高周波焼灼治療を施行された心房細動患者は薬物治療を行われた患者よりもはるかに予後が良好である、との結果がJournal
of the American College of Cardiology 7月16日号に掲載された。イタリアの専門病院における患者計1,171人のうち医師との話し合いの結果589人が肺静脈焼灼を選択し、582人が抗不整脈薬による治療を選択した。焼灼治療群の患者はやや不整脈歴が複雑であった。平均追跡期間2.5年後、焼灼治療群における死亡率は薬物治療群の半分以下であり(38人[6%]対83人[14%])、また再発率が明らかに低かった。焼灼治療群患者におけるQOLは一般の人々と同様であり、薬物治療群よりも高かった。筆者らおよび編集局のライターは、無作為試験を行い症候性心房細動治療の選択肢としての焼灼治療の適応を決定するよう呼びかけている。
カルベジロールはメトプロロールよりも慢性心不全患者の生存率に関し多大な利益を与えるとの研究結果がLancet
7月5日号に掲載された。The Carvedilol or Metoprolol European Trial
(COMET)では3029人の患者を上記のβブロッカーのいずれかに無作為に割り付けた。ベースラインの時点で患者は利尿薬およびアンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与されており心駆出率は35%未満であった。平均58ヵ月間の追跡期間ののち、全死亡率はカルベジロール群で34%のところメトプロロール群では40%であった。死亡あるいは全入院率を混合させたエンドポイントに達したのはカルベジロール群で74%、メトプロロール群で76%であった。この結果から、βブロッカー、特にカルベジロールの心不全治療上の価値がさらに拡大される。
HDLコレステロールに対するLDLコレステロールの比はLDLコレステロール値そのものよりも心疾患のリスク予後に役立つ、という報告がAmerican
Journal of Preventive Medicine 7月号に掲載された。筆者らは米国のデータを解析した結果、冠動脈疾患を有する患者の約半数のLDLコレステロール値は正常範囲内でありHDLコレステロール値が低値であり、結果としてその比が高いことを示した。研究者らは、LDLおよびHDLコレステロール両者を低下させる可能性のある食餌療法よりも、HDLコレステロール値も上昇させる減量や運動量増加などを推奨している。
心筋梗塞発症後28日以内の患者のうつ病の治療により気分や社会的機能は改善するが心筋梗塞再発や死亡のリスクは軽減させない、という報告がJournal
of the American Medical Association 6月18日号に掲載された。うつ病、社会的支援レベルが低いと認識された者またはその両者を有する患者計2,481人を通常の治療または6ヵ月間の心理療法群に無作為に割り付けた。抗うつ剤は両グループとも一部の患者に処方された。29ヵ月後の実際の生存率は全く同等であった(通常治療群75.9%
心理療法群75.8%)。興味深いことに、死亡または二度目の心筋梗塞のリスクは、カウンセリングを受ける受けないに関わらず抗うつ剤を投与されている患者群において低かった。今後の研究は特に抗うつ剤療法の予後に対する効果に向けられるであろう。
植え込み型除細動器を挿入されている患者に対する脂質低下療法は心室性不整脈および死亡率を大幅に低下させる、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 7月2日号に掲載された。Antiarrhythmics
Versus Implantable Defibrillator試験をレトロスペクティブに解析したところ、早期および一貫した脂質低下療法を施行された83人の患者においてそのような治療を受けなかった患者279人と比較し再発性の心室性不整脈のリスクが40%低下した。脂質低下薬内服患者149人における死亡率は治療を受けていない患者564人のそれと比較し36%低かった。編集者はこの研究では薬剤のタイプ、用量、およびコレステロールに対する効果についての情報が不足していると指摘している。しかしながら筆者ら、および編集者は、これらの重症患者に対するそのような薬剤の使用は安全であるとのエビデンスの重要性を強調している。
44の臨床試験結果からアトルバスタチンは高コレステロール血症の糖尿病患者に安全に使用できしかも有効であることが示唆された、とAmerican
Diabetes Associationで発表された。9,000人以上のデータを評価した結果、内服量が10mgから80mgであった患者には横紋筋融解症の所見は認められなかった。現在進行中のASPENトライアル(Atorvastatin
Study for Prevention of Coronary Heart Disease Endpoints
in Noninsulin-Dependent Diabetes Mellitus)は本年9月に終了の予定である。このトライアルの結果により、U型糖尿病患者におけるスタチン系薬剤治療開始から初回心血管イベントの発症までの時間を評価した前向きデータが得られる。