実験レベルの研究によるとデヒドロエピアンドロステロンと動脈硬化の初期兆候の関連が示された [2003-12-22]

Laboratory research links dehydroepiandrosterone with early signs of atherosclerosis
「抗老化」薬として多くの国々で販売されている性ホルモン前駆物質であるデヒドロエピアンドロステロンは動脈の脂肪性プラーク形成を促進する可能性がある、という報告がJournal of the American College of Cardiology 12月3日号に掲載された。オーストラリアの研究者らはヒトのマクロファージ細胞を、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロゲンレセプターアンタゴニスト、または両者に曝露させた。いずれにも接触させなかった細胞はコントロールとして用いた。デヒドロエピアンドロステロンにより、動脈脂肪性プラーク形成の初期段階類似の様相、つまりマクロファージの泡沫細胞への転換が用量依存性に発生した。実際、米国の女性および日本の男性を観察すると、自然分泌ホルモンレベルが低い者ほど冠動脈疾患率が低いことが示唆される。

入院中に脂質低下薬物療法を開始したものは長期継続率が高い [2003-12-22]

Patients who begin therapy with a lipid-lowering drug in the hospital have better long-term compliance
入院中に脂質低下薬物療法を開始した患者は外来で開始した者より長期継続率が高い、という報告がArchives of Internal Medicine 11月24日号に掲載された。研究者らは、心疾患で入院した患者を脂質低下療法またはプラセボ群に無作為割り付した研究のデータを使用した。1,126人の患者のうち175人は入院中に治療を開始し1,951人は入院中には試行せず外来で開始した。6ヵ月後、入院中に開始した患者のうち134人(77%)は内服を継続していた。一方、退院後に外来で内服を開始した者においては、内服を継続していたものは494人(25%)であった。

心不全患者においてはコレステロールレベルの高い者の方が生存率が高い [2003-12-16]

Higher cholesterol levels in patients with heart failure are associated with better survival rates
慢性心不全患者においてはコレステロールレベルの高い者の方が生存率が高い、という報告がJournal of the American College of Cardiology12月3日号に掲載された。あるイギリスの病院の患者114人を対象とした試験で、患者の総コレステロールを計測し予後を評価した。これらの患者において認められた関連性は、コレステロール値をルーチンの検査として施行された他の患者303人の群においても確認された。総コレステロール値が1 mmol/L(約39 mg/dL)上昇するごとに生存の可能性が25%上昇した。この結果を説明する仮説としてコレステロールが高いことはエンドトキシンのような代謝性ストレスに対抗する能力が高いことの指標になるということが考えられている。スタチン系薬剤を投与されているこれらの患者集団を対象に現在進行中の前向き研究により、この結果に対する他の情報が得られるかもしれない。

冠動脈疾患患者における高血圧に対するβブロッカーとカルシウム拮抗薬の効果は同等である [2003-12-16]

Beta-blockers and calcium antagonists are equally effective in treating hypertension in patients with coronary artery disease
冠動脈疾患患者における高血圧に対するβブロッカーとカルシウム拮抗薬の効果は同等である、という報告がJournal of the American Medical Association 12月3日号に掲載された。国際ベラパミル−トランドラプリル(INVEST) 研究において、14ヵ国の50歳以上の患者22,576人を持続性ベラパミル群またはアテノロール群に無作為に割り付けた。両群とも状況に応じてACE阻害薬およびサイアザイドを併用した。平均追跡期間2.7年ののち、2,269人の患者が治療薬に関係なく死亡したか、あるいは非致死性心筋梗塞または脳卒中(一次エンドポイント)を発症した(βブロッカー群10.17% ; カルシウム拮抗薬群 9.93%)。血圧のコントロールも群間における差はなかった。両群とも多くの患者においてトランドラプリルを併用しており、この結果から、カルシウム拮抗薬−ACE阻害薬併用とβブロッカー−ACE阻害薬併用は同等に有効であることが示された。

ワーファリンは心房細動を有する患者の脳卒中予防に有効で安全である [2003-12-09]

Warfarin is safe and effective as a preventive against stroke in patients with atrial fibrillation
ワーファリンは心房細動を有する患者の脳卒中予防に有効で安全である、という報告が Journal of the American Medical Association 11月26日号に掲載された。ある一施設の患者11,526人(平均年齢71歳)の3年間にわたる前向き研究の結果、397例の脳血栓塞栓症が発症し、そのうち372例は脳虚血であった。他の因子で補正した結果、ワーファリン投与により、塞栓症および脳卒中のリスクは、抗血栓療法の無施行またはアスピリン投与と比較し51%軽減した。またワーファリンは総死亡率も低下させた。筆者らは、この研究の対象者は抗凝固療法を必要とする代表的な地域住民であることを強調している。

経口トロンビン直接阻害薬であるximelagatranは心房細動患者の抗凝固療法薬としてワーファリンの安全で効果的な代替薬になりうる [2003-12-09]

Oral direct thrombin-inhibitor ximelagatran may be safe and effective alternative to warfarin for patients with atrial fibrillation
大規模国際トライアル(SPORTIF III)の結果、経口トロンビン直接阻害薬であるximelagatranは心房細動患者の抗凝固療法薬としてワーファリンの安全で効果的な代替薬になりうる、とLancet 11月22日号に掲載された。このトライアルでは、ヨーロッパ、アジア、およびオーストラリアの患者計3,407人をワーファリンまたはximelagatran群に無作為に割り付けた(平均追跡期間17ヵ月)。Primary outcomeおよび合併症率は両群において統計学的に同等であったが、経口投与であり凝固能をモニターする必要がないことから、ximelagatranは今後ワーファリンに替わる薬剤として臨床的に普及していくことになるだろう。

左室肥大は心血管リスクの強力な予測因子であり可逆的な左室肥大のリスクファクターのコントロールが求められている [2003-12-02]

Left ventricular hypertrophy strongly predicts cardiovascular risk and calls for aggressive management of all reversible risk factors
左室肥大は心血管リスクの強力な予測因子であり可逆的な左室肥大のリスクファクターの積極的なコントロールが求められている、という報告がAmerican Journal of Hypertension 11月号に掲載された。4つの研究から集めた45〜51歳の高血圧患者1,064人(追跡期間2.8〜10年)のメタ解析の結果、治療により肥大を軽減することにより、心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全、および血行再建術を要する病態などの頻度が59%低下した。ベースラインでの左室肥大を有する割合は22〜44%であった。編集局は、左室肥大を早期に診断することによりリスクの高い患者を見極めることができる、と述べている。

簡便に確認できる臨床所見により死亡のリスクが最も高い心不全患者を見極めることが可能である [2003-12-02]

Easily identifiable clinical factors can identify patients with heart failure who are at highest risk for death
臨床上の情報に基づいた点数法で心不全患者の死亡のリスクを予測することが可能である、という報告がJournal of the American Medical Association 11月19日号に掲載された。心不全で入院した患者4,031人の30日および1年後の死亡予測因子は、高齢、収縮期低血圧、呼吸回数の上昇、血中尿素窒素の上昇、および低ナトリウム血症であった。重要な合併症には脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、肝硬変、痴呆、および、がんが含まれた。スコアが非常に低い患者(60点以下)の1年後の死亡のリスクは7.8%であったが、スコアが非常に高い患者(151点以上)のそのリスクは78.8%であった。


 
 

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