HER2受容体の構造によりハーセプチン療法が受容体過剰乳がんに有効である理由が説明される [2003-02-25]
Structure of HER2 receptor explains why Herceptin therapy is effective against breast cancer tumors with excess receptor
乳がん症例の20〜30%において過剰発現がみられるHER2受容体の立体構造が発見されたことにより、ハーセプチンによる抗体療法がこれらの腫瘍に対し有効である理由が説明される、という報告がNature 2月13日号に掲載された。HER2受容体は、活性化し細胞分裂を引き起こす際に分子が結合する必要がないという点で類似の受容体の中で特徴的であるが、その性質により、受容体が過剰発現していること自体で腫瘍の成長を促している。筆者らはこの受容体の構造や活性化に対する新たな分子学的理解により、さらに有効な抗受容体抗体治療薬が開発されることを期待している。
 
新たな治療法により、良性の乳房腫瘍を凍結し乳房組織内の疼痛を伴う瘢痕化を軽減させる[2003-02-25]
New technique can freeze benign breast tumors and eliminate painful scarring within breast tissue
クリオアブレーションは良性乳房腫瘍の組織を効果的に凍結し、がんの可能性のある腫瘍に対するその後の検査を困難にしている乳房組織内の疼痛を伴う瘢痕化を軽減させる、と米国ミシガン州立大学でこの技術を用いた外科医が報告した。この新たな術式を用いると腫瘍切除術を回避することができる。この術式は、小さなプローベを超音波ガイダンスを使用し腫瘍の中心に挿入し、アルゴンガスで組織を破壊する。この技術は線維腺腫に対して最も有効である。腫瘍の大きさは2cm以下である必要がある。同様の技術が肝臓および前立腺の悪性腫瘍に対して試みられている。
過去に喫煙歴のある者に対する9シスレチノイン酸投与の結果から、肺癌の薬物予防療法の可能性が示された [2003-02-18]
Results in former smokers treated with 9-cis-retinoic acid show promise that chemoprevention of lung cancer may be possible
過去に喫煙歴のある者に9シスレチノイン酸を投与したところ、肺癌を予防する受容体の産生が回復した、という報告がJournal of the National Cancer Institute 2 月5 日号 に 掲載 された 。 研究 者 らは、最低1年以上前に禁煙した者をプラセボ、9シスレチノイン酸 または13シスレチノイン酸+ビタミンE投与群に無作為に割り付けた。ベースライン、内服開始後3ヵ月、内服終了後3ヵ月の時点の肺の組織生検標本が177人から得られた。その結果、9シスレチノイン酸を内服した者においてのみ上記の受容体の遺伝子発現の増加が認められた。9シスレチノイン酸の内服によって前がん状態の細胞が回復したとのエビデンスはないが、筆者らは今回の結果は肺がんの薬物による予防が可能であることを示している、と述べている。
 
典型的な欧米食は女性において結腸がんのリスクを上昇させる可能性がある[2003-02-18]
A typical Western diet may increase the risk of colon cancer in women
長期間の大規模研究結果によると、典型的な欧米食(赤肉を多く含む食事、精製された砂糖、高脂肪食、精製された穀物)と女性における結腸がんのリスクとの間に陽性の相関があることが示された、という報告がArchives of Internal Medicine 2月10日号に掲載された。研究者らはU.S. Nurses’ Health Studyから、ベースラインにおいてがんの既往のない38〜63歳の女性における食事の情報を得て解析した。食事内容を分類したところ、欧米食を摂取している女性は12年間の追跡調査の間に結腸がんを発症する率が約50%高かった。食事の型と直腸がんに関連はなかった。
エビデンスに基づき新たに発表された肺がんのガイドラインは複数の科にわたるチーム医療を推奨している [2003-02-10]
Newly released evidence-based guidelines for lung cancer emphasize a multidisciplinary team approach to patient care
国際研究班により改良された、エビデンスに基づく新たな肺がんのガイドラインがCHEST 1月号に掲載されたが、それによると肺がん患者の治療には複数の科によるチーム体制での治療が勧められている。80人の国際研究班の著者により発表されたこのガイドラインは、疾患の予防から発見、診断、ステージ評価、治療、フォローアップ、そして緩和ケアに至るまでの推奨される方法が第一線のエビデンスに基づき記されている。このガイドラインは、American College of Chest Physiciansのweb site http://www.chestnet.orgで見ることができる。
 
大腸がんの新たなガイドラインは50歳以上の患者の包括的な初期スクリーニングに焦点を移している [2003-02-10]
New guidelines on colorectal cancer recommend shift of focus to comprehensive initial screening of patients age 50 years and older
Gastroenterology 2月号に掲載された大腸がんのスクリーニングおよび監視に関する新たなガイドラインは、50歳以上の患者の包括的な初期スクリーニングを強調している。特にポリペクトミー後の患者のフォローアップに関しては、多くの患者において5年以内にはがんが発生する可能性が低いというデータを参考にして改定されている。ガイドラインは引き続き進行性または多発性アデノーマに関しては3年後の大腸内視鏡検査によるフォローアップを推奨している。改定されたガイドラインではまた、多くのハイリスクの人々に対するスクリーニングや監視に関してはバリウムによる注腸造影よりも大腸内視鏡検査を勧めており、さらに遺伝子検査や便潜血検査などの非侵襲的な方法を提案している。
乳がんに対するより頻回の化学療法は毒性を増加させることなく有意に生存率を改善する [2003-02-04]
More frequent dosing of chemotherapy for breast cancer can significantly improve survival without increasing toxicityr
リンパ節転移を有する女性乳がん患者に対するより頻回の化学療法は薬剤の毒性を増加させることなく無病生存率を31%改善するこができたとの研究結果が、第25回Annual Breast Cancer Symposiumで報告された。研究者らは術後患者2,005人をドキソルビシン、パクリタキセル、およびサイクロフォスファミドの連続投与を2週間または3週間周期で投与する群、またはドキソルビシンおよびサイクロフォスファミド同時投与後にパクリタキセルの投与を2週間または3週間周期で投与する群に無作為に割り付けた。高頻度投与群(2週間周期)の患者は好中球減少症の副作用を予防するために、顆粒球コロニー刺激因子を投与された。4年後の無病生存率は高頻度の連続投与群または同時投与群において82%であったが、一方3週間周期で治療を受けたそれぞれの患者群では75%であった。筆者らは同様の概念が他の種類のがんにも通用するであろうと述べている。
 
急性骨髄性白血病に対する細胞遺伝子検査に基づいたリスク段階評価を用いた治療は同検査を用いない治療と比較し優れている。 [2003-02-04]
Risk stratification for acute myeloid leukemia with cytogenetic testing is superior to treatment without cytogenetic testing
急性骨髄性白血病に対するベースラインの細胞遺伝子検査に基づいたリスク段階評価を用いた骨髄移植または化学療法による治療は同検査を用いない治療と比較し優れている、という報告がCANCER2月号に掲載された。研究者らは初回寛解中の患者で対応する兄弟を有する者を3つの群に無作為に割り付けた。つまり、全員に骨髄移植を行う群、全員に化学療法を行う群、細胞遺伝子検査で化学療法に適していると考えられる者には化学療法を施行し、適していないと考えられる者には骨髄移植を行う群の3群である。第一エンドポイントであるQOLを考慮に入れた生存年数(quality-adjusted life year: QALY)スコアは、遺伝子検査に基づいて治療された群で21.10であり、骨髄移植群の19.63、化学療法群(すべてのプロトコールも含む)の18.38よりも高かった。
 


 

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