腸がん予防調査の一環として毎年採血を受けていた健常男性972人(平均年齢
62歳)の医療記録が調査された。研究者らは4年間の追跡期間の間に5回採血を施行された者の検体を解析した。その結果、21%の男性においてある時点で前立腺特異抗体の上昇が認められたが、そのうちほぼ半数はその後の検査で正常範囲内に戻っており、その大多数においてはその後の検査では正常範囲内に納まっていた。筆者らは、スクリーニングで中等度上昇が認められた場合には、その後6週間以降に再検査を行い確認するよう呼びかけている。