喫煙者の肺がんのリスクがその本人の年齢、性別、および喫煙歴から予測可能であり、それにより、低用量ヘリカルCTのようなスクリーニングを受けるかどうかを決断することが可能である、という報告がJournal
of the National Cancer Institute 3月19日号に掲載された。Carotene
and Retinol Efficacy Trialという臨床研究に登録された18,172人のデータ解析をもとに、その後10年間内に肺がんの発症するリスクを予測する数学的モデルが作成された。この対象者のリスク率は1%〜16%と広範囲にわたった。この予測方法自体はオンライン(http://www.mskcc.org/PredictionTools/LungCancer)で閲覧可能な雑誌の記事として掲載されている。
転移を起こす可能性のある肝細胞がん細胞に特徴的な遺伝子型が発見されたことにより治療戦略が向上する可能性がある、という報告がNature
Medicine 3月17日号に掲載された。研究者らはDNAマイクロアッセイ法を用いて、転移性腫瘍に特徴的に認められる一組の遺伝子を発見した。さらに、転移が起こるためにはosteopontin遺伝子が高度活性化している必要があるという彼らの発見した認識は、彼らが産生蛋白に対する診断や治療に使用する薬剤を開発する手助けとなるであろう。盲検化された40の腫瘍検体を遺伝子発現のパターンにより検査したところ、転移を起こす可能性のある腫瘍の82%、転移を起こさない腫瘍の67%が正しく診断された。
遺伝性大腸がんの家族歴のある成人のうち遺伝子検査を希望したのはその半数に過ぎなかった、という報告がArchives
of Internal Medicine 3月10日号に掲載された。非ポリポーシス遺伝性大腸がん患者の第一度親族111人のうち、51%が質問表に回答し、カウンセリングを受け、遺伝子検査を受けた。そのうち64%の者が、がんの遺伝子検査について余り理解をしていなかったが、初期の調査では97%の者が遺伝子検査を希望した。しかしその後の調査によると、心理的、家族的因子により、約半数が結局検査を受けないと決断した。筆者らは、遺伝子検査のインフォームド・コンセントの過程においてこのような心理的、心理社会的因子も考慮に入れるべきである、と述べている。
小児がんの既往を有する者に比較的短時間のスクリーニングテストを行うことによって、メンタルヘルス評価により利益が得られる者を見極めることが可能である、という報告がJournal
of Clinical Oncology 3月1日号に掲載された。米国の主ながんセンターの研究者らは小児がんの既往を有する成人患者101人が受診を待っている間に、患者用に変更した通常のメンタルヘルスの質問表を渡した。その結果、自分の外見に対する不満、身体的な不健康、あるいは頭部放射線照射歴の3因子のうちどれかに当てはまる者は、感情的苦悶のリスクが高かった。患者の30%が、さらなる評価や治療により有益な効果がもたらされると思われる感情的苦悶を有していた。
Chemotherapy
Foundation Symposium XXにおいて発表された臨床治験phase IIの結果によると、三酸化砒素は標準の治療に反応しない前立腺がん患者の治療として有効である。米国の研究者らがホルモン療法、化学療法、放射線療法、またはこれらの治療法の併用療法に抵抗性の前立腺がん患者に三酸化砒素療法を行った結果、15人中2人において効果が認められた。同様の治療法は再発性の急性前骨髄性白血病の治療としても有効である。
標準の化学療法にイフォスファミドおよびエトポシドを追加することにより転移のないユーイング肉腫の患者の生存率が改善される、という報告がNew
England Journal of Medicine 2月20日号に掲載された。この研究では、ユーイング肉腫、骨の原始神経外胚葉腫瘍(PNET)、または骨の原始肉腫の患者計518人を標準の化学療法(ドキソルビシン、ビンクリスチン、シクロフォスファマイド、およびダクチノマイシン)または標準療法にイフォスファミドおよびエトポシドを追加した群(治験群)に無作為に割り付けた。転移のない患者398人においては治験群の5年無病率(69対54%)および総生存率(72対61%)が有意に高かった。転移群においては二群間の差は認められなかった。この治験終了後から用量と予後の関係を評価する研究が施行されている。
大腸ポリープの再発率はポリペクトミーを施行された患者においても高い、という報告がArchives
of Internal Medicine 2月24日号に掲載された。米国の研究者らがポリペクトミー後2〜12年追跡された患者8,865人のデータを解析したところ、2,704人(30.5%)において再発と診断されていたことが明らかとなった。データに基づいた彼らの推定によると、7.6年以内に約50%の患者において再発が認められることになる。ポリペクトミー後遅くとも9ヵ月以内に大腸のスクリーニング検査を受けた患者(全体の52%)の解析からは、50%の患者において3.9ヵ月以内に再発が認められると推定された。筆者らはポリペクトミー後の患者を長期にわたり追跡監視するよう勧めている。