非無作為試験の結果、心房細動に対する高周波焼灼治療は薬物治療よりも予後を良好とするとの結果が得られた [2003-07-29]

Nonrandomized trial finds that radioablation produces a better outcome for patients with atrial fibrillation than drug treatment
高周波焼灼治療を施行された心房細動患者は薬物治療を行われた患者よりもはるかに予後が良好である、との結果がJournal of the American College of Cardiology 7月16日号に掲載された。イタリアの専門病院における患者計1,171人のうち医師との話し合いの結果589人が肺静脈焼灼を選択し、582人が抗不整脈薬による治療を選択した。焼灼治療群の患者はやや不整脈歴が複雑であった。平均追跡期間2.5年後、焼灼治療群における死亡率は薬物治療群の半分以下であり(38人[6%]対83人[14%])、また再発率が明らかに低かった。焼灼治療群患者におけるQOLは一般の人々と同様であり、薬物治療群よりも高かった。筆者らおよび編集局のライターは、無作為試験を行い症候性心房細動治療の選択肢としての焼灼治療の適応を決定するよう呼びかけている。

変異が起こると単独中隔欠損を発症させる遺伝子が発見される [2003-07-29]

Researchers discover a gene that can cause isolated congenital septal defects when mutated
研究者らは心臓の発生に重要な遺伝子を発見し変異により単独先天性心疾患が発症することを学んだ、とNatureのwebsiteに掲載された。これは後に出版される。5世代において16人の患者がみられた米国の1家系と4世代において8人の患者がみられた日本の1家系において、GATA4と呼ばれる遺伝子の変異がこれらの家系の心疾患を有する者には認められたが疾患を有さない者あるいは関連のない健常人には認められなかった。筆者らはこの研究が一般の集団に拡大されることでよりよい遺伝子の相談が受けられ、ひいてはこの変異により胎児に引き起こされる有害な影響が予防されることを望んでいる。

カルベジロールはメトプロロールと比較し心不全患者の生存率に対する貢献度が高い [2003-07-22]

Carvedilol produces a greater survival benefit than metoprolol for patients with chronic heart failure
カルベジロールはメトプロロールよりも慢性心不全患者の生存率に関し多大な利益を与えるとの研究結果がLancet 7月5日号に掲載された。The Carvedilol or Metoprolol European Trial (COMET)では3029人の患者を上記のβブロッカーのいずれかに無作為に割り付けた。ベースラインの時点で患者は利尿薬およびアンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与されており心駆出率は35%未満であった。平均58ヵ月間の追跡期間ののち、全死亡率はカルベジロール群で34%のところメトプロロール群では40%であった。死亡あるいは全入院率を混合させたエンドポイントに達したのはカルベジロール群で74%、メトプロロール群で76%であった。この結果から、βブロッカー、特にカルベジロールの心不全治療上の価値がさらに拡大される。

HDLコレステロールに対するLDLコレステロールの比はそれぞれを別に評価するよりも予後予測に役立つ [2003-07-22]

The ratio of low-density to high-density cholesterol predicts risk better than the levels of each type
HDLコレステロールに対するLDLコレステロールの比はLDLコレステロール値そのものよりも心疾患のリスク予後に役立つ、という報告がAmerican Journal of Preventive Medicine 7月号に掲載された。筆者らは米国のデータを解析した結果、冠動脈疾患を有する患者の約半数のLDLコレステロール値は正常範囲内でありHDLコレステロール値が低値であり、結果としてその比が高いことを示した。研究者らは、LDLおよびHDLコレステロール両者を低下させる可能性のある食餌療法よりも、HDLコレステロール値も上昇させる減量や運動量増加などを推奨している。

心臓疾患患者のうつ病を治療しても生存率に対する利益はないが気分や社会的機能を優位に増大させる [2003-07-15]

Patients with heart disease treated for depression have no survival benefit but do show significant gains in mood and social function
心筋梗塞発症後28日以内の患者のうつ病の治療により気分や社会的機能は改善するが心筋梗塞再発や死亡のリスクは軽減させない、という報告がJournal of the American Medical Association 6月18日号に掲載された。うつ病、社会的支援レベルが低いと認識された者またはその両者を有する患者計2,481人を通常の治療または6ヵ月間の心理療法群に無作為に割り付けた。抗うつ剤は両グループとも一部の患者に処方された。29ヵ月後の実際の生存率は全く同等であった(通常治療群75.9% 心理療法群75.8%)。興味深いことに、死亡または二度目の心筋梗塞のリスクは、カウンセリングを受ける受けないに関わらず抗うつ剤を投与されている患者群において低かった。今後の研究は特に抗うつ剤療法の予後に対する効果に向けられるであろう。

植え込み型除細動器を挿入されている患者に対する脂質低下療法は心室性不整脈および死亡率を劇的に低下させる [2003-07-15]

Lipid-lowering therapy dramatically reduces rates of ventricular arrhythmia and death in patients with implantable defibrillators
植え込み型除細動器を挿入されている患者に対する脂質低下療法は心室性不整脈および死亡率を大幅に低下させる、という報告がJournal of the American College of Cardiology 7月2日号に掲載された。Antiarrhythmics Versus Implantable Defibrillator試験をレトロスペクティブに解析したところ、早期および一貫した脂質低下療法を施行された83人の患者においてそのような治療を受けなかった患者279人と比較し再発性の心室性不整脈のリスクが40%低下した。脂質低下薬内服患者149人における死亡率は治療を受けていない患者564人のそれと比較し36%低かった。編集者はこの研究では薬剤のタイプ、用量、およびコレステロールに対する効果についての情報が不足していると指摘している。しかしながら筆者ら、および編集者は、これらの重症患者に対するそのような薬剤の使用は安全であるとのエビデンスの重要性を強調している。

心不全で入院中の患者に循環器ガイドラインに沿った治療を行うことで予後が改善する [2003-07-08]

Hospitalized patients with heart failure have better outcomes when treated according to cardiology guidelines
心不全患者は循環器医に治療された方が1年後の予後が良好である、という報告がCirculation オンライン速報6月24日版に掲載された。カナダの研究者らが患者38702人の診療記録を調査したところ、主治医が循環器医である場合の死亡率が28.5%であったのに対し、一般内科医の場合は31.7%、開業医の場合は34.9%、それ以外の医師の場合は35.9%であった。病院経営者の解析によると循環器ガイドラインが評価される。つまり、循環器医はアンジオテンシン変換酵素阻害薬やβブロッカーなどの薬剤の使用や心臓カテーテルなどの侵襲的治療など、ガイドラインに従う率が高かった。

解析により入院中の循環器患者に頻回におこる薬物の誤りのパターンが示された [2003-07-08]

Analysis indicates a pattern of frequent medication errors for hospitalized cardiology patients
病院記録の解析によると薬物の誤使用が起こりやすいポイントが数点あることが示唆された。研究者らは米国のある大規模な病院の循環器病棟に入院した患者24,538人の記録を調査した。その結果、4,768例、つまり入院100例に対し24の薬剤師の薬物使用の誤りがあることが示された。最も一般的な誤りは薬物の種類あるいは用量の誤り(それぞれ36%および35.3%)であった。心血管系薬剤の誤りは41.2%であった。最も誤りが発生しやすいタイミングは外来患者から入院患者への移行時であり、また病棟で研修中の医師の移行期間中により起こりやすかった。

経皮的冠動脈形成術前の冠動脈内βブロッカー注入により予後が改善される [2003-07-01]

Intra-arterial beta blocker before percutaneous coronary intervention improves outcome
経皮的冠動脈形成術前に標的部位の遠位側にβブロッカーを注入することにより小梗塞の発症が有意に減少する、という報告がCirculation 6月17日号に掲載された。この二重盲検試験では150人の患者を冠動脈内プロプラノロールあるいはプラセボ投与群に無作為に割り付けた。死亡した患者はいなかった。術後30日間に心筋梗塞またはnon-Q心筋梗塞を発症した割合、あるいは標的部位に対して緊急の血行再建を必要とした割合はプラセボで40%、実薬群で18%であった。クレアチンキナーゼ(CK) MBおよびトロポニンTの結果からプラセボ群において小梗塞の発症が多く認められるとの所見が得られた(プラセボ群対実薬群でCK-MB 36% 対17% 、トロポニン33%対13%)。
メタアナリシスの結果からアトルバスタチンは高コレステロール血症の糖尿病患者に安全に使用でき有効であることが示唆された [2003-07-01]
Meta-analysis indicates that atorvastatin is safe and effective for diabetic patients with hypercholesterolemia
44の臨床試験結果からアトルバスタチンは高コレステロール血症の糖尿病患者に安全に使用できしかも有効であることが示唆された、とAmerican Diabetes Associationで発表された。9,000人以上のデータを評価した結果、内服量が10mgから80mgであった患者には横紋筋融解症の所見は認められなかった。現在進行中のASPENトライアル(Atorvastatin Study for Prevention of Coronary Heart Disease Endpoints in Noninsulin-Dependent Diabetes Mellitus)は本年9月に終了の予定である。このトライアルの結果により、U型糖尿病患者におけるスタチン系薬剤治療開始から初回心血管イベントの発症までの時間を評価した前向きデータが得られる。
 

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