遺伝性高コレステロール血症に対する新たな治療法であるLDLコレステロールアフェレーシスはその一部の患者のLDLコレステロールレベルを劇的に低下させることが、カリフォルニアロサンゼルスのCedars-Sinai
Medical Centerの指揮により行われている研究の結果示された。報告されたある症例では、患者は38歳時に冠動脈5枝バイパス術を受け、強力な治療にもかかわらずLDLコレステロールレベルは約400mg/dLであった。もともと日本で開発された技術であるアフェレーシスを受けた結果、コレステロールレベルは約40に低下した。この治療法は米国では1996年に使用が認可され、現在米国の35箇所の施設がアフェレーシスを施行しており、さらに50施設でやや異なった方法を行っており、現在計150人以上の患者が治療中である。
2003年のClinical
Application of Echocardiography のガイドラインをAmerican College
of Cardiology、 American Heart Association、および American
Society of Echocardiographyが合同で発表した。これは1997年に出版されたものの改訂版であり、ストレステストおよび心不全患者や重症患者に対する使用についての新たな情報が含まれている。有意な改定の一つは心臓超音波検査を虚血性心疾患、心不全患者、および重症患者の発見や評価に使用することである。このガイドラインは9月に出版されるが、現在American
College of Cardiologyのウェブサイトhttp://www.acc.org/clinical/guidelines/echo/index.pdf
で閲覧できる。
陳旧性心筋梗塞患者の血行再建までの待機時間は短いほどその後の予後が良好である、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 8月6日号に掲載された。カナダの研究者らは、初回心筋梗塞の際に血行再建術を受けず、フォローアップの時点で冠動脈形成術またはバイパス術を施行された15,166人の医療記録を評価し治療法以外の予後予測因子を調べた。最初に大規模な循環器センターに入院した患者の平均待機期間は12日間であったが、一方、地域病院に入院した患者のそれは48日間であった。さらに、直接大規模な病院に入院した患者は待機期間中に再入院する率が低かった。編集局は、これらの結果を他のデータと合わせると血行再建術が必要であると判断された患者に対してはできるだけ早く施術することが必要である、と強く述べている。
HIVに感染した18〜34歳の患者は感染していない対象群と比較し冠動脈疾患のリスクが高い、という報告がJournal
of Acquired Immune Deficiency Syndromes 7月17日号に掲載された。米国の研究者らはあるsingle
health planにおけるHIV陽性患者28,513人および陰性者3,054,696人の記録を解析した。その結果、初回冠動脈イベントはHIV陽性者で100人中1.64人であったのに対し陰性者では0.76人であった。筆者らはHIV陽性の若年患者に対しては心血管リスクの低減に力を入れるよう主張するとともに、これらの年代の患者におけるHIV感染および抗レトロウイルス薬治療と冠動脈疾患との関連を更に進めるよう述べている。
ビタミンCの補給はその摂取量が少ないよりも冠動脈疾患のリスクを低下させるが、その相関の起源は不明瞭である、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 7月16日号に掲載された。研究者らはNurses’
Health Studyに登録された女性85,118人の情報と16年間の追跡調査の結果を解析した。冠動脈疾患のリスクを調整した結果、ビタミンC
を補給することにより冠動脈疾患のリスクが28%低下することが示された。このレトロスペクティブ解析のlimitationは、これらの集団の冠動脈疾患リスクが一般に低いことおよび他の影響しうる因子との相関を区別できないことである。
最近改名された、心臓から発生する好中球遊走因子であるノイリンは初期の心筋虚血を示すバイオマーカーとして臨床的に有用である可能性がある、と第55回American
Association of Clinical Chemistry学会で発表された。研究者らは、ノイリン1と呼ばれる蛋白が、臨床症状を示す前の早期の生物学的徴候である可能性を示した。研究者らによるとこの新たな血液検査は3-5年以内に使用可能となるかもしれない。
思春期時代に血圧が軽度でも上昇していると成人期心血管疾患のリスクが上昇する、という報告がAmerican
Journal of Hypertension 7月号に掲載された。オランダの研究者らは27〜30歳の成人750人を調査し計15,592の記録を評価した。頚動脈中膜の厚さは拡張期血圧よりも収縮期血圧と強力に関連し、思春期時の脈圧は頚動脈中膜の厚さとより関連があった。研究者らは成人期の心血管疾患リスクを上昇させるイベントのカスケードは思春期時代に明白であると結論付けている。