過去に喫煙歴のある者に9シスレチノイン酸を投与したところ、肺癌を予防する受容体の産生が回復した、という報告がJournal
of the National Cancer Institute 2 月5 日号 に 掲載 された 。 研究
者 らは、最低1年以上前に禁煙した者をプラセボ、9シスレチノイン酸 または13シスレチノイン酸+ビタミンE投与群に無作為に割り付けた。ベースライン、内服開始後3ヵ月、内服終了後3ヵ月の時点の肺の組織生検標本が177人から得られた。その結果、9シスレチノイン酸を内服した者においてのみ上記の受容体の遺伝子発現の増加が認められた。9シスレチノイン酸の内服によって前がん状態の細胞が回復したとのエビデンスはないが、筆者らは今回の結果は肺がんの薬物による予防が可能であることを示している、と述べている。
長期間の大規模研究結果によると、典型的な欧米食(赤肉を多く含む食事、精製された砂糖、高脂肪食、精製された穀物)と女性における結腸がんのリスクとの間に陽性の相関があることが示された、という報告がArchives
of Internal Medicine 2月10日号に掲載された。研究者らはU.S. Nurses’ Health
Studyから、ベースラインにおいてがんの既往のない38〜63歳の女性における食事の情報を得て解析した。食事内容を分類したところ、欧米食を摂取している女性は12年間の追跡調査の間に結腸がんを発症する率が約50%高かった。食事の型と直腸がんに関連はなかった。
国際研究班により改良された、エビデンスに基づく新たな肺がんのガイドラインがCHEST
1月号に掲載されたが、それによると肺がん患者の治療には複数の科によるチーム体制での治療が勧められている。80人の国際研究班の著者により発表されたこのガイドラインは、疾患の予防から発見、診断、ステージ評価、治療、フォローアップ、そして緩和ケアに至るまでの推奨される方法が第一線のエビデンスに基づき記されている。このガイドラインは、American
College of Chest Physiciansのweb site http://www.chestnet.orgで見ることができる。
リンパ節転移を有する女性乳がん患者に対するより頻回の化学療法は薬剤の毒性を増加させることなく無病生存率を31%改善するこができたとの研究結果が、第25回Annual
Breast Cancer Symposiumで報告された。研究者らは術後患者2,005人をドキソルビシン、パクリタキセル、およびサイクロフォスファミドの連続投与を2週間または3週間周期で投与する群、またはドキソルビシンおよびサイクロフォスファミド同時投与後にパクリタキセルの投与を2週間または3週間周期で投与する群に無作為に割り付けた。高頻度投与群(2週間周期)の患者は好中球減少症の副作用を予防するために、顆粒球コロニー刺激因子を投与された。4年後の無病生存率は高頻度の連続投与群または同時投与群において82%であったが、一方3週間周期で治療を受けたそれぞれの患者群では75%であった。筆者らは同様の概念が他の種類のがんにも通用するであろうと述べている。
急性骨髄性白血病に対するベースラインの細胞遺伝子検査に基づいたリスク段階評価を用いた骨髄移植または化学療法による治療は同検査を用いない治療と比較し優れている、という報告がCANCER2月号に掲載された。研究者らは初回寛解中の患者で対応する兄弟を有する者を3つの群に無作為に割り付けた。つまり、全員に骨髄移植を行う群、全員に化学療法を行う群、細胞遺伝子検査で化学療法に適していると考えられる者には化学療法を施行し、適していないと考えられる者には骨髄移植を行う群の3群である。第一エンドポイントであるQOLを考慮に入れた生存年数(quality-adjusted
life year: QALY)スコアは、遺伝子検査に基づいて治療された群で21.10であり、骨髄移植群の19.63、化学療法群(すべてのプロトコールも含む)の18.38よりも高かった。