高齢患者は若年患者と比較し冠動脈バイパス術により症状軽減やQOLの面でより多大な利益を得られる、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 10月15日号に掲載された。研究者らはある一施設で冠動脈バイパス術を受けた患者連続680人(うち75歳以上は156人)を調査した。高齢患者の身体機能の回復にはより時間がかかったが1年後にはその評価は同等となり、QOLにおける利益はそれより早く術後すぐに同等となった。この研究は手術選択のクライテリアや手術と他の治療法の比較を提示していない。しかし編集局は、高齢者に対して外科手術を選択することにより得られるこれらの利益の重要性を強調している。
出生時低体重は成人期高血圧と関連がある、という報告がLancet
10月11日号に掲載された。1946年に生まれた3,600人以上の英国人の出生時体重、幼少時の社会経済的地位、および血圧のデータが解析された。出生時低体重の者は36歳の時点で収縮期血圧が高く、それは53歳まで持続した。幼少時の社会的地位が低かった者は高かった者と比較し収縮期および拡張期血圧が高く、この影響は時間とともに増加することがわかった。幼少時に貧しかった者における収縮期血圧の上昇(10年ごとに1mmHg)には多大にbody
mass indexの増加に原因があった。筆者らはリスクの高い小児を見極め、それらの人々の生涯において厳重に体重を監視することが重要であると主張している。
超音波検査を用いた高齢者のリスク評価により初回心血管イベントを予測することができる、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 10月1日号に掲載された。ベースラインの時点で心血管イベントの既往のない65歳以上の患者1,160人の医療記録を解析した結果、平均4年近くの追跡調査の期間中に3分の1の患者にイベントが発症した。最も強力な5年間の予後予測因子には4つの臨床因子(年齢、性別、糖尿病あるいは高血圧の有無)および4つの超音波検査所見(左房拡大あるいは左室容積増大の有無、左室駆出率あるいは左室拡張およびコンプライアンスの正常または異常)が含まれていた。これらで評価した結果、低リスクと判断された患者の5年間に死亡を含むイベントが発症しない確率は90%であり、一方高リスクと判断された患者のそれは50%であった。
低用量アスピリンは出血のリスクを有意に増加させることなく血小板凝集を抑制する、とCirculation
オンライン速報9月23日版に掲載された。不安定狭心症の再発予防に対するクロピドグレルの効果に関する研究(Clopidogrel
in Unstable Angina to Prevent Recurrent Events [CURE])スタディの結果、低用量アスピリン(1日100mg以下)の急性冠症候群の発症率低下作用は高用量アスピリンと同様であったが高用量アスピリンのような出血のリスク上昇はもたらさなかった。筆者らは、急性冠症候群を減少させる効果を最大限とするアスピリンの用量は75〜100mgであろうと述べている。
神経保護デバイスを使用しても頚動脈形成術およびステント挿入術の4例に1例は塞栓による脳虚血部位が認められる、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 9月17日号に掲載された。研究者らは連続42人(女性15人、男性27人)の患者に様々な保護装置を使用し、術前後に核磁気共鳴画像装置を用いて評価した。42人中1人の患者に大きな脳卒中が発症した。他の8人の患者において無症候性の虚血部位が認められた。脳卒中やいくつかの無症候性虚血部位は施術部位と反対側に認められたため、筆者らは、塞栓は神経保護デバイスを留置する前のカテーテル操作により発生しやすいと考えている。
女性において運動レベルと運動終了後心拍数回復レベルは心電図よりも心疾患のリスクを正確に予測する、という報告がJournal
of the American Medical Association 9月24日号に掲載された。ベースライン時に30〜80歳であった女性ほぼ3,000人のデータを解析した結果、ピーク時の運動耐容能と心拍数回復は心臓死および総死亡率を最も予測する因子であることが示された。平均点数以上を有するものと平均点数未満の者との差は1年後から既に明らかとなった(平均追跡期間20年)。運動後心電図におけるST低下では潜在的な心疾患を正確には発見できなかった。