ひとつの変異がおそらく乳頭状甲状腺がんの有力な原因である [2003-04-30]
A single mutation probably causes the majority of cases of papillary thyroid cancers
乳頭状甲状腺がんの3分の2はひとつの変異によって引き起こされている、という報告がJournal of the National Cancer Institute 4月16日号に掲載された。研究者らは乳頭状甲状腺がん腫瘍の68%(35中24)、甲状腺がん細胞株の9個中6個においてBRAF遺伝子の単塩基変異を発見した。その変異は20個の良性の状態および他のタイプの甲状腺がんの甲状腺生検検体には認められなかった。手術や放射性イオン療法で効果の認められなかった乳頭状甲状腺がんに対する臨床治験が現在計画中である。
 

機関同士の協力により黒色腫に対するワクチンの犬に対する初回の治験が成功した [2003-04-30]

Collaborative efforts allow investigational vaccine for melanoma to have its first clinical trial in dogs with the disease
治験中の黒色腫に対するワクチンが進行性黒色腫を有した犬において有効であった、という報告がClinical Cancer Research 4月号に掲載された。ワクチンはMemorial Sloane-Kettering Cancer Centerで開発され、臨床治験は近郊にあるAnimal Medical Centerにて行われた。ヒトチロシナーゼワクチンを週2回4週間接種された9匹の犬のうち、2匹は治療終了後疾患を認めず、4匹は400日以上生存した。治療群の平均生存期間は、予測生存期間の90日から平均389日まで延長し3倍以上であった。再発リスクの高い人間の患者に対する臨床試験が計画されている。
レプチンは乳がんのリスクマーカーとなりうる [2003-04-22]
Leptin may be a risk marker for breast cancer
レプチンは乳がんのリスクを調べる有用なマーカーとなりうる、という報告がAmerican Association for Cancer ResearchによるProceedings for the 2003 Annual Meetingの学会誌に掲載された。研究者らは、レプチンレベルは過去の脂肪摂取量や”bioavailable”な(体内で確かに活動している)エストロゲンを反映する可能性があり、従って従来マーカーとして使用される体重、body mass index、あるいは脂肪摂取量よりも良い、生涯のリスク指標となるとの仮説をたてた。38人の閉経後の女性に高線維質、低脂肪食を摂取させたところレプチンのレベルは低下し、体重も軽度低下した。一方、高線維質食、従来どおりの脂肪摂取をした女性ではレプチンレベルは変化しなかった。特に食事内容や体重が変化しやすい女性においてレプチンを継続的に計測することは乳がんのリスクを推測するのに役立つ可能性がある。
 

新たなスクリーニング法によりがん細胞のみを死滅させる合成化合物を同定できる [2003-04-22]

New screening technique can identify compounds that kill cancer cells but not healthy counterparts
新たなスクリーニング法により、ある種の発がん性対立遺伝子およびその蛋白が存在する時のみ活性がある合成化合物を迅速に見極めることができる、という報告がCancer Cell 3月24日号に掲載された。米国の研究者らは、ras、htert oncogene、および二種類の既知のオンコプロテインなどの一般的な発がん性対立遺伝子を含むように遺伝子操作したがん細胞を23,000種以上の合成化合物に曝露させた。結局、研究者らは標的とする変異や蛋白の存在下でのみ活性を示す9種類の合成化合物を同定した。彼らがエラスチンと呼んでいるそのような化合物の一種はアポトーシスを引き起こす以外のメカニズムで働いているらしく、彼らは現在そのメカニズムの研究を盛んに行っている。
好酸球増多症に関する研究によりチロシンキナーゼの発がんに対する役割の新たな見解がもたらされる [2003-04-15]
Research with hypereosinophilic syndrome provides insight into role of tyrosine kinases in carcinogenesis
イマチニブは特発性好酸球増多症に対して有効であるが、これにより研究者らはその遺伝子学的原理を見極めることができた、という報告がNew England Journal of Medicine 3月27日号に掲載された。11人の同疾患患者のうち9人がイマニチブに反応し、そのうち8人は現在のところ再発を免れており、最長の追跡期間は18ヵ月である。この研究により、少量のDNAの欠失によりチロシンキナーゼが過度に活性化することが示された。他の研究結果と組み合わせると、慢性骨髄性白血病を含む多種類のがんがこのファミリーの酵素の発がん性と関連しているという結果から、他のチロシンキナーゼが他の種のがんを引き起こしている可能性が広がる。そしてそれは標的治療のための他の抗体の開発に役立つであろう。
 

新たな遺伝子スクリーニングによりイマチニブに耐性を持つ白血病細胞を見極めることが可能となる [2003-04-15]

New genetic screening test will identify leukemia cells that are resistant to imatinib
新たな遺伝子検査により、イマチニブの治療前および治療中に同薬剤に対する耐性を引き起こすような自然発症の変異を見極めることが可能になる、という報告がCell 3月21日号に掲載された。研究者らはBCL/ABL遺伝子内の変異を無作為に引き起こし、100万個のマウスの血球の変異対立遺伝子に転送し、イマチニブに曝露した。細胞の破壊に対し耐性のある細胞は、成長しそのDNAを配列させた。研究者らは薬剤耐性と関連のある15の変異対立遺伝子を過去に発見し、今回新たに97個発見した。彼らは患者のDNA検査がより多く行われることでさらに多くの変異遺伝子が発見されるであろうと述べている。
マンモグラフィーで「おそらく良性」と診断された者に対する一般的な再検査の頻度は過剰である可能性がある [2003-04-08]
Typical frequency of retesting after a ‘probably benign’ mammogram result may be excessive
マンモグラフィーの結果「おそらく(probably)良性」と診断された者に対して一般的に行われている3〜6ヵ月毎の再検査は過剰である可能性がある、という報告がJournal of the National Cancer Institute 3月19日号に掲載された。研究者らは国際的予防研究に登録されたほぼ60,000人の女性のデータを解析した。「 おそらく良性」と診断された者のうち、その後2年間の追跡期間に乳がんと診断されたのは1%に過ぎなかった。筆者らは、ほとんどの女性に対しては1年間の追跡調査が妥当であろうと結論付けている。 彼らはまた、最新の検査結果を過去の結果と比較するために同じ施設で継続して検査を受けることが重要である、と強調している。
 

アプレピタントは重度に催吐作用のある化学療法に伴う遅発性嘔吐を確実に軽減させる [2003-04-08]

Aprepitant shows promise for delayed phase vomiting associated with highly emetogenic chemotherapy
5-HT3受容体拮抗薬およびコルチコステロイドによる通常の鎮吐療法に治験薬アプレピタントを加えた治療は、高度催吐性の化学療法に関連する急性および遅発性の悪心・嘔吐の予防に有効である。最近、遅発性の悪心・嘔吐症状に対する鎮吐剤以外の薬剤の使用が米国で認可されている。アプレピタントはサブスタンスPニューロキニン1受容体拮抗薬である。研究者らは、この受容体拮抗薬が化学療法剤の働きに対する脳の反応を阻害することにより悪心・嘔吐を防ぐものと考えている。
 


 

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